児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

下半身写真の教諭を懲戒免職=「信用失墜させた」−熊本県教委

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040910-00000538-jij-soci

県教委には「男子生徒が女性に扮(ふん)してメールのやりとりをした」との匿名の情報も寄せられたが、県教委は「相手の特定や出回った経緯を調査することは難しい」としている。
 (時事通信) - 9月10日22時2分更新

 事実としても、特定人へのメールは特定少数への送信ですから、わいせつ図画の罪にはなりません。

 教員の懲戒処分への対応をしたことがありますが、監督権者には警察ほどの情報収集能力がありません。
 事実関係については、警察+報道+本人確認程度。
 処分の軽重については、通達と前例。
 処分が重いわりには、資料は薄っぺらだったりします。

 だから、弁護士が選任されて、示談書とか文献とかを積むと、資料の量として、懲戒権者を圧倒することは容易です。
 早いうちにそういう資料を集めて、懲戒権者に提出すると、前例に照らして処分がちょっと軽めになったりすることはよくあります。


 その意味で気の毒なのがこの事例(名古屋簡裁)。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20040520#1085034961

http://www.pref.saitama.jp/kyouiku/contents/news_sorce/news_04010804.html
【処分3】
 1 処分内容       懲戒処分(停職6月)
 2 処分年月日      平成16年1月8日
 3 職名・年齢・性別   教諭・46歳・男性
 4 学校名       川口市立神根小学校
 5 発生年月日      平成15年5月11日
 6 事件・事故の概要
当該教諭は、平成15年5月11日午後10時37分ころ、インターネットを利用して同教諭がメンバーとなっているグループの管理者に児童ポルノの画像データ2画像を送信し、その後、同管理者が同画像をグループのメンバーに配信し、もって、児童ポルノの画像データ2画像を頒布した。

 被疑事実・公訴事実を丸写しにしたような処分理由ですが、
 信用失墜は否定できないが、メール送信は、「児童ポルノ」でも「頒布罪」でもありませんから、これでは、処分は理由がない。
 弁護士に相談すれば判りそうなものですが、懲戒処分の安易さが垣間見えます。

この
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040910-00000538-jij-soci
で懲戒免職という重い処分というのに、
  わいせつ図画頒布罪に該当する
という判断があるとすると、誤りですから、処分は理由の一部を失います。

 教育の中立性・教育委員会の判断の独自性を認めるにしても、もう少し、法律を勉強して欲しいと思います。
 処分される方も法律の認識に欠けるが、処分する方も同様に法律を知らないのではないか。