児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

警察学論集57-6 少年非行防止・保護総合対策推進要綱の制定について 長村順也

 改正法が被害者救済を徹底しなくても、
 警察は児童買春被害児童の「被害者性」に気づいているようです。

警察学論集57-6「『少年非行防止・保護総合対策推進要綱』の制定について」長村順也

Ⅲ 新要綱の内容
以下、新要綱の内容を紹介することとしたい。
1 基本方針
新要綱においては、「近年における少年非行をめぐる情勢は非常に厳しく、「世界一安全な国、日本」の復活を求める国民の期待にこたえるためには、少年犯罪の取締りを強化すると同時に、少年非行を未然に防止し、非行少年の立直りを支援するなど、少年非行防止のための多角的な取組みを推進することが必要である」とされ、さらに、「一方、児童買春等の少年の福祉を害する犯罪(以下「福祉犯」という。)を始め、少年が被害者となる犯罪の発生状況も高水準で推移しており、少年非行防止対策と併せ、少年を犯罪被害等から保護するための取組みを推進することが必要である。

新要綱の制定の第一の背景にあるのは、深刻な少年非行情勢であり、それに対応するため、少年犯罪の取締りを強化することを最初に掲げ、それと並行して、未然防止、立直り支援といった多角的な取組みを推進することが必要であることとされ、さらに、児童買春等の福祉犯が高水準で推移し、世間の耳目を集める児童虐待事件が続発している状況にかんがみ、少年を犯罪被害等から保護するための取組みも必要であるとしたものである。

5 少年を取り巻く環境の浄化
少年の非行や犯罪被害等の背景には、少年を取り巻く有害な環境があるとされる。このため、関係機関・団体、ボランティア等と連携して、以下の対策を推進することとした。
(1)福祉犯の取締り
福祉犯は、その被害少年に身体的・精神的なダメージを与え、それが非行の原因となる場合もあるため、児童買春、児童ポルノ、薬物の密売を始めとする福祉犯の取締りを徹底するとともに、これらの犯罪を防止するための広報啓発活動についても積極的に行うこととした10)

7 被害少年の保護等
犯罪その他少年の健全な育成を阻害する行為(いじめや嫌がらせ)により被害を受けた被害少年や、虐待を受けた児童については、再び被害に遭うことを防止するとともに、被害からの立直りを支援するため、関係機関・団体、ボランティア等と連携して、以下の対策を推進することとした
(1)被害少年対策
犯罪被害等に遭った少年に対しては、その心身への影響に配慮しつつ、適切な助言、関係機関の紹介等の支援を行うこととした。
また、児童買春等の福祉犯の被害少年については、被害者であることは当然であるが、非行性の進んだ少年も多く、本人や家族の問題点を解消しなければ、自ら福祉犯の被害者となることを繰り返すおそれもあることから、警察において必要な支援を行うことはもとより、その特性に応じ、児童相談所への通告、家庭裁判所への送致を積極的に行い、適切な福祉的措置、保護的措置が講じられるよう配慮することとした。
さらに、複雑な事例については、カウンセリング等の継続的支援が必要であり、支援担当者がその対応を誤れば、二次的被害を与えたり、あるいは担当者自身も精神的なダメージを受けることも考えられることから、必要に応じ、被害少年カウンセリングアドバイザーの委嘱を進め、その支援を受けることとした。