児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

外国法廷での公判調書の証拠能力

判例出てます。公判調書は「3号書面」
http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/EDAA40B4DA22923749256DEF0006B4CA?OpenDocument

 国外犯処罰を規定する法律ができていますが、国外犯の場合には、証拠も国外にあって、外国官憲作成の調書なんかも証拠請求されていますが、刑事訴訟法には規定がないんですよ。「3号」って「その他」ですよ。
 犯罪は国境を越える、捜査も国境を越える、証拠も国境を越える、しかし、証拠法は相変わらず国内犯のみを前提にしています。
 弁護人が全部同意してくれているから、あんまり問題にならないのでしょうけど。
 検察官請求証拠の一部でも不同意にして、検察官立証を少しでも減らせば、少しは軽くなるんですよ。外国官憲作成の書面なんて、真っ先に不同意にしておかないと。

 しかし、外国の公判調書が3号なら、1号・2号の要件は厳しい感じがしますね。外国警察の員面も3号ですね。


第321条〔被告人以外の者の供述書面の証拠能力〕
被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。
一 裁判官の面前(第百五十七条の四第一項に規定する方法による場合を含む。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異つた供述をしたとき。
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異つた供述をしたとき。但し、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、且つ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。但し、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
②被告人以外の者の公判準備若しくは公判期日における供述を録取した書面又は裁判所若しくは裁判官の検証の結果を記載した書面は、前項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
③検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
④鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。
〔平一二法七四第一項改正〕


http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/EDAA40B4DA22923749256DEF0006B4CA?OpenDocument
判例 平成15年11月26日 第一小法廷決定 平成14年(あ)第409号 覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件
要旨:
 大韓民国の公判廷における関係者の供述を記載した同国の公判調書が刑訴法321条1項3号の書面に当たるとされた事

理    由
 弁護人渡辺孝の上告趣意は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 なお,ソウル地方法院に起訴されたAの同法院の公判廷における供述を記載した本件公判調書の証拠能力について職権で判断する。
 第1審判決及び原判決の認定並びに記録によれば,本件公判調書は,日本国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができないAの供述を録取したものであり,かつ,本件覚せい剤密輸入の謀議の内容等を証明するのに不可欠な証拠であるところ,同人の上記供述は,自らの意思で任意に供述できるよう手続的保障がされている大韓民国の法令にのっとり,同国の裁判官,検察官及び弁護人が在廷する公開の法廷において,質問に対し陳述を拒否することができる旨告げられた上でされたというものである。
 このようにして作成された本件公判調書は,特に信用すべき情況の下にされた供述を録取したものであることが優に認められるから,刑訴法321条1項3号により本件公判調書の証拠能力を認めた原判決の判断は正当として是認することができる。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 泉 紱治 裁判官 深澤武久 裁判官 横尾和子 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 島田仁郎)