児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

ビデオリンク方式

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060120-00000222-kyodo-soci
関係者は「性犯罪の被害者を期日外で尋問することなどは珍しくなく、被害者保護の考えにも沿う。ビデオリンク方式もあるが、直接聞いた方が裁判官は心証を取りやすい」としている。

弁護人も被害者の調書を証拠とすることに同意しなかったため、証人尋問が行われることになった。

 被害者保護の改正でついたて方式とか、非公開方式とかが加わった部分です。
 刑事訴訟の原則は、直接主義で、伝聞証拠は例外です(実務は逆転していますが)。
 むかし、支部児童ポルノ・児童買春事件で、
    実刑相当事件なので、たたけるところは細かいところまで全部たたいておこう
という方針にして、被害者調書を不同意にして
   刑訴法157条の4には「児童ポルノ罪の被害者」が規定されている。
   ビデオリンク方式がふさわしい。
ってビデオリンクでの尋問を求めたら
   こんな支部にビデオリンクなんてないですよ。
   尋問が必要かどうか再考してください。
と法廷で言われ、暗に
   支部ではわからない
   早期に執行猶予判決にするから、争わないでほしい。
と示唆されて、その通りにしてもらったことがあります。
 事実認定と法令適用と訴訟手続に不満がありますが、同種事案では実刑判決が報道されていたので、被告人は喜んでました。
 傍聴していたNGO(規制派)の方は、
   被害者がさらに傷つけられずよかった
なんて評価されていましたが、裁判例を集めてみて今から考えても、えらい軽かったですね。

第157条の3〔証人尋問の際の証人と被告人・傍聴人との間の遮蔽措置〕
裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前(次条第一項に規定する方法による場合を含む。)において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。ただし、被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置については、弁護人が出頭している場合に限り、採ることができる。
②裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。

第157条の4〔ビデオリンク方式による証人尋問〕
裁判所は、次に掲げる者を証人として尋問する場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所(これらの者が在席する場所と同一の構内に限る。)にその証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、尋問することができる。
一 刑法第百七十六条から第百七十八条まで、第百八十一条、第二百二十五条(わいせつ又は結婚の目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十七条第一項(第二百二十五条の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第三項(わいせつの目的に係る部分に限る。)若しくは第二百四十一条前段の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者
二 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項の罪若しくは同法第三十四条第一項第九号に係る同法第六十条第二項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第四条から第八条までの罪の被害者
三 前二号に掲げる者のほか、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者
②前項に規定する方法により証人尋問を行う場合において、裁判所は、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがあると思料する場合であつて、証人の同意があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その証人の尋問及び供述並びにその状況を記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができる物をいう。以下同じ。)に記録することができる。
③前項の規定により証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体は、訴訟記録に添付して調書の一部とするものとする。
裁判所は、証人の重要性、年齢、職業、健康状態その他の事情と事案の軽重とを考慮した上、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、必要と認めるときは、裁判所外にこれを召喚し、又はその現在場所でこれを尋問することができる。
②前項の場合には、裁判所は、あらかじめ、検察官、被告人及び弁護人に、尋問事項を知る機会を与えなければならない。
③検察官、被告人又は弁護人は、前項の尋問事項に附加して、必要な事項の尋問を請求することができる。

第158条〔裁判所外における証人の尋問〕
裁判所は、証人の重要性、年齢、職業、健康状態その他の事情と事案の軽重とを考慮した上、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、必要と認めるときは、裁判所外にこれを召喚し、又はその現在場所でこれを尋問することができる。
②前項の場合には、裁判所は、あらかじめ、検察官、被告人及び弁護人に、尋問事項を知る機会を与えなければならない。
③検察官、被告人又は弁護人は、前項の尋問事項に附加して、必要な事項の尋問を請求することができる。