児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

<匿名ダイヤル>人身売買、児童買春などで240件通報あり

 こんな制度も広報され、被害者とか関係者とかが気楽に通報されるようになったので、犯行後あわてて警察に出頭する児童買春犯人が増えました。
 直後に反省して弁護士に自首の相談するくらいなら、犯行前に思いとどまればいいものを。
 最近では、同じ警察署で、同じ刑事と弁護士で、被疑者だけが交替して受け付けてもらっているような感じです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080131-00000031-mai-soci
<匿名ダイヤル>人身売買、児童買春などで240件通報あり
1月31日10時52分配信 毎日新聞
 警察庁は31日、女性の人身売買や児童買春などの犯罪情報を匿名で受け付ける「匿名通報ダイヤル」(07年10〜12月)の受理状況をまとめた。計240件の情報が寄せられ、情報を基に警察は風営法違反事件など2件を立件した。
 情報の内訳は▽人身売買などに関する情報44件▽児童買春など少年の福祉を害する情報98件▽その他98件。
 同制度は07年10月スタート。NPO「日本ガーディアン・エンジェルス」に委託し、フリーダイヤルで全国から匿名の情報を受け付けている。被害者保護、容疑者逮捕につながった情報には上限10万円で情報料が支払われるが、これまでに受け取りの申し出はなく、支払いはないという。
 同庁は「潜在化しがちな子供、女性を狙う犯罪の情報を収集するため、今後も制度のPRに努めたい」と話している。フリーダイヤルは0120・924・839、受付時間は月〜金曜日(午前9時半から午後6時15分)。

 ものになった情報は1%。報奨金は0円。
 低コスト低リターンですね。

執行猶予で示談金残額支払い? 弁護士「話が違う」と憤慨

 法廷で覆されることがないように、気を遣うんですけどね。
 実刑なら残額払わないなんて、被害者の立場からすれば、そんな条件付きの示談に応じることは普通ない。だから検察官が再度聴取することになったんでしょう。
 普通に期限付きの分割にして「全部払ってくれるのなら刑を軽くしていい。執行猶予でいいです。」などとしておけばいいんですよ。
 しかも、弁護人は「残額も支払わなければ勘弁しない」という追加の供述調書に同意したんですよね。不同意にしてその点を尋問して質せばいいものを。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080130-00000927-san-soci
 「被害者に示談の説明をしたとき、(100万円のうち)まず30万円支払い、執行猶予判決が出たら残りの70万円を払うと約束ができていた。ところが、検察官が出してきた証拠と話が違う。加害者には『実刑になったら70万円を払えません』と言っている」
 弁護人が問題にしたのは、検察側が提出した被害者の示談後の供述調書。弁護人が読み上げた内容によると、調書では「残額も支払わなければ勘弁しない」となっており、これに弁護士が「話が違う」と憤っていたのだ。
 刑事弁護に詳しいベテラン弁護士によると、執行猶予判決が出たら残額を支払うという形の示談のやり方は、「あまり聞かないし、一般的ではない」という。当事者間で合意ができているのならば問題ないとはいえ、こうした示談のやり方には違和感を覚えた。

強制わいせつ行為の程度について詳細に言及した事例(神戸地裁)

 電車内の痴漢の事案。

量刑理由
  直接ではなく下着の上から触ったものであること
  触った部位は陰毛の生えている付近までであってそれより下まで及んでいないこと
から、被害の程度は比較的軽い

といいながら、主文は実刑です。

神戸地裁における強制わいせつ罪・強制わいせつ致傷罪の量刑

 撮影による強制わいせつ事件を探しに行って、40件見てきました。致傷までいれると幅広いですね。強姦は含みません。
 痴漢とかセクハラとか近親者の事案とかいろいろあって、事案がないと意味ないですが。

無罪
懲役1年06月執行猶予3年
懲役1年04月執行猶予3年
懲役1年06月執行猶予3年
懲役2年06月執行猶予4年
懲役3年執行猶予4年
懲役3年執行猶予4年保護観察
懲役1年08月実刑
懲役10月実刑
懲役10月実刑
懲役1年06月執行猶予3年
懲役1年06月執行猶予3年
懲役3年06月実刑 没収バイブレーター1
懲役1年06月実刑
懲役1年実刑
懲役2年08月実刑
懲役2年08月実刑
懲役2年執行猶予3年
懲役3年執行猶予4年
懲役10月執行猶予2年
懲役1年06月実刑
懲役2年執行猶予3年
懲役1年06月執行猶予3年
懲役1年実刑
懲役1年06月執行猶予4年
懲役10年
懲役18年
懲役18年
懲役19年
懲役3年執行猶予4年
懲役1年06月執行猶予3年
懲役2年実刑
懲役2年実刑
懲役7年
懲役1年06月執行猶予3年
懲役2年06月執行猶予4年
懲役2年執行猶予3年
懲役1年06月執行猶予3年
懲役2年執行猶予5年
懲役2年執行猶予4年
懲役1年08月執行猶予3年
懲役3年06月
懲役3年執行猶予4年
懲役2年06月実刑
懲役2年06月執行猶予4年
懲役2年06月執行猶予3年

控訴申立書の起案

 被告人から頼まれました。
 牢屋の中にも用紙はあるのに。結局、自分で監獄の長に出すのに。

係属部:  地方裁判所  
事件番号:平成19年わ第   号等
被告人:
事件名:

平成20年1月 日
  高等裁判所 御中

                          被告人         印

控訴申立書

 上記事件につき平成20年 月 日に地方裁判所支部が言い渡した
被告人を懲役 年 月及び罰金  万円に処する。
その罰金を完納することができないときは、5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

という判決は全部不服であるから控訴する。

法第366条〔収容中の被告人に関する特則〕
刑事施設にいる被告人が上訴の提起期間内に上訴の申立書を刑事施設の長又はその代理者に差し出したときは、上訴の提起期間内に上訴をしたものとみなす。
②被告人が自ら申立書を作ることができないときは、刑事施設の長又はその代理者は、これを代書し、又は所属の職員にこれをさせなければならない。
規則第227条(刑事施設に収容中の被告人の上訴・法第三百六十六条)
刑事施設に収容されている被告人が上訴をするには、刑事施設の長又はその代理者を経由して上訴の申立書を差し出さなければならない。
2 刑事施設の長又はその代理者は、原裁判所に上訴の申立書を送付し、かつ、これを受け取つた年月日を通知しなければならない。

中小ISP向けに違法・有害情報の相談窓口、通信業界4団体が設置

 確かに地元のISPからの相談が多いですね。
 しかし、発信者情報開示を送っても応答無し、削除命令取ってもそのまま、間接強制も無視というのは、「専門家に容易に相談できる状況にないため、対応が困難なケース」じゃないですよね。規範意識に問題がある。

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/31/18301.html
中小ISP向けに違法・有害情報の相談窓口、通信業界4団体が設置
 しかし、特に中小のプロバイダーは、「必ずしも法令の内容に精通しておらず、関係する機関や専門家に容易に相談できる状況にない場合もある」(テレコムサービス協会)ため、対応が困難なケースが増えているという。
 そこで4団体は31日、違法・有害情報に関する相談を受け付ける「事業者相談センター」をテレコムサービス協会内に設置。当面は、4団体の会員事業者のみの相談を受け付けるが、4月をめどに4団体に属していないプロバイダーからの相談にも対応する予定だという。事業者相談センターを設置したことについて4団体では、「インターネット上の違法・有害情報への適切かつ迅速な対応が促進されることを期待する」とコメントしている。

シンポジウム 性差別としての性暴力犯罪〜その法律上の問題点〜

 というのがあるそうです。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/event/080301.html
強姦罪を中心とする性的侵害行為・性暴力は、女性に対する暴力の典型的なものです。暴力が支配の手段であることからすれば、それを可能にしている社会的構造〜性差別〜が問われる必要があると考えます。
ところが、そのような視点からこの犯罪が検討されることは少なく、1907年に制定された刑法の強姦罪規定は、2004年に法定刑が引き上げられ、集団強姦罪が新設された以外には、今日までそのまま維持されています。この間、両性の平等に関する考え方は最も大きく変わりましたが、強姦罪の規定ならびにその適用状況はその変化を最も反映していないものと考えられます。
男女共同参画社会の実現をめざすとき、この性的侵害行為の扱いについての再検討が不可欠であると考えます。
本シンポジウムは強姦罪を中心とする性暴力犯罪の規定ならびにその解釈適用上の問題点について、研究者、実務家、被害者支援者等の報告を得たうえで、刑法、憲法の視点も交えながら、参加者も含めて議論をし、理解を深めることを目的としています。奮ってご参加ください。  

法制審議会少年法(犯罪被害者関係)部会の要綱採択に関する会長談話

 あれ、少年法37条38条についてはノーコメントですか?
 多分、少年法の専門家は成人の刑事事件をやらないから、誰もわからないんですよね。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/080125_2.html
法制審議会少年法(犯罪被害者関係)部会は、本日、少年法「改正」要綱(骨子)を採択した。
当連合会は、昨年11月21日「犯罪被害者等の少年審判への関与に関する意見書」をまとめた。そこでは、少年の立ち直り支援を目的とする少年法22条の審判の方式や非公開原則に照らし、被害者等による審判の傍聴については、少年の健全育成に資する場合に限り、少年審判規則29条で対応することができる、法律記録の閲覧・謄写を認める場合の要件を現行法よりも緩和することは検討に値する、と提言した。

「法制審議会諮問第83号(少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護等を図るための法整備)に関する御意見の募集について」により実施した意見募集の結果について

 家裁の成人刑事事件の弁護人にも聞いて欲しかったですね。
 「児童ポルノ・児童買春法のおかげで、家裁がデリヘル専門部になってる・もはや家裁の仕事じゃない」とか「家裁は法令適用をよく間違う」という意見はなかったようです。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?ANKEN_TYPE=3&CLASSNAME=Pcm1090&KID=300090009&OBJCD=&GROUP
4 要綱(骨子)第四成人の刑事事件の管轄の移管等
○ 従前から,当該被告人が2つの裁判所に事件係属した場合に併合処理ができない等の問題があり,これを解決するためには管轄を移管する以外にない(ただし,移管により少年法の理念が後退しないようにすべきである。)。
○ 被害者である子供の保護を図るためには,むしろ対象を拡大すべきであって,縮小すべきではない。
○ 児童の福祉を害する成人の刑事事件は,家庭裁判所が子供の非行の問題の審判と一体として行うべきであり,移管は家庭裁判所の設置目的等から望ましくない。
○ 第38条を削除する点については,少年事件は警察からの送致が大部分であり,警察が事件を把握している場合が多い。現状でも刑事訴訟法第239条第2項によってまかなえる。