児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ製造罪と強制わいせつ罪とを観念的競合とした判例・裁判例

 一事不再理効の広さからは、併合罪にしたいところですが、撮影行為=わいせつ行為なので、どうしても観念的競合になる場合があるようです。
 大法廷h29.11.29は沈黙でしたので、もう少し高裁でもまれて来いということでしょうか。

名古屋 地裁 一宮 H17.10.13
東京  地裁   H18.3.24
東京  地裁   H19.2.1
東京  地裁   H19.6.21
横浜  地裁   H19.8.3
長野  地裁   H19.10.30
札幌  地裁   H19.11.7
東京  地裁   H19.12.3
高松  地裁   H19.12.10
10 山口  地裁   H20.1.22
11 福島  地裁 白河 H20.10.15
12 那覇  地裁   H20.10.27
13 金沢  地裁   H20.12.12
14 金沢  地裁   H21.1.20
15 那覇  地裁   H21.1.28
16 山口  地裁   H21.2.4
17 佐賀  地裁 唐津 H21.2.12
18 仙台 高裁   H21.3.3
19 那覇  地裁 沖縄 H21.5.20
20 千葉  地裁   H21.9.9
21 札幌  地裁   H21.9.18
22 名古屋 高裁   H22.3.4
23 松山  地裁   H22.3.30
25 那覇  地裁 沖縄 H22.5.13
24 さいたま 地裁 川越 H22.5.31
26 横浜  地裁   H22.7.30
27 福岡  地裁 飯塚 H22.8.5
28 高松  高裁   H22.9.7
29 高知  地裁   H22.9.14
30 水戸  地裁   H22.10.6
31 さいたま 地裁 越谷 H22.11.24
32 松山  地裁 大洲 H22.11.26
33 名古屋 地裁   H23.1.7
34 広島  地裁   H23.1.19
35 広島  高裁   H23.5.26
36 高松  地裁   H23.7.11
37 広島  高裁   H23.12.21
38 秋田  地裁   H23.12.26
39 横浜  地裁 川崎 H24.1.19
40 福岡  地裁   H24.3.2
41 横浜  地裁   H24.7.23
42 福岡  地裁   H24.11.9
43 松山  地裁   H25.3.6
44 横浜  地裁   H25.4.30
45 大阪 高裁   H25.6.21
46 横浜  地裁   H25.6.27
47 福島  地裁 いわき H26.1.15
48 松山  地裁   H26.1.22
49 福岡  地裁   H26.5.12
50 神戸  地裁 尼崎 H26.7.29
51 神戸  地裁 尼崎 H26.7.30
52 横浜  地裁   H26.9.1
53 地裁   H26.10.14
54 名古屋 地裁   H27.2.3
55 岡山  地裁   H27.2.16
56 長野  地裁 飯田 H27.6.19
48 横浜  地裁   H27.7.15
57 広島  地裁 福山 H27.10.14
58 千葉  地裁 松戸 H28.1.13
59 高松  地裁   H28.6.2
60 横浜  地裁   H28.7.20
61 名古屋 地裁 岡崎 H28.12.20
62 東京  地裁   H29.7.14
63 東京  高裁   H30.1.30
64 広島  地裁   H30.7.19
65 広島  地裁   H30.8.10
66 高松 高裁   H30.6.7

アダルトゲームの巨大広告に対する東京都青少年の健全な育成に関する条例の広告規制

アダルトゲームの巨大広告に対する東京都青少年の健全な育成に関する条例の広告規制
 
施行規則でいうと

一著しく性的感情を刺激するもの次のいずれかに該当するものであること。
イ全裸若しくは半裸又はこれらに近い状態の姿態を描写することにより、卑わいな感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。
でしょうか。

https://www.bengo4.com/c_23/n_10366/
これに対し、東京都や千代田区には「あんなに胸の肌が露出している内容の広告を一般の道路沿いに出してよいのか」という問い合わせやクレームが相次いだという。東京都の都民安全推進課によると、11月5日に現地を訪れて調査。店舗の会社から、広告の意図や掲示期間を確認したという。

東京都には、有害図書などの指定について定める「東京都青少年の健全な育成に関する条例」があり、第14条で広告も対象となっている(有害広告物に対する措置)。

都民安全推進課では、今回の調査について、「表現の自由もありますので、直ちに広告を外せとか変えてくれという指導はしていません。条例違反であるかという判断をするとしたら、東京都青少年健全育成審議会にかける必要があります」と話す。

東京都に対して店側は「掲示期間は未定」と回答していたが、11月8日にはすでに取り外されていた。都民安全推進課では、「ネットなどでも問題視されており、世間的にどうなのかということから、今後は会社の方でも注意されていくのでは」と話している。

東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説 (平成23年7月)
第2条この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
三広告物
屋内または屋外で公衆に表示されるものであって、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物に掲出されまたは表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。

(有害広告物に対する措置)
第14条 知事は、広告物の形態またはその広告の内容が、青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、またははなだしく残虐性を助長し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは、当該広告物の広告主またはこれを管理する者に対し、当該広告物の形態または広告の内容の変更その他必要な措置を講ずることができる。
(審議会への諮問)
第15条知事は、第5条の規定による推奨をし、第8条の規定による指定をし、または前条の規定による措置を命じようとするときは、東京都青少年健全育成審議会の意見を聞かなければならない。
2 知事は、前項の規定により、東京都青少年健全育成審議会の意見を聞くときは、第7章に規定する自主規制を行っている団体があるときは、必要に応じ、当該団体の意見を聞かなければならない。


解説
【要旨】
本条は、知事が、広告物の形態又はその広告の内容について東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認める場合に、当該広告主又はその管理人に対し、当該広告物の形態又は広告の内容の変更その他必要な措置を命ずることができる旨を定めた規定である。
【解説】
「広告」とは、随時又は継続して、ある事項を広く一般の人に知らせることをいう。通常は、商業上の目的で行われることが多いが、必ずしも商業上の目的で行われるとは限らない。
「広告主」とは、商業上その他の目的で広告をする者をいう。ここで広告をする者とは、当該広告物を公衆に表示し、又は当該広告物を掲示する物件を設置することについて意思決定をした者をいう。
「広告物を管理する者」とは、直接であると間接であるとを問わず、広告の効用を全うするよう当該広告物を維持管理する者をいう。すなわち、広告主の委託に基づき当該広告物を管理する者はもちろん、企業体などにおける内部的な事務分掌により管理業務を行う者、広告主の申出等により自己の所有し又は占有する建物、工作物等に広告物を表示することを承認した広告代理業者なども広告物を管理する者である。
「その他必要な措置」とは、当該広告物の除去、掲示場所の移転等の措置が考えられる。
平成16年の条例改正において、認定基準で定めていた指定等の基準を施行規則で定めることになり、本条が措置を命ずる基準についても施行規則で規定することとなった。
なお、知事が、これらの措置を命じようとするときは、第18条の2に定める審議会の意見を間かなければならないことになっている。また、本条に違反すると、第26条の規定により罰則の適用がある。
【参考法令】
屋外広告物法第2条第1項(〈屋外広告物〉の定義)
〈本条に違反した者〉
第26条第3号により30万円以下の罰金(直罰)

施行規則
第28条
条例第14条の東京都規則で定める基準は、次の各号に掲げる種別に応じ、当該各号に定めるものとする。
一著しく性的感情を刺激するもの次のいずれかに該当するものであること。
イ全裸若しくは半裸又はこれらに近い状態の姿態を描写することにより、卑わいな感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。
ロ,性的行為を露骨に描写し、又は表現することにより、卑わいな感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。
ハ イ及びロに掲げるもののほか、その描写又は表現がこれらの基準に該当するものと同程度に卑わいな感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想さ’せるものであること。
二 甚だしく残虐性を助長するもの次のいずれかに該当するものであること.
イ暴力を不当に賛美するように表現しているものであること。
ロ残虐な殺人、傷害、暴行、処刑等の場面又は殺傷による肉体的苦痛若しくは言語等による精神的苦痛を刺激的に描写し、又は表現しているものであること。
ハ イ及びロに掲げるもののほか、その描写又は表現がこれらの基準に該当するも!のと同程度に残虐性を助長するものであること。

【解説】
本条も施行規則第15条及び第16条と同様、平成16年の条例改正において、認定基準から施行規則での規定となったものである。
第1号のイは第15条第1項第1号のイ、同号のロは第15条第1項第1号のロ、第2号のイは第15条第1項第2号のイ、同号のロは第15条第1項第2号のロと解釈は同じである。.
また、第1号のハ及び第2号のハの適用に関する考え方は、それぞれ、第15条第1項第1号の二と第15条第1項第2号の二と同じである。
第15条第1項における図書類と同様な描写又は表現がなされている看板、立看板、はり紙及びはり札を措置の対象とする。

児童買春に伴う盗撮行為(姿態をとらせて製造)を、「ひそかに製造罪」で起訴してしまい、弁護人が弁論で指摘するまで気付かずに審理していた事例(神戸地裁R01.6.28)

 ひそかに製造罪での逮捕・勾留も違法です。

判例ID】 28272995
【裁判年月日等】 令和1年6月28日/神戸地方裁判所/第4刑事部/判決/
【事件名】 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
【裁判結果】 有罪
【裁判官】 市原志都
【出典】 D1-Law.com判例体系
【重要度】 -


■28272995
神戸地方裁判所令和01年06月28日
上記の者に対する児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について、当裁判所は、検察官寳官大貴、弁護人(主任)及び奥村徹(いずれも私選)各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

理由
(罪となるべき事実)

「児童に,被告人と性交する姿態等をとらせ,~~もって①児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態及び②衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した」という3号ポルノの罪となるべき事実の記載(某支部R01)は理由不備。

 普通は「全裸で」「陰部露出し」「乳房露出し」という記載があるところ「性交する姿態等」では、全裸半裸なのかがわかりません。


 検察官も3号(衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの)に該当する具体的な事実を主張しないと、訴因不特定です。
 3号(衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの)に該当する具体的な事実を認定しないと、犯罪になりません理由不備です。
 

判例がある。

名古屋高裁H23.7.5
 次に,(2)の点について検討すると,原判決は,犯罪事実第1の2,第2の2,第3の2につき,法令の適用の項において,いずれも児童ポルノ処罰法7条3項,l項,2条3項1号,3号に該当すると判示しているのであるから,各犯罪事実において,同法2条3項1号のみならず3号に該当する姿態をとらせて児童ポルノを製造した旨の具体的事実をも摘示する必要があるというべきである。しかるに,原判決は,上記各犯罪事実において,各児童に「被告人と性交を行う姿態等」をとらせた上,これを写真撮影し,その静止画を記録媒体に記録させて描写し,もって「児童を相手方とする性交に係る児童の姿態等」を視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した旨を摘示するにとどまり,児童ポルノ処罰法2条3項3号に該当する姿態をとらせて児童ポルノを製造した旨の具体的事実を摘示していないのであるから,原判決には,上記各事実に関し,罪となるべき事実の記載に理由の不備があるといわざるを得ない。
 論旨はこの点において理由がある。そして,原判決は,原判示第1の2,第2の2,第3の2の各児童ポルノ製造罪とその余の各罪とが刑法45条前段の併合罪の関係にあるものとして1個の刑を科しているから,結局,その余の控訴趣意について判断するまでもなく,原判決は全部につき破棄を免れない。
2 破棄自判
 よって,刑訴法397条1項,378条4号により原判決を破棄し,同法400条ただし書により,当裁判所において更に判決する。

児童ポルノ・児童買春法7条
3この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

令和になっても、「『わいせつな行為』とは、性欲を刺激、興奮または満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義概念に反する行為とされています。」という弁護士

 そもそも、高松地裁R01.9.4は、強制性交罪(177後段)・児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)・児童ポルノ製造罪なので、「わいせつ」とか「みだらな」という問題は出てきません。
 強制わいせつ罪の「わいせつ」については、大法廷h29.11.29で性的意図不要となったので、「性欲を刺激、興奮または満足させ」を含む点で妥当しなくなっています。わいせつの定義については最高裁判例がなく迷走中というのが正解です。

いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう(金沢支部S36.5.2)
・・・
 性的自由を侵害する行為(大阪高裁 大法廷h29.11.29の控訴審
・・・
 「一般人の性欲を興奮,刺激させるもの,言い換えれば,一般人が性的な意味のある行為であると評価するものと解されるから,強制わいせつ行為に該当する。」東京高裁H30.1.30(奥村事件 上告棄却)
・・・

 「被告人が13歳未満の男児に対し,~~などしたもので,わいせつな行為の一般的な定義を示した上で該当性を論ずるまでもない事案であって,その性質上,当然に性的な意味があり,直ちにわいせつな行為と評価できることは自明である。」(広島高裁H30.10.23 奥村事件 上告中)
・・・
「わいせつな行為」に当たるか否かは,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断すべきである。(福岡高裁H31.3.15)

 馬渡調査官は定義しなくていいというのですが、おかげで迷走中です。

強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否
最高裁平成29年11月29日大法廷判決最高裁調査官馬渡香津子 ジュリスト1517 p78
V・「わいせつな行為」の定義,判断方法
1. 「わいせつな行為」概念の重要性性的意図が強制わいせつ罪の成立要件でないとすれば, 「わいせつな行為」に該当するか否かが強制わいせつ罪の成否を決する上で更に重要となり, 「わいせつな行為」該当性の判断に際して,行為者の主観を一切考慮してはならないのかどうかを含め, これをどのように判断し,その処罰範囲を明確化するのかが問題となる。
また,強制わいせつ致傷罪は,裁判員裁判対象事件であることも考えれば, 「わいせつな行為」の判断基準が明確であることが望ましい。
2 定義
(1) 判例,学説の状況
強制わいせつ罪にいう「わいせつな行為」の定義を明らかにした最高裁判例はない。
他方, 「わいせつ」という用語は,刑法174条(公然わいせつ), 175条(わいせつ物頒布罪等) にも使用されており, 最一小判昭和26.5. 10刑集5巻6号1026頁は, 刑法175条所定のわいせつ文書に該当するかという点に関し, 「徒に性慾を興奮又は刺激せしめ且つ普通人の正常な性的差恥心を害し善良な性的道義観念に反するものと認められる」との理由でわいせつ文書該当性を認めているところ(最大判昭和32.3・13刑集ll巻3号997頁〔チャタレー事件〕も,同条の解釈を示すに際して,その定義を採用している),名古屋高金沢支判昭和36.5.2下刑集3巻5=6号399頁が,強制わいせつ罪の「わいせつ」についても, これらの判例と同内容を判示したことから,多くの学説において, これが刑法176条のわいせつの定義を示したものとして引用されるようになった(大塚ほか編・前掲67頁等)。
これに対し,学説の中には,刑法174条, 175条にいう「わいせつ」と刑法176条の「わいせつ」とでは,保護法益を異にする以上, 同一に解すべきではないとして,別の定義を試みているものも多くある(例えば, 「姦淫以外の性的な行為」平野龍一.刑法概説〔第4版) 180頁, 「性的な意味を有する行為,すなわち,本人の性的差恥心の対象となるような行為」山口厚・刑法各論〔第2版] 106頁, 「被害者の性的自由を侵害するに足りる行為」高橋則夫・刑法各論〔第2版〕124頁, 「性的性質を有する一定の重大な侵襲」佐藤・前掲62頁等)。
(2) 検討
そもそも, 「わいせつな行為」という言葉は,一般常識的な言葉として通用していて,一般的な社会通念に照らせば, ある程度のイメージを具体的に持てる言葉といえる。
そして, 「わいせつな行為」を過不足なく別の言葉でわかりやすく表現することには困難を伴うだけでなく,別の言葉で定義づけた場合に,かえって誤解を生じさせるなどして解釈上の混乱を招きかねないおそれもある。
また, 「わいせつな行為」を定義したからといって, それによって, 「わいせつな行為」に該当するか否かを直ちに判断できるものでもなく,結局,個々の事例の積み重ねを通じて判断されていくべき事柄といえ, これまでも実務上,多くの事例判断が積み重ねられ,それらの集積から,ある程度の外延がうかがわれるところでもある(具体的事例については,大塚ほか編・前掲67頁以下等参照)。

 さらに、青少年条例の「わいせつ」については、保護法益が違うので、刑法の定義を流用することはできず、青少年健全育成の観点から新規に考える必要があります。

https://www.news-postseven.com/archives/20191019_1470474.html
「東京ディフェンダー法律事務所」の弁護士・公認不正検査士の久保有希子さんが、違いを説明する。

「『わいせつな行為』とは、性欲を刺激、興奮または満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義概念に反する行為とされています。特に強制わいせつ罪の『わいせつな行為』とは、キスや乳房を弄ぶ行為、裸にして写真を撮る行為などが該当します。

 一方、『みだらな行為』は主に地方自治体が定める青少年保護育成条例(いわゆる淫行条例)の中に出てくる表現です。

 最高裁は、淫行条例における淫行の意味について『青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいう』と、判断していますが、条例は地方自治体によって異なるため、処罰される行為も自治体によって違います」

さいたま地裁h301121迷惑条例無罪

       主   文

 被告人は無罪。

       理   由

第1 本件公訴事実
   被告人は,正当な理由なく,平成29年8月19日午後9時34分頃から午後9時41分頃までの間,東京都北区(以下略)丙株式会社■■駅から同区(以下略)同社▽▽駅に向けて進行中の電車内において,甲(当時14歳)に対し,その陰部を着衣の上から手指で触るなどし,もって公共の乗物において,衣服その他の身に着ける物の上から人の身体に触れ,人を著しく羞恥させ,かつ,人に不安を覚えさせるような行為をしたものである。
第2 争点
   被告人及び弁護人は,被告人は痴漢行為をしていないとして無罪を主張している。被告人が公訴事実記載の時刻頃,公訴事実記載の電車(以下「本件電車」という。)に乗車し,被害者の近くにいたことに争いはなく,争点は,被告人が公訴事実記載の痴漢行為をしたかである。
第3 当裁判所の判断
 1 本件では,痴漢行為を証明する客観的証拠はなく,■■■(以下「甲」という。)から本件電車内で助けを求められたという■■■(以下「乙」という。)も痴漢行為を目撃しておらず,甲の証言が唯一の証拠となるから,この点を考慮した上で特に慎重な判断が求められる(最三小平成21年4月14日刑集63巻4号331頁等参照)。
   その結果,当裁判所は,甲の証言は真実を述べている可能性も十分にあると思料する一方で,合理的な疑いを超える証明が求められる本件刑事裁判においては,なお合理的な疑いを差し挟む余地は残るから,被告人は無罪と判断した。以下,その理由の詳細を示す。
 2 前提として,関係証拠によれば以下の事実が優に認められる。
  (1) 甲は,本件当日,午後9時26分に◇◇駅を発車する本件電車の先頭車両に乗車した。被告人も,同車両に乗車していた。
    本件電車の停車駅は,◇◇駅を発車後,××駅,■■駅,○○駅,○×駅,▽▽駅,×○駅の順である。
  (2) 本件電車は,◇◇駅発車時には,隣の人と肩が触れ合うぐらいの混雑具合であったが,その後の停車駅で乗客が降りて減っていき,▽▽駅を過ぎた頃には,被告人及び甲の周囲には数名の人が立っているだけの状況であった。
  (3) 甲は,▽▽駅から×○駅に向けて進行中の本件電車内において,スマートフォンで被告人の顔の写真を撮り,近くにいた乙に,被告人から痴漢被害に遭った旨を伝えた。甲と乙は一旦車両の後方に移動したが,甲が被告人を捕まえたいと言ったので,甲と乙は被告人に近付き,乙が被告人に「痴漢されましたよね」と申し向け,甲は被告人が背負っていたリュックサックを掴んだが,本件電車が×○駅に到着すると,被告人は甲の手を振りほどいて逃走した。
 3 甲の証言について
  (1) 当公判廷に証人として出廷した甲は,本件当日,池袋でライブを見た帰りに本件電車に乗って立っていたところ,◇◇駅発車後に被告人の傘の柄が甲の太ももの真ん中辺りに当たっているのに気付いた旨,××駅で他の乗客の邪魔にならないように一旦本件電車を降りて乗り直したが,被告人が再度目の前にいて,再び傘の柄の部分を左太ももに当てられ,その後当てられる位置が陰部の方に近付いてきた旨,■■駅を発車後は,被告人が右手の指3本で衣服の上から陰部を触ってきて,▽▽駅を過ぎて甲が被告人の写真を撮るまで,痴漢被害に遭っていた旨等を証言している。
  (2) この甲の証言について検討すると,甲の証言内容に明らかに虚偽と分かるような内容が含まれているわけではなく,また,本件当時14歳で,証言時15歳の甲があえて痴漢被害に遭ったと虚偽の被害を申告する動機も本件証拠上認定することはできないこと等に照らせば,当裁判所としても,甲が真実を述べている可能性も十分にあるものと思料する。
  (3) しかしながら他方で,甲の証言内容には以下に指摘するような事情もある。
   ア まず,甲が証言する痴漢被害は,■■駅を過ぎてから▽▽駅を過ぎるまで続いたというものであるが,▽▽駅を過ぎる頃までには本件電車内は空いてきていて,被告人及び甲の周囲には数名の人が立っているだけという状況で,甲の証言においても,痴漢行為が見える位置に乗客が立っていたと証言されている。そうすると,容易に他の乗客に見付かるような状況で被告人が本当に痴漢行為を継続し続けていたのか,常識に照らして疑問の余地が残る。
     もちろん,甲が真にこのような被害に遭ったからこそ,あえて一見不自然とも思われるこのような態様の被害を証言したという考え方も成り立ち得るところではあり,例えば客観的証拠や目撃証言等の他の証拠によって甲の証言の信用性が十分担保されていればそのような評価も可能であるとは思料するが,客観的証拠等のない本件においては,この点は,真にこのような痴漢行為があったのかについて合理的な疑いを差し挟む事情と見る余地が残るものといわざるを得ない。
   イ また,甲は,痴漢被害に遭っている間,数駅間にわたって,例えば本件電車が駅に着いた際に電車から降りるなど,痴漢被害から逃げるための行動を取っていない。
     痴漢被害に遭った女性が恐怖心等のあまりその場から動けなくなり,そのまま被害に遭い続けることはもちろんあり得るが,本件で甲は,痴漢被害に遭って少し経ってから,被告人の目を見て,被告人をにらみ付け,スマートフォンを用いてツイッターで友人に助けを求めたなどと証言している。以上のような行動は取ることができたものの逃げることだけできなかったという場合も否定はし切れないから,当裁判所としてもこの点から甲の証言が虚偽であると言うつもりはないけれども,合理的疑いが残るかが問題となる本件刑事裁判においては,以上のように被告人をにらみ付けたり,ツイッターで助けを求めることもできて,かつ,途中の駅でたくさん客が降りたことにも気付いていたと言う甲が,なぜ途中の駅に着いた際に電車から降りるなどの単純な行動が取れなかったのか,なお疑問の余地が残るものと評価せざるを得ない。
   ウ さらに,甲は,スマートフォンで被告人の顔の写真を撮った際の状況について,検察官からの主尋問に対しては,写真を撮ったことに気付かれたら被告人から暴力を振るわれると思い,被告人に気付かれないように,少し横にずれて,まだ陰部を触られている状況で,撮っているのが分からないように少し下から撮ったなどと証言していたが,その後の尋問に対しては,カメラのシャッター音は切っていなかった旨や,写真を撮った際には乙の方に助けを求めに向かい始めるところで既に被告人の手は陰部から離れていた旨等を証言している。
     このうち,写真を撮った際にも痴漢被害に遭い続けていたのかどうかについては,供述が一貫していないものの,短時間の出来事についての証言であり,この点の説明にやや齟齬が生じたこと自体は特段不自然ではないという評価も可能であるとは思われる。しかしながら,写真撮影時の心境やその態様については,被告人に暴力を振るわれるのが怖かったので気付かれないような態様で写真を撮ったと述べる一方で,シャッター音を鳴らして写真を撮っているなどの点で,必ずしもその説明が一貫しているとは言い難い。もちろん,痴漢被害に遭っている状況で冷静に状況を分析できずに,又はシャッター音のことを失念して,甲が証言するとおりの心境や態様で写真を撮ったという可能性はあるものの,そうであったと認定できる証拠もない以上,結局甲の証言からは,当時の心境や,なぜそのような態様で写真を撮ったのか,判然としない部分が残る。
   エ 加えて,甲は,近くにいた乙に助けを求め,一旦被告人から離れてから被告人を捕まえに行った際に,乙が被告人に「痴漢をしましたよね」と話し掛けたのに対して,被告人が片言の日本語で「ごめんなさい」と言っていたと証言している。
     しかしながら,この点について当公判廷で証言をした乙は,被告人が言葉を発した記憶は全くなく,被告人の声を聞いていない旨を証言している。乙の証言の信用性に何ら疑いはなく,当時被告人はごめんなさいと言っていなかったと認められるが,その場合,甲がなぜ,犯人性や故意等を裏付ける重要な供述となり得るこの「ごめんなさい」という言葉を被告人が言っていたと証言したのか,本件証拠上その理由は不明であり,刑事裁判の基本原則の下で考えれば尚更,様々な可能性が考えられると言うほかない。
   オ その他の証言内容を見ても,甲は,痴漢被害の内容について,右手の指3本で陰部を衣服の上から触られた,途中で指をまばらに動かされたり,陰部の手前から奥の方に触る場所を変えたりした旨証言するが,それ以上に触られ方や触られている間の心情等が具体的に証言されているわけではない。この点は,性的被害の内容を自身の口から積極的に語れないことはもっともである上,甲としては証人尋問の際に質問された内容に答えた結果がこのようになっただけではあるけれども,結果として証言された痴漢被害の内容が,必ずしも実際に経験した者でなければ証言できないほどの具体性や迫真性のある内容とはなっていない以上,この点からも合理的疑いを超える程に甲の証言の信用性が高いと評価することは困難である。
  (4)ア これに対して検察官は,被告人と面識がなく,本件前に被告人とトラブルを起こしてもいない甲には,あえて虚偽の被害を申告する動機はない旨を主張する。
     しかしながら,甲は痴漢被害の前に被告人の傘が太もも等に当たっていたと証言しており,本件前にトラブルがなかったという前提については,必ずしもそうであったとは言えない。
     その上で更に検討すると,確かに,本件で甲が虚偽の被害を申告する動機があると立証されているわけではない。しかしながら他方で,そのような動機がないという立証も十分にされていない。特に本件では,前記のとおり,被告人が「ごめんなさい」と言っていたとなぜ甲が証言したのか不明であるなど,甲の内心面には判然としない部分も残るのであって,そのような本件の具体的事情の下においては,動機について様々な可能性が考えられる以上,動機がないという十分な立証がされているとは認められない。
   イ また,検察官は,甲の証言内容が具体的かつ自然であるなどと主張しているが,本件で甲が証言する痴漢被害の内容が,必ずしも実際に経験した者でなければ証言できないほどの具体性や迫真性がある内容となっているとは言い難いことは既に述べたとおりである。
     なお,確かに甲の証言中,甲の太ももに被告人の傘の柄が当たるなどした状況についてはそれなりに具体的に述べられているとも思われるが,それに不満を抱いて本件被害申告をした可能性も否定はされていない上,いずれにしても,この点が具体的であるからといって,その後の痴漢被害について証言する部分についても合理的疑いを超えて信用できるとは言い切れない。
   ウ さらに,検察官は,被告人の顔をにらみ付ける以外に抵抗らしい抵抗はできなかったという甲の証言は,甲が降車予定であった○○駅で降車しなかった客観的状況と整合すると主張する。
     しかしながら,にらみ付けるなどの行動を取ることができた甲が,途中の駅に着いた際に電車から降りるという単純な行動をなぜ取ることができなかったかについては,様々な評価が可能ながらも疑問の余地が残ることは前記のとおりであり,この点から甲の証言が合理的疑いを超えて信用できると評価することはできない。
   エ 加えて,検察官は,乙の証言において,助けを求めてきた甲は涙目で,声も震えていて,すごく怖かった様子が伝わってきた旨が述べられていることから,甲の証言は信用できる旨を主張するが,これは乙が受けた印象の問題でもあり,この点を過度に重視するのは相当でない。
  (5) 以上の諸事情等を総合考慮した場合,甲の証言は真実を述べている可能性も十分にあるとはいえ,他方でなお合理的な疑いを差し挟む余地は残るから,甲の証言は,それのみで本件公訴事実を合理的疑いなく認定できるほどの高い信用性があるとは言えない。
 4 被告人の供述について
  (1) 他方で被告人は,本件電車内で立っていたところ,1メートルくらい離れた距離に立っていた甲が自分の写真を撮ったが,なぜ写真を撮られたか全く分からず,その後もう一人の女性の乗客と一緒に近づいてきてリュックサックを掴まれたが,女性が日本語で話している内容が分からず,怖くなったので逃走した旨一貫して述べて,本件公訴事実記載の犯行を否認している。
  (2) 検察官は,捜査段階において被告人が,本件当日は本件電車を○○駅で降りて別の電車に乗り換え,アルバイト先の工場に向かう予定だったと述べていたのに,当公判廷では■▽駅で乗り換える予定だったと述べていて供述が変遷している点,及び当公判廷において被告人が,捜査段階では○○方面で乗り換えると供述しただけで,○○駅で乗り換えるとは言っていないと供述している点等から,被告人の供述は一貫性を欠き信用できないと主張する。
    しかしながら,被告人は,捜査段階の取調べ時に,自分のアルバイト先をよく覚えていない旨を述べていて,実際,○○駅で乗り換える予定だったと供述しつつも,目的地は○○駅で乗り換える必要のない■▽駅だったと述べるなどしていて,乗換駅や目的地について混乱している様子が見受けられる。被告人は日本に来て間もない外国人であり,しかもアルバイト先の工場は派遣会社を通じて決められ,その都度行き先が異なっていたというのであるから,被告人が目的地や乗換駅について取調べ時に混乱していたとしても不自然ではない。また,当公判廷において被告人が,取調べDVDを見る前に,捜査段階で○○駅で乗り換えると言っていたことを否定していた点についても,単に捜査段階でどのように話していたかを覚えておらず,現在の認識を基にして,捜査段階でもそのように言ったことはないと思い込み,その旨供述しただけという可能性も十分に考えられる。よって,以上の点をもって,本件公訴事実を否定する被告人の供述が不合理で信用性を欠くとは言えない。
  (3) また,検察官は,事件後の被告人の行動に関連して,被告人が供述する翌朝の乗車履歴が被告人のIC乗車券にはなく,被告人の供述が信用できないと主張するが,そもそもこの点は本件公訴事実について虚偽を述べていることに直ちに結びつくものとは認め難いし,当時の精神的動揺や裁判までの時間の経過により被告人が逃走後の行動を正しく記憶していない可能性もあり,被告人が切符を買って電車に乗ったという可能性も否定はできない以上,この点から当公判廷における被告人の供述が信用できないとは言えない。
  (4) さらに,検察官は,被告人の供述は甲の証言と矛盾していて信用できないと主張するが,甲の証言にはそれのみで本件公訴事実を合理的疑いなく認定できるほどの高い信用性があるとは言えない以上,この主張も採用できない。
  (5) そして,その他被告人の供述に不自然な点は見受けられないから,被告人の供述の信用性は排斥されない。
第4 結論
   よって,被告人が本件公訴事実記載の犯行をしたと認定するには合理的な疑いが残るから,当裁判所は,刑事訴訟法336条により,被告人に対して無罪の言渡しをする。
(求刑 罰金30万円)
  平成30年11月21日
    さいたま地方裁判所第1刑事部
        裁判長裁判官  高山光明
           裁判官  加藤雅寛
           裁判官  中川大夢

復権によって「免許停止となった人が運転免許を取り直したり、医師免許などを取り上げられた人が再び国家試験を受けられるようになったりするほか、公職選挙法違反で失われた公民権も回復されます」ということはない


 運転免許については、前科による欠格がないので、影響ありませんし、欠格期間等の行政処分にも影響ありません。
 医師免許については、前科が直接取消になるわけではなく免許取消という行政処分がかんでいて免許取消になると5年間欠格になるという構造なので、復権しても免許は戻らない。

医師法第7条
3 前二項の規定による取消処分を受けた者(第四条第三号若しくは第四号に該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつた者として前項の規定による取消処分を受けた者にあつては、その処分の日から起算して五年を経過しない者を除く。)であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。この場合においては、第六条第一項及び第二項の規定を準用する。

 公職選挙法252条1項の場合は、体裁上罰金刑による資格制限なので、復権されれば、選挙権・被選挙権が復活する。

公職選挙法
第二五二条(選挙犯罪による処刑者に対する選挙権及び被選挙権の停止)
1 この章に掲げる罪(第二百三十六条の二第二項、第二百四十条、第二百四十二条、第二百四十四条、第二百四十五条、第二百五十二条の二、第二百五十二条の三及び第二百五十三条の罪を除く。)を犯し罰金の刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から五年間(刑の執行猶予の言渡しを受けた者については、その裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間)、この法律に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。
2この章に掲げる罪(第二百五十三条の罪を除く。)を犯し禁錮こ以上の刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から刑の執行を終わるまでの間若しくは刑の時効による場合を除くほか刑の執行の免除を受けるまでの間及びその後五年間又はその裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間、この法律に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。
3第二百二十一条、第二百二十二条、第二百二十三条又は第二百二十三条の二の罪につき刑に処せられた者で更に第二百二十一条から第二百二十三条の二までの罪につき刑に処せられた者については、前二項の五年間は、十年間とする。
4裁判所は、情状により、刑の言渡しと同時に、第一項に規定する者(第二百二十一条から第二百二十三条の二までの罪につき刑に処せられた者を除く。)に対し同項の五年間若しくは刑の執行猶予中の期間について選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用せず、若しくはその期間のうちこれを適用すべき期間を短縮する旨を宣告し、第一項に規定する者で第二百二十一条から第二百二十三条の二までの罪につき刑に処せられたもの及び第二項に規定する者に対し第一項若しくは第二項の五年間若しくは刑の執行猶予の言渡しを受けた場合にあつてはその執行猶予中の期間のうち選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用すべき期間を短縮する旨を宣告し、又は前項に規定する者に対し同項の十年間の期間を短縮する旨を宣告することができる。


法務省のFAQができています

http://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo08_00007.html
Q 復権の対象になれば,過去に納付した罰金は返金されますか。
A 返金されません。
Q 道路交通法違反により,罰金刑を受けるとともに,運転免許取消処分を受けました。復権の対象となることで,運転免許は戻ってきますか。
A 取り消された運転免許が戻ってくることはありません。欠格期間が短縮されることもありません。(運転免許取消処分は刑事処分を根拠に行うものではなく,違反行為を点数化し,その累積に基づき行うため,復権の効果は及びません。)

https://www.news-postseven.com/archives/20191101_1477311.html
具体的には誰が対象となったのか。法務省保護局総務課恩赦係に聞いた。。。。「免許停止となった人が運転免許を取り直したり、医師免許などを取り上げられた人が再び国家試験を受けられるようになったりするほか、公職選挙法違反で失われた公民権も回復されます」<<

h30.12.11の淫行とH31.3.11と3.26の淫行を児童淫行罪の包括一罪とした事例(静岡地方裁判所r01.08.28 懲役2年6月実刑)

「被害者から「好きです。」などと告白され、」「被害者の宥恕は得られなかったものの、賠償金として200万円を支払って示談し」でも実刑になっています。

 被告人に対する児童福祉法違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について、当裁判所は、検察官山根誠之、弁護人内田隼二各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
被告人を懲役2年6月に処する。

理由
(犯罪事実)
第1 被告人は、●●●高等学校の教諭として、同校●●●部の顧問をしていたものであるが、同校の生徒であり、同部の部員である●●●(当時17歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、その立場を利用し、同児童が自己に好意を寄せていることに乗じ、
 1 平成30年12月11日午後4時55分頃から同日午後6時52分頃までの間に、静岡県●●●所在のホテル●●●において、同児童に自己を相手に性交させ、
 2 平成31年3月11日午後7時頃から同日午後7時43分頃までの間に、同県●●●所在の同校●●●において、同児童に自己を相手に性交させ、
 3 同月26日午後5時頃から同日午後5時15分頃までの間、同県●●●から北北東方向図測約177メートル先空き地に駐車中の自動車内において、同児童に自己を相手に性交させ、もって児童に淫行をさせる行為をした。
第2 被告人は、前記●●●(当時17歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、前記第1の1の日時、場所において、同児童に、その乳房、陰部を露出した姿態、被告人の陰茎を口淫する姿態及び被告人と性交する姿態をとらせ、これを撮影機能付き携帯電話機で撮影し、その動画データ1点をその携帯電話機本体の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した。
(法令の適用)
  (1) 罰条
  (ア) 第1の行為 包括して、児童福祉法60条1項、34条1項6号
  (イ) 第2の行為 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項(2条3項1号、3号)、2項
  (2) 刑種の選択 いずれも懲役刑を選択
  (3) 併合罪加重 刑法45条前段、47条本文、ただし書、10条(重い判示第1の罪の刑に加重)
(量刑の事情)
 本件は、高校の教諭であった被告人が、顧問として指導していた部活動の部員で、当時17歳の被害者に対し、〈1〉自己を相手方として3回にわたり性交させて淫行した児童福祉法違反1件と、〈2〉その性行為等の場面を動画撮影して児童ポルノを作成した児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反1件の事案である。
 被告人は、悩みを抱えていた被害者をドライブに連れ出した際、被害者から「好きです。」などと告白され、被害者との交際を断れば、被害者の精神状態が悪化するなどと考え、交際を続け、本件各犯行に及んだというのであるが、仮にそのような事情があったとしても、妻子がいて被害者の好意に応じ難い立場である上、教諭として、また、部活動の顧問として、未成年者の健全な成長を促すべき立場にあるにもかかわらず本件犯行に及んだものであるから、本件は、被害児童を保護すべき立場の者が、逆に、被害児童の思慮分別の未熟さに付け込んだ身勝手で卑劣な犯行というべきであって、強い非難に値する。しかも、被告人が、判示のとおり児童ポルノの撮影に及んだほか、●●●あるいは、妻に被害者との関係が発覚した後もひそかに関係を続けるなどしていたことも考慮すると、被告人は、もっぱら自らの性欲を満たすため、被害者をもてあそんでいたといわざるを得ず、被害者の今後の成長に与える影響も憂慮される。被害者の家族が被告人の厳重処罰を求めるのも無理からぬものがある。
 そうすると、本件は、被害者を保護すべき立場の被告人が、被害者の情操を甚だしく害したという悪質な犯行というべきであって、以下のような被告人のために酌むべき事情を考慮しても、その刑の執行を猶予するのが相当であるとはいえない。
 すなわち、被告人が事実を認めて反省の態度を示していること、被害者の宥恕は得られなかったものの、賠償金として200万円を支払って示談したこと、当然のこととはいえ、●●●妻が情状証人として出廷し、被告人の更生を支援する旨証言していること、フォークリフトの免許を取るなど社会復帰を目指した取り組みを始めたことなど、被告人のために酌むべき事情も認められ、これらの事情を考慮すると、前記のとおり刑の執行を猶予するのは相当ではないものの、被告人を主文の刑に処するのが相当である。
(求刑-懲役3年6月)

刑事第1部

 (裁判官 伊東顕)


 審理経過としては
 5月 逮捕
 6/3起訴 
 7/18即日結審 求刑4年
 8/28 実刑判決 宣告2年6月
となっていて、実刑事案としては雑な感じです。

児童福祉法違反で元県立高教諭起訴-静岡地検
2019.07.05 静岡新聞
 静岡地検は4日までに、児童福祉法違反と児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で、元県立高教諭で30代の無職の男を静岡地裁に起訴した。
 起訴は6月3日付。起訴状などによると、男は高校教諭だった2018年12月ごろから19年3月ごろまでの間、10代の少女が18歳未満と知りながら複数回にわたり淫行させた上、携帯電話で動画を撮影し児童ポルノを製造したとされる。
 男は4月に県教委から懲戒免職処分を受け、5月に県警に逮捕された。地裁は匿名で公判を行うことを決めている。
・・・
児童福祉法違反の元教諭に4年求刑 静岡地裁初公判
2019.07.18 静岡新聞
 勤務していた高校の生徒に淫行をさせるなどしたとして、児童福祉法違反と児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた元県立高教諭の30代の男=懲戒免職=の初公判が18日、静岡地裁(伊東顕裁判官)で開かれた。被告は起訴内容を認め、検察側が懲役4年を求刑、弁護側が執行猶予付き判決を求めて即日結審した。判決は8月28日。
 検察側は論告で「自ら生徒を誘い出し、自分の性欲を満たすために教員の立場を乱用した特に悪質な犯行」と指摘した。弁護側は「悪意はなかった」と酌量を求めた。
 起訴状などによると男は2018年12月ごろから19年3月ごろまでの間、勤務校の女子生徒が18歳未満と知りながら複数回淫行をさせた上、携帯電話で動画を撮影し児童ポルノを製造したとされる。
 公判は被害者が特定される可能性がある「被害者特定事項」として匿名で行われた。

「2018年春、前夫は、勤務する会社のイベントに娘を連れて行き、その帰りに車の中で体を触るなどの行為を行った。かずみさんが離婚したのは今から9年前。娘と実父が会ったのは、このときが7年ぶりだった。」場合の罰条

 
 警察は重い罰条から検討していくもので、
 国法から見ていくと、わいせつ行為があったとしても、暴行脅迫がないということなので、強制わいせつ罪は不成立。
 「現に監護する者」ではないので、監護者わいせつ罪は不成立
 児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)は、性交・性交類似行為がないと不成立。
 国法の罪がないので、青少年条例違反(わいせつ行為)が検討されることになります。青少年条例には国法の性犯罪規定の補充的性格があるので、国法に漏れたのをここにひっかけるという構造です。

今井検事「刑法の一部を改正する法律の概要」警察公論72巻12号
3 捜査上の留意点
ア「現に監讓する者」の要件について
監護者わいせつ罪岐び監護者性交等罪の主体は. 18歳未満の者を「現に監護する者」に限定されており.教師やスポーツのコーチ等の指導者などについては.個別の具体的事例ごとに判断されるべき事柄ではあるが,一般的に, その者の生活全般にわたって.依存・被依存ないし保護・被保護の関係が認められるとはいえないことから、通常は.監護者には該当しないと考えられる。
もっとも、こうした教員等による性的行為が監護昔性交等罪等の適用対象とならないとしても,強制性交等罪等や準強制'性交等罪等が成立し得るのであり.教師等の立場や影響力の有無無・程度は.強制性交等罪等の暴行・脅迫要件や準強制性交等罪等の抗拒不能の要件を判断する際の重要な要素となり得ると考えられる。
したがって. こうした事案においても,犯罪の成否について.行為者と被害者との関係具体的な影響力の内容や程度.被害者の意思決定の過程などについて十分な捜査を尽くし,適切な判断をすることに留意する必要がある。
イ「影響力があることに乗じて」の要件について
被疑者からは, 18歳未満の者が積極的に(あるいは喜んで)性的行為に応じたから.影響力があることに乗じて行ったものではなく,影響力と無関係に行われたものであるとの主張がなされることが考えられる。
しかし, 18歳未満の者がそのような行動をとる例として.例えば、幼年のころから継続的に.監護音による性的行為を受け続け, そのような行為が当然のことであると思い込んでいる場合や.監護者を喜ばせ, あるいは監護者の機嫌を損なわないようにするために、積極的に応じるような場合が考えられるところ, いずれも. 「現に監護者であることによる影響力」によって18歳未満の者がそのような行動に至っていると一般的に考えられることから, このような行動が認められたとしても。「影響力があることに乗じて」行ったものではないとはいえないことに留意する必要がある。

https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/20191027-00147991/
離婚で離れた実父からの性被害
「実父が娘に性的な行為をすること自体がおかしい。議員さんたち、自分の家族がもし同じ目に遭ったら、絶対に法律を変えていると思います」

 かずみさん(仮名)は、取材に対して落ち着いた声でそう話した。彼女の娘は昨年、離れて暮らしていた実父からわいせつな被害に遭った。事件当時13歳だった。

 2018年春、前夫は、勤務する会社のイベントに娘を連れて行き、その帰りに車の中で体を触るなどの行為を行った。かずみさんが離婚したのは今から9年前。娘と実父が会ったのは、このときが7年ぶりだった。

 かずみさんが被害を知ったのは秋。その後、年が明けてから警察に相談した。最初は生活安全課が対応したが、しばらくして刑事課の担当に。強制わいせつや、監護者わいせつでの立件を視野に入れてのことだったと思われる。

 しかし捜査中の今年3月から4月にかけて、性犯罪の無罪判決が相次いで報じられると、「刑事課の刑事さんたちがトーンダウンした」。無罪判決が出た裁判所の一つは、かずみさんたちが暮らす街の近くだった。

■娘の一言を「同意」と誤解?
 現在の性犯罪刑法における「性交同意年齢」は13歳。事件当時13歳だった娘に行われた行為について、強制わいせつに問うためには「暴行もしくは脅迫」があったことが必要となる。

 父親から殴る蹴るの暴行や「殺すぞ」といった脅しはなかったが、実父の行動に動揺した娘は、目に見える形で抵抗したり、逃げたりすることができなかった。

 一方、2017年の刑法改正で新設された監護者わいせつ罪では、被害者が18歳未満で、加害者が「監護者(実親や養親など子どもを監護する立場の人)」である場合、「暴行・脅迫」の有無は問われない。

 しかし、離婚した実父は「監護者」に当たらないと判断された。

4月11日に行われたフラワーデモで「暴行・脅迫要件」の撤廃を求めるプラカードを持つ参加者もいた(筆者撮影)
「前夫は息子とは会っていたのですが、娘は会いたがらなかったので会っていませんでした。養育費の支払いもなかった。だから『監護者』ではないと刑事課の刑事さんに説明されました」

 その後、担当が生活安全課に戻り、父親は条例違反(淫行)で在宅起訴。罰金刑のみとなる可能性が高いと説明を受けた。

 取り調べに対して父親は、娘が「パパ、ちゃんと話をしようよ」と言ったことを「行為の同意」と思ったと話したという。娘からすれば、父親の行動を異常だと感じ、やめさせようとして言った言葉だった。

 起訴後、お互いの弁護士を通じて示談に。示談を選んだ理由は、「今後、娘に会わない」という取り決めを結ぶために、ほかに手段がなかったからだ。元夫は示談金を分割で支払うことを提案。初回以降、弁護士を通じて催促する状況となっている

 かずみさんは言う。

「生活安全課の方は親切に話を聞いてくれて、何とか条例違反にはしてくれました。こちら側の代理人となってくれた弁護士さんも、強制わいせつにならないのかと意見書を書いてくれました。それでもやはりダメだった

「年齢鑑定を行う医師は、鑑定書等への書類添付用に印画した画像のみで判断することになる」ということはなく「鑑定資料の原物を提示し、年齢鑑定を実施する。当該資料が画像データの場合は、同データをパソコン等を利用の上、より鮮明な映像として提示し、被写体となる児童の身体の複数の部位を複数の場面、角度から観察する機会を設け、医師が納得のいくまで吟味した上での判断がなされるように留意する。」KOSUZO

 予備鑑定員も医師も結局、タナー法でやってますけどね。

KOSUZO 2018年 10月号 Vol.9 No.103
Q31
(1)児童ポルノ事犯の捜査については、被害児童を1人でも多く保護するという観点から、児童が特定できる可能性がある場合には、安易に医師による年齢鑑定を実施することなく、児童の特定に向けた捜査を徹底する。
(2)画像等に描写された児童の医師による年齢鑑定は、臨床経験や専門的知見を踏まえて実施されるが、対象者に関して得られる情報が限定的であること等による限界ないし危うさがあることに留意する。
(3)医師に提示する鑑定資料については、全身及び顔等が視覚により明瞭に確認できる画像でなければならず、画質が粗く不鮮明な画像や修正等の加工された可能性がある画像は鑑定資料の対象から除外する。
(4)年齢鑑定を行う医師は、鑑定書等への書類添付用に印画した画像のみで判断することになることから、児童性が明確に認定できる画像を複数抽出し、医師が納得のいくまで吟味した上での判断がなされるように留意する。
(5)医師による年齢鑑定については、拙速又は捜査機関の意図を汲んだ迎合的な鑑定等と疑念を抱かれることがないよう、慎重な姿勢で鑑定が実施されていることを明らかにして、医師による年齢鑑定の判断過程及び結論の客観性と信用性を担保する。
・・・・・・・・・
児童の立証に際しての留意事項
答え(4)
(1)○ 児童ポルノ画像等には、強制性交等、強制わいせつ等の悪質な犯罪を伴い製造されたものもあり、被害児童保護のためにも、児童の特定に向けた捜査を徹底する必要がある。
(2)○画像等に描写された児童の医師による年齢鑑定は、タナー法を適用して得られた結果を基本として、骨盤の発達の程度や顔立ち及び体つき等も考慮の上、医師としての臨床経験や専門的知見を踏まえて実施されるが、同手法による年齢鑑定は、実際に対象者を診察して評価を行う場合と比べて、被写体の姿勢、光の当たり方、画質等様々な制約があることから、限界ないし危うさがあることを十分認識し、鑑定資料の抽出や提示方法に留意する必要がある。
(3)○ また、乳房については被写体が寝ている状態では正確な判断が困難であること、陰部については剃毛の可能性があることにも注意する。
(4)×「鑑定書等への書類添付用に印画した画像のみで判断する」は誤り。医師に対しては、鑑定書等への書類添付用に印画したものだけでなく、鑑定資料の原物を提示し、年齢鑑定を実施する。当該資料が画像データの場合は、同データをパソコン等を利用の上、より鮮明な映像として提示し、被写体となる児童の身体の複数の部位を複数の場面、角度から観察する機会を設け、医師が納得のいくまで吟味した上での判断がなされるように留意する。
(5)○医師に対する鑑定嘱託等に際しては、判断に必要な資料がそろっているかを適宜確認するとともに、関係書類には医師の判断の根拠、理由等のほか、医師が判断をしかねる場合には判断を差し控える旨を明示するなど、判断過程及び結論の客観性と信用性を担保しておく必要がある。

・・・
児童ポルノ画像照会システムの活用
流通している児菫ポルノ画像等の中には、過去に検挙した事件において、既に児菫の特定や医師による年齢鑑定がなされているものがある。児菫ポルノ画像照会システムには、検挙事件に係る児菫ポルノ画像について、被写体となっている児童の特定の有無や医師の鑑定の有無等の情報が登録されていることから、児童の特定に向けた捜査に際しては、児童ポルノ画像照会システムへの照会を確実に実施する。

(軽犯罪法1条2号)公然と携帯しているつもりで、たまたま凶器が隠れた状態になっていた場合には、本号の罪は成立しないと解されている。

 特殊警棒とかの相談が来ますけど。

軽犯罪法
第一条[軽犯罪]
 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

mpd公研SA実務2017
次は、軽犯罪法に関する記述であるが、妥当なものはどれか。(平成27年
(1)本法第1条2号の罪(凶器携帯の罪)は、正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他、人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた場合に成立するが、凶器を隠す意思がなく、たまたま衣服のポケット等に入れていた場合であっても本号の罪が成立する。
・・・
(1)妥当でない。
本法第1条2号の罪(凶器携帯の罪)にいう「隠して」とは、一般社会生活上、これに接触する人から見えない状態に置くことをいい、行為者の認識が必要であるとするのが通説である。つまり、公然と携帯しているつもりで、たまたま凶器が隠れた状態になっていた場合には、本号の罪は成立しないと解されている。したがって、枝文の場合、「凶器を隠す意思がない」ので、本号の罪は成立しない(警視庁地域部「軽犯罪法・めい規法の解説及び質疑回答集改訂版』

児童買春2罪の捜査中(略式命令前)の再犯を懲役1年執行猶予4年にした事例(高松地裁r010527)

 「平成30年9月及び同年10月にした児童買春等により逮捕され,警察官及び検察官の取調べを受け,本件当時,被告人が述べるようにその起訴状謄本や被告人を罰金70万円に処する旨の同年12月27日付け略式命令の送達を受ける前であったとしても,児童買春の違法性を十分に認識していたはずであるのに,児童の判断能力が未熟であることに付け込んで児童を性的に搾取する本件児童買春行為に及んだものであり,被告人の意思決定は強く非難されるべきである。」という評価になっていますが、量刑としては重くありません。
 略式命令後の事件とは違います。

 上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官奥野陽子及び弁護人坪井智之(私選)各出席の上審理し,次のとおり判決する。
主文
 被告人を懲役1年に処する。
 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,平成30年12月18日午後3時37分頃から同日午後4時05分頃までの間,香川県綾歌郡〈以下省略〉のaホテル209号室において,【被害者】(当時●歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児童に対し,現金3万円の対償を供与して,同児童に自己の陰茎を口淫させるなどの性交類似行為をし,もって児童買春をした。
 (証拠の標目)
 (法令の適用)
 1 罰条 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号
 2 刑種の選択 懲役刑を選択
 3 刑の執行猶予 刑法25条1項
 (量刑の理由)
 本件は,被告人が,いわゆるラブホテルの客室内で,現金3万円を対償として18歳に満たない女児に自己の陰茎を口淫させる性交類似行為をして児童買春をした事案であり,被告人は,平成30年9月及び同年10月にした児童買春等により逮捕され,警察官及び検察官の取調べを受け,本件当時,被告人が述べるようにその起訴状謄本や被告人を罰金70万円に処する旨の同年12月27日付け略式命令の送達を受ける前であったとしても,児童買春の違法性を十分に認識していたはずであるのに,児童の判断能力が未熟であることに付け込んで児童を性的に搾取する本件児童買春行為に及んだものであり,被告人の意思決定は強く非難されるべきである。
 他方,被告人が,本件公訴事実を認め,二度と同様の行為はしない旨述べていること,被告人の父が情状証人として出廷して被告人の監督を約束したこと,弁護人を介して被害者側に示談の申し入れをしていること及び被告人が正式裁判を受けるのは今回が初めてであることなど,有利に酌むべき事情もある(なお,被告人がカウンセリングに通っていることは,その内容に照らして,有利に酌むべき事情とはいえない。)。
 したがって,被告人につき,今回は,社会内での更生を図るべく,その刑の執行を猶予することとして,主文のとおり判決する。
 (求刑 懲役1年)
 高松地方裁判所刑事部
 (裁判官 濵優子)

被告人は,女子高校生一般に対して日頃から怒りや恨み等の感情を抱いていたため,仕返しをする目的だったという弁解~法務総合研修所教官森田秀人「強制わいせつの主観的要素を立証するに当たり,本件の数日後に被告人が別の被害者に同種のわいせつ行為に及んだ事実を用いることができるとされた事例(東京高裁令元. 5. 15判決・上告中)」研修856号

 被告人は,女子高校生一般に対して日頃から怒りや恨み等の感情を抱いていたため,仕返しをする目的だったという弁解~法務総合研修所教官森田秀人「強制わいせつの主観的要素を立証するに当たり,本件の数日後に被告人が別の被害者に同種のわいせつ行為に及んだ事実を用いることができるとされた事例(東京高裁令元. 5. 15判決・上告中)」研修(第856号)判例紹介

1 事案の概要
本件は,被告人が自転車で通行中の女子高校生に強いてわいせつな行為をしようと考え‘①某日午後6時35分頃路上を自転車で通行中のAに対し, 道を尋ねる振りをして呼び止めた上,右手に持った包丁をその腹部に突き付けながら,左手でその右肘付近をつかんで引っ張るなどし, 自転車から降ろしたAを付近の駐車場に連れ込み, 同様に包丁をその腹部に突き付けながら, 「騒いだら殺すぞo」などと言い,抵抗するAの顔面を1回殴るなどの暴行, 脅迫を加え,強いてわいせつな行為をしようとしたが, Aに逃走されたため, その目的を遂げず(強制わいせつ未遂。以下「第1事件」ともいう。),②その5日後の午後7時46分頃路上を自転車で通行中のBに対し, その顔面を1回殴打し, 自転車もろともBを路上に転倒させ,逃げるBを付近の空き地まで追いかけ, Bを押し倒し, その頭部等を多数回殴るなどの暴行を加えた上,スカートをまくり上げ, シヨートパンツの上からその臂部を触り, その際, Bに全治約2週間の傷害を負わせた(強制わいせつ致傷。以下「第2事件」ともいう。) という事案である。
本件では,被告人がA, Bに公訴事実記載の暴行,脅迫をしたことに争いはなく,主たる争点は,被告人が暴行,脅迫の際わいせつな行為をする目的を有していたか否かである(なお, 第2事件では,被告人が意図してわいせつな行為をしたか否かも争点となった。)。
この点について,被告人は,女子高校生一般に対して日頃から怒りや恨み等の感情を抱いていたため,仕返しをする目的だった旨主張した。

恩赦「8割が交通違反や交通事故で罰金刑を受けて運転免許の再取得を制限されている人などだということです。」という報道(テレビ朝日)

「恩赦を受けられるのは罰金を納めてから3年以上が経過している人で、約55万人と見込まれています。法務省によりますと、8割が交通違反や交通事故で罰金刑を受けて運転免許の再取得を制限されている人などだということです。」という報道(テレビ朝日

 法文を捜してみましたが、技能検定員・教習指導員を除いて、運転免許の関係では前科による資格制限はありません。刑務所でも仮免許取得・免許更新が可能ですし。

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20191018-00000034-ann-soci
「即位礼正殿の儀」約55万人に恩赦実施を閣議決定
10/18(金) 12:03配信テレ朝 news
All Nippon NewsNetwork(ANN)
 天皇陛下が即位を宣言される来週の「即位礼正殿の儀」に合わせて、政府は恩赦を実施することを閣議決定しました。

 政府は、交通違反などで罰金刑を受けた人が制限されている資格を回復する「復権」の政令恩赦を実施することなどを閣議決定しました。恩赦を受けられるのは罰金を納めてから3年以上が経過している人で、約55万人と見込まれています。法務省によりますと、8割が交通違反や交通事故で罰金刑を受けて運転免許の再取得を制限されている人などだということです。恩赦が実施されるのは1993年の天皇皇后両陛下のご結婚以来、26年ぶりです。

道路交通法
第二節 免許の申請等
第八八条(免許の欠格事由)
 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、第一種免許又は第二種免許を与えない。
一 大型免許にあつては二十一歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に、中型免許にあつては二十歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に、準中型免許、普通免許、大型特殊免許、大型二輪免許及び牽けん引免許にあつては十八歳に、普通二輪免許、小型特殊免許及び原付免許にあつては十六歳に、それぞれ満たない者
二 第九十条第一項ただし書の規定による免許の拒否(同項第三号又は第七号に該当することを理由とするものを除く。)をされた日から起算して同条第九項の規定により指定された期間を経過していない者若しくは免許を保留されている者若しくは同条第二項の規定による免許の拒否をされた日から起算して同条第十項の規定により指定された期間を経過していない者又は同条第五項の規定により免許を取り消された日から起算して同条第九項の規定により指定された期間を経過していない者若しくは免許の効力を停止されている者若しくは同条第六項の規定により免許を取り消された日から起算して同条第十項の規定により指定された期間を経過していない者
三 第百三条第一項若しくは第四項の規定による免許の取消し(同条第一項(第四号を除く。)に係るものに限る。)をされた日から起算して同条第七項の規定により指定された期間(第百三条の二第一項の規定により免許の効力を停止された者が当該事案について免許を取り消された場合にあつては、当該指定された期間から当該免許の効力が停止されていた期間を除いた期間。以下この号において同じ。)を経過していない者若しくは第百三条第二項若しくは第四項の規定による免許の取消し(同条第四項の規定による免許の取消しにあつては、同条第二項に係るものに限る。)をされた日から起算して同条第八項の規定により指定された期間を経過していない者又は同条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項若しくは同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により免許の効力が停止されている者
四 第百七条の五第一項若しくは第二項、同条第九項において準用する第百三条第四項又は第百七条の五第十項において準用する第百三条の二第一項の規定により自動車等の運転を禁止されている者
2大型仮免許にあつては二十一歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に、中型仮免許にあつては二十歳(政令で定める者にあつては、十九歳)に、準中型仮免許及び普通仮免許にあつては十八歳に、それぞれ満たない者に対しては、仮免許を与えない。
3免許を現に受けている者は、当該免許と同一の種類の免許を重ねて受けることができない。


第九〇条(免許の拒否等)
 公安委員会は、前条第一項の運転免許試験に合格した者(当該運転免許試験に係る適性試験を受けた日から起算して、第一種免許又は第二種免許にあつては一年を、仮免許にあつては三月を経過していない者に限る。)に対し、免許を与えなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、政令で定める基準に従い、免許(仮免許を除く。以下この項から第十二項までにおいて同じ。)を与えず、又は六月を超えない範囲内において免許を保留することができる。
一 次に掲げる病気にかかつている者
イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて政令で定めるもの
ハ イ又はロに掲げるもののほか、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの
一の二 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第五条の二第一項に規定する認知症(第百二条第一項及び第百三条第一項第一号の二において単に「認知症」という。)である者
二 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
三 第八項の規定による命令に違反した者
四 自動車等の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反する行為(次項第一号から第四号までに規定する行為を除く。)をした者
五 自動車等の運転者を唆してこの法律の規定に違反する行為で重大なものとして政令で定めるもの(以下この号において「重大違反」という。)をさせ、又は自動車等の運転者が重大違反をした場合において当該重大違反を助ける行為(以下「重大違反唆し等」という。)をした者
六 道路以外の場所において自動車等をその本来の用い方に従つて用いることにより人を死傷させる行為(以下「道路外致死傷」という。)で次項第五号に規定する行為以外のものをした者
七 第百二条第一項から第三項までの規定による命令を受け、又は同条第六項の規定による通知を受けた者
2前項本文の規定にかかわらず、公安委員会は、次の各号のいずれかに該当する者については、政令で定める基準に従い、免許を与えないことができる。
一 自動車等の運転により人を死傷させ、又は建造物を損壊させる行為で故意によるものをした者
二 自動車等の運転に関し自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第八十六号)第二条から第四条までの罪に当たる行為をした者
三 自動車等の運転に関し第百十七条の二第一号又は第三号の違反行為をした者(前二号のいずれかに該当する者を除く。)
四 自動車等の運転に関し第百十七条の違反行為をした者
五 道路外致死傷で故意によるもの又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条から第四条までの罪に当たるものをした者
3第一項ただし書の規定は、同項第四号に該当する者が第百二条の二(第百七条の四の二において準用する場合を含む。第百八条の二第一項及び第百八条の三の二において同じ。)の規定の適用を受ける者であるときは、その者が第百二条の二に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後でなければ、適用しない。
4公安委員会は、第一項ただし書の規定により免許を拒否し、若しくは保留しようとするとき又は第二項の規定により免許を拒否しようとするときは、当該運転免許試験に合格した者に対し、あらかじめ、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をしようとする理由を通知して、当該事案について弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
5公安委員会は、免許を与えた後において、当該免許を受けた者が当該免許を受ける前に第一項第四号から第六号までのいずれかに該当していたことが判明したときは、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。
6公安委員会は、免許を与えた後において、当該免許を受けた者が当該免許を受ける前に第二項各号のいずれかに該当していたことが判明したときは、その者の免許を取り消すことができる。
7第三項の規定は第五項の規定による処分について、第四項の規定は前二項の規定による処分について、それぞれ準用する。この場合において、第三項中「第一項ただし書」とあるのは「第五項」と、「同項第四号」とあるのは「第一項第四号」と、第四項中「第一項ただし書」とあるのは「次項」と、「第二項」とあるのは「第六項」と読み替えるものとする。
8公安委員会は、第一項第一号から第三号までのいずれかに該当することを理由として同項ただし書の規定により免許を保留する場合において、必要があると認めるときは、当該処分の際に、その者に対し、公安委員会が指定する期日及び場所において適性検査を受け、又は公安委員会が指定する期限までに内閣府令で定める要件を満たす医師の診断書を提出すべき旨を命ずることができる。
9公安委員会は、第一項ただし書の規定により免許の拒否(同項第三号又は第七号に該当することを理由とするものを除く。)をし、又は第五項の規定により免許を取り消したときは、政令で定める基準に従い、五年を超えない範囲内で当該処分を受けた者が免許を受けることができない期間を指定するものとする。
10公安委員会は、第二項の規定により免許の拒否をし、又は第六項の規定により免許を取り消したときは、政令で定める基準に従い、十年を超えない範囲内で当該処分を受けた者が免許を受けることができない期間を指定するものとする。
11第五項の規定により免許を取り消され、若しくは免許の効力の停止を受けた時又は第六項の規定により免許を取り消された時におけるその者の住所が当該処分をした公安委員会以外の公安委員会の管轄区域内にあるときは、当該処分をした公安委員会は、速やかに当該処分をした旨をその者の住所地を管轄する公安委員会に通知しなければならない。
12公安委員会は、第一項ただし書の規定により免許の保留(同項第四号から第六号までのいずれかに該当することを理由とするものに限る。)をされ、又は第五項の規定により免許の効力の停止を受けた者が第百八条の二第一項第三号に掲げる講習を終了したときは、政令で定める範囲内で、その者の免許の保留の期間又は効力の停止の期間を短縮することができる。
13公安委員会は、仮免許の運転免許試験に合格した者が第一項第一号から第二号までのいずれかに該当するときは、同項本文の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い、仮免許を与えないことができる。
14第四項の規定は、前項の規定により仮免許を拒否しようとする場合について準用する。この場合において、第四項中「第一項ただし書」とあるのは、「第十三項」と読み替えるものとする。

第九九条の二(技能検定員)
4公安委員会は、次の各号のいずれにも該当する者に対し、技能検定員資格者証を交付する。
一 次のいずれかに該当する者
二 次のいずれにも該当しない者
ハ 第百十七条の二の二第十一号の罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過していない者
ニ 自動車等の運転に関し自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条から第六条までの罪又はこの法律に規定する罪(第百十七条の二の二第十一号の罪を除く。)を犯し禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過していない者
第九九条の三(教習指導員)
 指定自動車教習所を管理する者は、自動車の運転に関する技能及び知識の教習を行わせるため、教習指導員を選任しなければならない。
2第四項の教習指導員資格者証の交付を受けていない者は、教習指導員となることができない。
3指定自動車教習所を管理する者は、自動車の運転に関する技能又は知識の教習を、教習指導員以外の者に行わせてはならない。
4公安委員会は、次の各号のいずれにも該当する者に対し、教習指導員資格者証を交付する。
二 次のいずれにも該当しない者
ハ 前条第四項第二号ロからニまでのいずれかに該当する者

次は、児童買春・児童ポルノ法に関する裁判例の記述であるが、誤りはどれか。(2015受験月報SA問題集)

次は、児童買春・児童ポルノ法に関する裁判例の記述であるが、誤りはどれか。(2015受験月報SA問題集)
 だいたい奥村弁護士が関与した判例を昇任試験で警察官が暗記しているようです。ころころ変わるからな。

2015受験月報SA問題集警察研修社白表紙
次は、児童買春・児童ポルノ法に関する裁判例の記述であるが、誤りはどれか。
(1) 刑法におけるわいせつの定義とは異なり、「徒に」ではなくても、「性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的差恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」であれば、児童ポルノに当たる。
(2) 児童ポルノの対象となる児童が特定できなくても、証拠等により、裁判官に合理的な疑いを容れない程度の確実な心証を抱かせることで「児童が18歳に満たない者」であることを証明できる。
(3) バックアップ用の電磁的記録媒体も、そのデータから児童ポルノ・わいせつ物が製造・販売される場合には、「販売目的(提供目的、有償で頒布する目的)の所持」とされる。
(4) 児童に、児童買春・児童ポルノ法2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせて、携帯電話内蔵カメラで撮影し、そのデータを電磁的記録媒体に保存した場合、撮影と保存の行為それぞれが児童ポルノの「製造」に当たり、それらは併合罪とされる。
(5) インターネット・オークションに児童ポルノを出品して、落札者に当該児童ポルノを送付した場合には、「不特定の者に提供する目的」があるといえる。

◆解説
平成19年9月4日札幌高裁判決は、「…児童ポルノ製造においては、「撮影して写真を作成する』といった、社会通念的に一つの固まりとみられそうな行為であっても、その過程で児童ポルノに当たる物が順次作成されるごとに製造行為が観念でき、当初から意図されていた物が製造されるまでに複数の製造行為が連なっているとみられる場合が少なくない。そして、同一の者が犯意を継続してこれらの行為を行ったような場合には、その全体として包括一罪となると解するのが相当である」とした(高刑速報平19~522)。
正解は(4) 誤り。
(1) 正しい。平成12年7月17日京都地裁判決は、「…性欲を興奮又は刺激せしめる点は必要であるが、しかし『徒に」興奮又は刺激しなくても処罰の対象とし、…」と判示し、さらに、「児童ポルノの定義から最高裁判所判例の掲げる『普通人の正常な性的蓋恥心を害し』という要件が割愛されているとしても、法の一般原則からして、その名宛人としての「普通人』又は『一般人』を基準として判断するのが相当である」とした(判タ1064.249)。
(2) 正しい。平成12年10月24日大阪高裁判決は、「…刑事訴訟法における証明は、医学等の自然科学における証明と異なり、裁判官に合理的な疑いを容れない程度に確実であるとの心証を抱かせれば足りるものである」と判示し、さらに「…児童ポルノに描写されている児童が実在する者であることは必要であるというべきであるが、更に進んで、その児童が具体的に特定することができる者であることまで必要ない」とした(高判速報平12. 146)。
(3) 正しい。平成18年5月16日最高裁決定では、「被告人は、本件光磁気ディスク自体を販売する目的はなかったけれども、…必要が生じた場合には、本件光磁気ディスクに保存された画像データを使用し、…販売用のコンパクトディスクを作成し、これを販売する意思であったものである。…そうすると、本件光磁気ディスクの製造、所持は、法第7条第2項にいう『前項に掲げる行為の目的』のうちの児童ポルノを販売する目的で行われたものであり、その所持は、刑法第175条後段にいう「販売の目的』で行われたものということができる」とした(刑集60.5.413)。
(5) 正しい。平成20年3月4日最高裁決定では、「…被告人は、児童ポルノであるDVDをインターネットオークションに出品して不特定の者から入札を募り、入札期間の終了時点で最高値の入札者を自動的に落札者とし、その後当該落札者にあてて落札されたDVDを送付したものであって、…買受人の募集及び決定並びに買受人への送付という不特定の者に販売する一連の行為の一部であるから、被告人において不特定の者に提供する目的で児童ポルノを外国から輸出したものというを妨げない」とした(刑集623.85)。