児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「年齢鑑定を行う医師は、鑑定書等への書類添付用に印画した画像のみで判断することになる」ということはなく「鑑定資料の原物を提示し、年齢鑑定を実施する。当該資料が画像データの場合は、同データをパソコン等を利用の上、より鮮明な映像として提示し、被写体となる児童の身体の複数の部位を複数の場面、角度から観察する機会を設け、医師が納得のいくまで吟味した上での判断がなされるように留意する。」KOSUZO

 予備鑑定員も医師も結局、タナー法でやってますけどね。

KOSUZO 2018年 10月号 Vol.9 No.103
Q31
(1)児童ポルノ事犯の捜査については、被害児童を1人でも多く保護するという観点から、児童が特定できる可能性がある場合には、安易に医師による年齢鑑定を実施することなく、児童の特定に向けた捜査を徹底する。
(2)画像等に描写された児童の医師による年齢鑑定は、臨床経験や専門的知見を踏まえて実施されるが、対象者に関して得られる情報が限定的であること等による限界ないし危うさがあることに留意する。
(3)医師に提示する鑑定資料については、全身及び顔等が視覚により明瞭に確認できる画像でなければならず、画質が粗く不鮮明な画像や修正等の加工された可能性がある画像は鑑定資料の対象から除外する。
(4)年齢鑑定を行う医師は、鑑定書等への書類添付用に印画した画像のみで判断することになることから、児童性が明確に認定できる画像を複数抽出し、医師が納得のいくまで吟味した上での判断がなされるように留意する。
(5)医師による年齢鑑定については、拙速又は捜査機関の意図を汲んだ迎合的な鑑定等と疑念を抱かれることがないよう、慎重な姿勢で鑑定が実施されていることを明らかにして、医師による年齢鑑定の判断過程及び結論の客観性と信用性を担保する。
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児童の立証に際しての留意事項
答え(4)
(1)○ 児童ポルノ画像等には、強制性交等、強制わいせつ等の悪質な犯罪を伴い製造されたものもあり、被害児童保護のためにも、児童の特定に向けた捜査を徹底する必要がある。
(2)○画像等に描写された児童の医師による年齢鑑定は、タナー法を適用して得られた結果を基本として、骨盤の発達の程度や顔立ち及び体つき等も考慮の上、医師としての臨床経験や専門的知見を踏まえて実施されるが、同手法による年齢鑑定は、実際に対象者を診察して評価を行う場合と比べて、被写体の姿勢、光の当たり方、画質等様々な制約があることから、限界ないし危うさがあることを十分認識し、鑑定資料の抽出や提示方法に留意する必要がある。
(3)○ また、乳房については被写体が寝ている状態では正確な判断が困難であること、陰部については剃毛の可能性があることにも注意する。
(4)×「鑑定書等への書類添付用に印画した画像のみで判断する」は誤り。医師に対しては、鑑定書等への書類添付用に印画したものだけでなく、鑑定資料の原物を提示し、年齢鑑定を実施する。当該資料が画像データの場合は、同データをパソコン等を利用の上、より鮮明な映像として提示し、被写体となる児童の身体の複数の部位を複数の場面、角度から観察する機会を設け、医師が納得のいくまで吟味した上での判断がなされるように留意する。
(5)○医師に対する鑑定嘱託等に際しては、判断に必要な資料がそろっているかを適宜確認するとともに、関係書類には医師の判断の根拠、理由等のほか、医師が判断をしかねる場合には判断を差し控える旨を明示するなど、判断過程及び結論の客観性と信用性を担保しておく必要がある。

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児童ポルノ画像照会システムの活用
流通している児菫ポルノ画像等の中には、過去に検挙した事件において、既に児菫の特定や医師による年齢鑑定がなされているものがある。児菫ポルノ画像照会システムには、検挙事件に係る児菫ポルノ画像について、被写体となっている児童の特定の有無や医師の鑑定の有無等の情報が登録されていることから、児童の特定に向けた捜査に際しては、児童ポルノ画像照会システムへの照会を確実に実施する。