普通は「全裸で」「陰部露出し」「乳房露出し」という記載があるところ「性交する姿態等」では、全裸半裸なのかがわかりません。
検察官も3号(衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの)に該当する具体的な事実を主張しないと、訴因不特定です。
3号(衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの)に該当する具体的な事実を認定しないと、犯罪になりません理由不備です。
判例がある。
名古屋高裁H23.7.5
次に,(2)の点について検討すると,原判決は,犯罪事実第1の2,第2の2,第3の2につき,法令の適用の項において,いずれも児童ポルノ処罰法7条3項,l項,2条3項1号,3号に該当すると判示しているのであるから,各犯罪事実において,同法2条3項1号のみならず3号に該当する姿態をとらせて児童ポルノを製造した旨の具体的事実をも摘示する必要があるというべきである。しかるに,原判決は,上記各犯罪事実において,各児童に「被告人と性交を行う姿態等」をとらせた上,これを写真撮影し,その静止画を記録媒体に記録させて描写し,もって「児童を相手方とする性交に係る児童の姿態等」を視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した旨を摘示するにとどまり,児童ポルノ処罰法2条3項3号に該当する姿態をとらせて児童ポルノを製造した旨の具体的事実を摘示していないのであるから,原判決には,上記各事実に関し,罪となるべき事実の記載に理由の不備があるといわざるを得ない。
論旨はこの点において理由がある。そして,原判決は,原判示第1の2,第2の2,第3の2の各児童ポルノ製造罪とその余の各罪とが刑法45条前段の併合罪の関係にあるものとして1個の刑を科しているから,結局,その余の控訴趣意について判断するまでもなく,原判決は全部につき破棄を免れない。
2 破棄自判
よって,刑訴法397条1項,378条4号により原判決を破棄し,同法400条ただし書により,当裁判所において更に判決する。
児童ポルノ・児童買春法7条
3この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの