児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

ハメ撮りの盗撮は、姿態をとらせて製造罪(7条4項)なのに(大阪高裁h28.10.26)、ひそかに製造罪(同条5項)で起訴したり、有罪になったりしてますよ。

 「5前二項に規定するもののほか」という法文になってるので、条文の並びから、姿態をとらせて製造罪が成立する場合には、ひそかに製造罪は成立しません。

 大分簡裁、札幌地裁にひそかに製造罪とした有罪事例があります。
 姫路支部では、ひそかに製造罪で起訴したものの裁判所に指摘されて姿態をとらせて製造罪に訴因罰条変更した事例があります。

 大阪高裁の判例があります。注意喚起のためにあえて起訴検事を代弁してみましたが、「法文も読めんのか、バカ」という判決になっていて、代理で怒られました。ひそかに製造罪で有罪にした大分・札幌の裁判官に捧げます。

阪高平成28年10月26日
 論旨は,本件製造行為は,いずれも盗撮によるものであるから,法7条4項の製造罪ではなく,同条5項の製造罪が成立するのに,同条4項を適用した原判決には,法令適用の誤りがある,というものである。
 しかしながら,法7条5項は「前2項に規定するもののほか」と規定されているから,同条4項の罪が成立する場合には同条5項の罪は成立しないことが,法文上明らかである。所論は,法7条5項に「前2項に規定するもののほか」と規定されたのは立法のミスであってこの文言に特段の意味はないとした上で,法7条5項の罪と他の児童ポルノ製造の罪との関係は前者が後者の特別法の関係だと主張する。しかし,法7条5項の罪が追加された法改正の趣旨を考慮しても所論のように「前2項に規定するもののほか」に意味がないと解する必要はなく,法7条5項の罪が特別法の関係にあるとの所論は,独自の見解であって,採用できない。いずれも法7条4項の罪が成立しているとした原判決の法令適用に誤りはない。

「同種事案で重い部類とまでは言えない」住居侵入・強制性交未遂被告事件で懲役3年執行猶予5年保護観察(松山地判h30.1.12)

「同種事案で重い部類とまでは言えない」住居侵入・強制性交未遂被告事件で懲役3年執行猶予5年保護観察(松山地判h30.1.12)
 未遂のうちで重いのは、わいせつ行為の限りを尽くして挿入できなかったパターンで、軽いのは、暴行脅迫だけで終わったものです。

強制性交未遂男 観察付き猶予刑 松山地裁判決
2018.01.13 愛媛新聞
 2017年10月に松山市のマンションの部屋に侵入し、20代の女性に乱暴しようとしたなどとして強制性交未遂と住居侵入の罪に問われた同市の無職A被告(26)の判決公判が12日、松山地裁であり、末弘陽一裁判長は「1人暮らしの自宅で就寝中、突然襲われた被害者の精神的苦痛は大きい。ただ、同種事案で重い部類とまでは言えない」として懲役3年、保護観察付き執行猶予4年(求刑懲役5年)を言い渡した。

 末弘裁判長は、夜間に部屋に侵入し女性を押さえつけるなど大胆かつ悪質で、身勝手な事情による犯行は厳しく非難されるべきだと指摘。一方、示談が成立し家族が監督を誓っていることなどから、比較的長期の執行猶予とし、性犯罪者処遇プログラムを含めた保護観察所の指導などが必要と量刑理由を述べた。

 判決によると、A被告は17年10月15日午前4時15分ごろ、市内のマンションの部屋に侵入し、寝ていた住人の20代の女性の口を手でふさぐなどして乱暴しようとした。

監護者性交2罪 懲役7年(小樽支部h29.12.13)~監護者性交罪、初起訴の男に重い量刑懲役7年確定 地裁小樽支部 関係者、厳罰化を評価

 児童淫行罪との比較になるわけですが、監護関係に基づいて累行されるような犯罪類型なので、包括一罪になる可能性があり、処断刑期(下限は5年、上限は20年←→30年)も変わってくるので、控訴すると思ってました。
 なお、最初の逮捕は青少年条例違反で実名報道でした。
 求刑10年、宣告7年というのは、余罪多数を考慮したもので、監護者性交2罪で7年だから重くなったとは断言できないと思います。

 第一七九条(監護者わいせつ及び監護者性交等)
2十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。
第一七七条(強制性交等)
 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180111-00010001-doshin-soci
1/11(木) 10:32配信 北海道新聞
監護者性交罪、初起訴の男に重い量刑懲役7年確定 地裁小樽支部 関係者、厳罰化を評価
札幌地裁小樽支部
これまでは被害者1人で懲役5年以下
 子どもに対する支配的な立場を利用して、18歳未満の者と性交した者を罰する監護者性交罪などを盛り込んだ改正刑法が昨年7月13日に施行されて半年。札幌地裁小樽支部は昨年12月、全国で初めて同罪で起訴された男(68)に対し、懲役7年(求刑懲役10年)を言い渡した。被告側、検察側ともに期限の昨年12月27日までに控訴せず、刑は確定した。同罪新設前に比べ重い量刑となり、子どもの性被害防止に取り組む関係者は「性的虐待は犯罪という認識が広く浸透してほしい」としている。

 判決によると、男は昨年7月、内縁の妻の10代の娘が18歳未満であることを知りながら、自己の立場を利用して性交し、その3日後にも同様の行為を行った。間史恵(はざまふみえ)裁判長は「自己の性欲を満たすために、その立場を悪用した。厳しい非難に値する」と指摘した。

 刑法改正前、同様の行為は児童福祉法違反(淫行させる行為)で処罰されることが多かった。児童福祉法違反での最高刑は懲役10年だが、これは被害者が複数であったり、組織的、営利目的などの事案に対応する上限。被害者が1人の場合は懲役5年以下が多いとされ、2014年に札幌地裁が当時15歳の娘と性交した父親=当時(36)=に言い渡したのは懲役3年6カ月(求刑懲役4年)だった。

 被害者の意思に反する性交が児童福祉法違反にとどまるのは軽すぎるとの考えなどから、改正刑法は立場を利用して18歳未満の者に性的行為をすれば、暴行や脅迫がなくても罰し、監護者性交罪の罰則は強制性交罪(旧・強姦罪)と同じ「懲役5年以上」とした。

北海道新聞

被害者が「抱きつかれ、下半身を押しつけられた」とした捜査段階の供述を、公判で「このような行為はなく、自分が思ったことを自分流に話した」と否定したりして建造物侵入・強制わいせつ罪の無罪判決(名古屋地裁H30.1.11)

 6ヶ月勾留。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018011190221552.html?ref=rank
強制わいせつ、男性無罪判決 名古屋地裁
 女子トイレの個室に侵入して知人女性にわいせつな行為をしたとして、建造物侵入と強制わいせつの罪に問われたベトナム人留学生の男性(21)=名古屋市=の判決公判が11日、名古屋地裁であった。諸徳寺聡子裁判官は「女性の供述は変遷していて信用できない」として、無罪(求刑懲役1年6月)を言い渡した。

 男性は2017年3月22日午後7時20分ごろ、同市港区のカラオケ店の女子トイレ個室に侵入し、アルバイト先の元同僚女性=当時(46)=に自分の下半身を押しつけたなどとして4月に起訴された。

 ただ、公判では女性が「実際にはこのような行為はなかった」と話したため訴因の一部が変更されており、諸徳寺裁判官は「女性の供述は全般的に迫真性を欠いている」と指摘し、客観的な証拠もないとして「わいせつ行為は認められない」と判断。わいせつ目的の侵入は認められないとして、建造物侵入も否定した。

 判決によると、男性と女性は当時、他の知人も含めて十数人で同店を訪れていた。男性の弁護人によると、男性は愛知県警に逮捕された後も一貫して「酔っていたため間違えて女子トイレに入った。わいせつ行為はしていない」と主張していた。

 男性は15年に来日。通訳を目指して日本語を学んでいるといい、判決後は「逮捕されて怖かったが、私はやっていないとずっと思っていた」と語った。

http://www.yomiuri.co.jp/chubu/news/20180112-OYTNT50003.html
男性は昨年3月、アルバイト先の送別会が行われた同市港区のカラオケ店の女子トイレで、同僚だった40歳代の女性に下半身を押しつけたなどとされたが、男性は「酒に酔い、女子トイレと知らずに用を足そうとした」と否定。被害を訴えた女性の供述が唯一の直接証拠で、公判ではその信用性が争われた。

 判決理由で諸徳寺裁判官は、女性が「抱きつかれ、下半身を押しつけられた」とした捜査段階の供述を、公判で「このような行為はなく、自分が思ったことを自分流に話した」と否定したことを挙げ、「重要な部分が大きく変遷し、信用性を大きく損なう」と指摘。「被告が女性の意に反する性的接触をしたとするには疑問が残る」と述べた。

 男性は公判途中まで約6か月間身柄を拘束されたといい、判決について「絶対やっていないので、認められてうれしい」と話した。

 一方、名古屋地検の早川幸延・次席検事は「判決内容を検討し、適切に対応したい」とコメントした。

児童ポルノ単純所持(破棄済)の警察相談について~自首したら「既にDVDを完全に廃棄しているのなら証拠も無いし家宅捜査も警視庁がやってる事だしウチでは何もできないと言われました。」のに、捜索を受けたという相談

 弁護士ドットコムでも「地元の警察に相談してください」という安易な回答がよくありますが、真に受けて、正式に「自首」すると、警察は捜査を遂げて送検しないとだめになるのでこういう対応になることがあります。相談先の警察署についても弁護士と相談して慎重に選んで下さい。

 警察に相談しにいくのなら、警察に破棄したことを信用してもらえる工夫をすれば捜索のリスクは下がります。
 その意味で、破棄した児童ポルノを破片なり、写真なりで保存しておけば破棄したことを説明しやすく信用してもらいやすくなります。
 単純所持罪施行以来、当職が破棄を依頼された場合には破棄の状況についての報告書を作成してお渡ししています。
 奥村が警察相談として持ち込んだ単純所持(破棄済)事案はいずれも捜索が省略されて警告(警察止まり)になりました。

12/10の相談

2017年12月10日 22時04分
https://www.bengo4.com/c_1009/c_1406/b_612975/
最近摘発された児童ポルノDVDを扱う「厳選DVDショップありす」を2016年に偶然見つけ、スリル感覚で2回ほどDVD合わせて10枚ほどを購入しました。

正直児童ポルノの2015年7月以降単純所持厳罰化を知らず、2回目の購入後にネットそれを知り恐ろしくてすぐDVDを全部割って廃棄しました。

2017年5月にありすが摘発されてから何ヶ月か後にるろうに剣心の作者がおそらく購入履歴かリストをもとに捕まったニュースが流れ、既に廃棄しているので処罰が無いかもしれませんが、購入履歴などで芋づるで特定され、児童ポルノで実家住まいなので家宅捜査をされたら両親を泣かせてしまうと思い自業自得とはいえ怖くて毎日眠れません。

猛省し、所轄の警察署に電話相談しましたが既にDVDを完全に廃棄しているのなら証拠も無いし家宅捜査も警視庁がやってる事だしウチでは何もできないと言われました。

奥村 徹 弁護士
> そうなると東京に出向いて警視庁に直接行かないとダメと言うことですね。
警視庁ではなく、捜査を担当している警察署がベストです。
地元の警察というのは事件に関係してないので、相談に言っても捜索を回避する効果はゼロです。
2017年12月11日 14時34分

2017年12月11日 16時25分
警視庁や地元の警察署に今日電話聞して、後日予約して色々話を所轄の警察署で聞くとのことで、その時に書面を提出したり何かに記入したりするそうです。
電話での警察官はみんな「家宅捜査の有無は無いとは今は言いきれないけど。とっくに廃棄してるとの事だし自分から電話かけてきてる訳だし逮捕とか罰金とかはないと思うからね」との事で慰められました。

↓↓
2017年12月28日 09時58分の質問

https://www.bengo4.com/c_1009/c_1406/b_618181/
児童ポルノ単純所持疑いでスマホとパソコンを押収されたのですが今後どうなるのか不安です。
児童ポルノの単純所持(ディスクやデータは削除した後)でネットに購入履歴が残ってると思ったので自首をしたのですが。
スマホとパソコンを家宅捜査(明日電話するからと言ってたいたのにいきなり令状持って実家に来て)で2週間前くらいに押収されました。
家中を見られましたがもう破棄した後なので児童ポルノに関するものはなかったのです。

女性の胸を触った行為につき「触ったのはおはらいの一環」「胸を触ったのは事実だが、よこしまな気持ちでやったことではない」という弁解は有効か?

 警察は、大法廷h29を性的な行為があれば性的意図不要という理解だと思います。

 正確に言えば、大法廷H29は、わいせつ行為を

強姦罪に連なる行為のように,行為そのものが持つ性的性質が明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等如何にかかわらず当然に性的な意味があると認められるため,直ちにわいせつな行為と評価できる行為
②行為そのものが持つ性的性質が不明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為

に大別して、口淫とか肛門性交とかは①で、乳房陰部を触るような婦人科でもあり得る行為については②という分類をして、②については「個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得る」としています。
 ①②の境界線が不明確ですが、乳房触る行為というのは、婦人科の治療でもあり得る行為なので、②の分類だと主張して、性的意図はない=宗教目的だった(そういう宗教行為もある)と主張すれば、性的意図がないから強制わいせつ罪から外れる可能性があります。
 多くの学説のように性的意図一律不要説にして、正当行為として治療目的とか宗教目的を主張させるという解釈もあり得るのですが、最高裁はそれは回避しています。

https://this.kiji.is/322220229990630497
同署によると、容疑者は「触ったのはおはらいの一環」と容疑を否認している。
 容疑者は同県弥富市佐古木6丁目で「講」という宗教団体を主宰。地元に約50人の信者がいるという。
 逮捕容疑は昨年12月9日と24日、佐古木6丁目の団体の集会所で、おはらい中に女性の胸を触った疑い。
 女性はおはらいに数年通っており、指圧などを受け、毎回約5千円の謝礼を払っていた。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018010690153143.html
 逮捕容疑では昨年12月9日と同月24日、同県弥富市佐古木で主宰する宗教施設で、施設を訪れた女性(33)の体を触るなどわいせつな行為をしたとされる。
 署によると「胸を触ったのは事実だが、よこしまな気持ちでやったことではない」と供述している。女性が今月4日に署に被害届を出し、発覚した。容疑者は信者約50人の「講」という宗教を主宰しているという。

中日新聞

大法廷h29.11.29
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87256
判示事項  強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否
裁判要旨  刑法(平成29年法律第72号による改正前のもの)176条にいう「わいせつな行為」に当たるか否かの判断を行うための個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合はあり得るが,行為者の性的意図は強制わいせつ罪の成立要件ではない。


http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/256/087256_hanrei.pdf
ウ 以上を踏まえると,今日では,強制わいせつ罪の成立要件の解釈をするに当たっては,被害者の受けた性的な被害の有無やその内容,程度にこそ目を向けるべきであって,行為者の性的意図を同罪の成立要件とする昭和45年判例の解釈は,その正当性を支える実質的な根拠を見いだすことが一層難しくなっているといわざるを得ず,もはや維持し難い。
(5) もっとも,刑法176条にいうわいせつな行為と評価されるべき行為の中には,強姦罪に連なる行為のように,行為そのものが持つ性的性質が明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等如何にかかわらず当然に性的な意味があると認められるため,直ちにわいせつな行為と評価できる行為がある一方,行為そのものが持つ性的性質が不明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為もある。
その上,同条の法定刑の重さに照らすと,性的な意味を帯びているとみられる行為の全てが同条にいうわいせつな行為として処罰に値すると評価すべきものではない。
そして,いかなる行為に性的な意味があり,同条による処罰に値する行為とみるべきかは,規範的評価として,その時代の性的な被害に係る犯罪に対する社会の一般的な受け止め方を考慮しつつ客観的に判断されるべき事柄であると考えられる。
そうすると,刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには,行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で,事案によっては,当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになる。
したがって,そのような個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難い。
しかし,そのような場合があるとしても,故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく,昭和45年判例の解釈は変更されるべきである。

「緊急事態 リベンジポルノで逮捕の可能性 / 股間ペロペロ動画をわざとネット掲載した説浮上」と私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律

http://buzz-plus.com/article/2018/01/09/miyamoto-ayana-kohh-movie/

緊急事態 リベンジポルノで逮捕の可能性 / 股間ペロペロ動画をわざとネット掲載した説浮上
 下品な見出しですが、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反というのはこういうのを対象にしています。

 まず、リベンジポルノ性を検討して、これは児童ポルノ法の解釈・判例でやってます。

一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二 他人が人の性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

1~3号に該当するとして、

1 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。

を検討して、公然陳列罪。

水越検事
「特定することができる方法」とは,撮影対象者の顔や背景として写っている物など,公表された画像自体から撮影対象者を特定することができる場合のほか,画像公表の際に添えられた文言や掲載された場所など,画像以外の部分から特定することができる場合も含まれる。

 ここでリベンジ等の目的は不要であることに注意。立法目的からするとリベンジに限定すべき。
 なお、親告罪

水越壮夫検事「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」警察公論2015年3月号
(1)私事性的画像記録( 1項)
ア「私事性的画像記録」とは2条l項各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像に係る電磁的記録その他の記録をいう。ただし撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。) において,撮影をした者,撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の第三者が閲覧することを認識した上で,任意に撮影を承諾し又は撮影をした画像に係るものは除外される。
イ2条l項各号は,児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」の定義(同法2条3項)を参考にして規定されたものである。姿態の主体が「児童」ではなく「人」とされていることを除き.同法の規定と同ーの内容であるから,解釈については同法の解説等を参照されたい。
ウ撮影対象者において,第三者が閲覧することを認識した上で,任意に搬影を承諾し又は撮影をしたものを除くとされているのは,本法が,個人のプライパシーの保護を目的のーっとすることに鑑み,私的に撮影された画像に対象を限定する趣旨である(私事性の要件) 。
いわゆるアダルトピデオやグラビア写真のように,広く公開されることを前提として画像が撮影された場合や,撮影対象者において,撮影をした者がその友人などの第三者に画像を見せることを認識しながら,任意に撮影を承諾した場合などは,公開の時点において公開に同意しているか否かにかかわらず,私事性が否定される。
・・・・
3 罰則( 3条)
(1) 公表罪( l項, 2項)
第三者が撮影対象者を特定することができる方法で,電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は, 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処するものとされている(1項) 。
また,上記の方法で,私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し又は公然と陳列した者も同様とされている(2項) 。
ア趣旨
インターネット等を通じて私事性的画像記録(物)を広く公表する行為による撮影対象者の性的プライパシーに重大かっ回復困難な被害が生ずる事案が増加していることに鑑み,かかる被害の発生・拡大を防止するため,私事性的画像記録(物)を公表する行為に対する罰則を設けるものである。
イ保護法益
本罪の保護法益は,性的プライパシーである
本法は,全体としては,個人の名誉と性的プライパシーの保護を目的としているが(1条),罰則については,名誉を保護法益とする刑法の名誉毀損罪が存在することから,本法の罰則は性的プライパシーのみを保護法益としている。l条の前半部分で,「私事性的画像記録の提供等により私生活の平穏を侵害する行為を処罰する」と規定され「名誉」の文言が除かれているのはかかる趣旨である。
ウ要件
(ア) 第三者が撮影対象者を特定することができる方法
「特定することができる方法」とは,撮影対象者の顔や背景として写っている物など,公表された画像自体から撮影対象者を特定することができる場合のほか,画像公表の際に添えられた文言や掲載された場所など,画像以外の部分から特定することができる場合も含まれる。
「第三者」とは,撮影をした者,撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者をいう( 2条l項)。広く一般人にとって特定可能であることを要求する趣旨ではなく,第三者のうちの誰か,例えば撮影対象者の配偶者や友人などが,撮影対象者を特定することができれば足りる。
何)不特定文は(若しくは)多数の者に提供
「不特定」とは,特殊な関係によってその属する範囲が限定された場合でないことをいう。「多数」に当たるかどうかは社会通念によって判断される。
「提供」とは,相手方において利用し得べき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいう。例えば,私事性的画像記録(画像データ)を電子メールに添付して送信する行為は「提供」に該当し当該データがメールサ−バー上の保存領域(メールボックス)に保存された時点で既遂に達するものと考えられる。
公然と陳列
「公然と陳列した」とは,不特定又は多数の者が観覧することができる状態に置くことをいう。
私事性的画像記録(画像データ)をサーバコンビュータのハードディスク上に記憶・蔵置させ,不特定多数の者がアクセスして当該画像を認識できる状態に置いた場合,当該ハードディスクが私事性的画像記録物に該当しこれを公然と陳列したものとして, 2項の罪に当たるものと考えられる。
故意
本罪は故意犯であるから,過失により画像を流出させてしまったような場合には成立しない。
また,故意の内容として,私事性的画像記録(物}であることの認識が必要であり,私事性についての認識を欠く場合も本罪は成立しない。
(オ) 行為主体
本罪の主体は特に限定されていないので,画像を撮影した者や撮影対象者から直接受け取った者だけでなく,二次的に取得した者についても本罪は成立し得る。例えば,インターネット上で既に公開されていた私事性的画像記録を,撮影対象者等と無関係の者が発見し,別の場所に転載した場合でも,本罪は成立し得る(もっとも,そのようなケースでは,私事性の認識を欠くものとして故意が否定される場合もあると思われる。)。
工他罪との関係
私事性的画像記録(物)を提供,陳列する行為により,撮影対象者の名誉を致損した場合には,本罪と名誉致損罪の両罪に該当し得る。前記のとおり,本罪の保護法益は性的プライバシーであり,名誉段損罪のそれとは異なることから,両罪に該当する場合はいずれの罪も成立し観念的競合(刑法54条l項前段)の関係に立つものと考えられる。
本罪とわいせつ物頒布等の罪及び児童ポルノ禁止法違反の罪との関係も同様である。

平成二十六年法律第百二十六号
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、私事性的画像記録の提供等により私生活の平穏を侵害する行為を処罰するとともに、私事性的画像記録に係る情報の流通によって名誉又は私生活の平穏の侵害があった場合における特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)の特例及び当該提供等による被害者に対する支援体制の整備等について定めることにより、個人の名誉及び私生活の平穏の侵害による被害の発生又はその拡大を防止することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。
一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二 他人が人の性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
2 この法律において「私事性的画像記録物」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、前項各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像を記録したものをいう。
(私事性的画像記録提供等)
第三条 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3 前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
4 前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
5 第一項から第三項までの罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。

http://buzz-plus.com/article/2018/01/09/miyamoto-ayana-kohh-movie/
緊急事態 リベンジポルノで逮捕の可能性 / KOHHの股間ペロペロ動画をわざとネット掲載した説浮上
2018.01.09
美人すぎるモデルが、ヒップホップMCに股間をペロペロさせる動画をインスタグラムに掲載した騒動で、とんでもない可能性が浮上してきた。がわざと「股間ペロペロ動画」を掲載した場合、リベンジポルノ防止法により逮捕される可能性があるのだ。
・わざとネット掲載か
ととの間でトラブルがあり、感情的になり「股間ペロペロ動画」をインターネット上に掲載した説が浮上しているのである。そもそも、そう簡単に「間違ってインスタグラムに動画を投稿」することはできないといわれており、間違って掲載した可能性が薄れている。

 東スポの見出しはおとなしい。

人気モデルがインスタに“わいせつ動画”投稿し大騒動に!
2018年01月11日 11時00分
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/entertainment/882427/
 女性ファッション誌などで活躍する現役モデルの(26)が8日夜、誤って“わいせつ動画”を自身のインスタグラムに投稿し、大騒動となっている。

 18秒間の動画はすぐに削除されたが、時すでに遅し。ネット上には「魚拓」と呼ばれるコピー版が出回り、拡散されてしまった。動画ではイケメン男性が女性の無毛の股間に顔をうずめ、丹念に“奉仕”する姿が映っている。体に入ったタトゥーのデザインなどから、男性は人気ラッパーの(27)が濃厚。暗闇のなか、スマートフォンの照明のみで撮影されたとみられ、カメラの角度などから撮影者は舐められている女性側、つまりである可能性が高い。

 かねて2人は都内でデート現場が目撃されており、ファンの間でも交際を疑う声が上がっていたというが、まさかこんな形でバレるとは思ってもみなかっただろう。

 は2013年にデビューした大阪生まれのハーフタレント。ファッション誌で活躍するほか、ショッピングサイトのCMでは人気俳優・斎藤工(36)の恋人役を務めた。

 は16年に「スペースシャワー ミュージックアワード」で「ベストヒップホップアーティスト」を受賞。あの宇多田ヒカル(34)も彼のファンであることを公言している。

 前代未聞の動画流出にネット上では批判よりも「別の意味でインスタ映え」「まさにヒップホップ」と称賛の声が相次いでいるが、当人はたまったものではない。「彼個人に送るつもりが、誤爆してしまったのだろう。かわいそうなのは、周りのスタッフ。イメージ戦略含め、これまでの営業努力が一瞬で無に帰した」とは音楽関係者。

 今回はすぐに削除したが、もし放置していたらわいせつ物頒布等の罪に問われた可能性もあった。2人のショックは計り知れない。

「「罰金刑」と思ったのに… 求刑重くした裁判を傍聴」「求刑に地域差 名古屋地検、「交通3悪」には厳しく対応」


 地域差というより、検事正あたりの発案で一律的な求刑を見直したんだろうね。
 1弁の量刑調査報告書Ⅳだと63kオーバーでも罰金の事例があって、80kオーバーくらいから前科なしでも公判請求されているようで、やや重い。
 弁護人いるんなら、弁論で同種同等事件の全国の科刑状況を調べて示して、「普通罰金だし、本件の情状を見ても罰金がふさわしい」と述べればいいよね。同種裁判例は説得力あるから。

「罰金刑」と思ったのに… 求刑重くした裁判を傍聴:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASL176Q40KDTOIPE03Q.html
「罰金刑」と思ったのに… 求刑重くした裁判を傍聴
2018年1月8日00時19分
名古屋地検幹部が「以前なら罰金求刑だが、懲役を求刑した」と話す裁判があった名古屋地裁名古屋市中区
 刑事裁判で、交通死亡事故や特殊詐欺事件が多い地域では、他の地域の被告よりも求刑をそれぞれ重くする事例があることがわかった。名古屋地検は交通違反以外にも、管内で被害が相次ぐ組織窃盗に関わった被告の求刑も重くしているという。
求刑に地域差 名古屋地検、「交通3悪」には厳しく対応
 ベテラン裁判官は「求刑は判決に影響しない」と話すが、実際はどうか。名古屋地検幹部が「以前なら罰金求刑だが、懲役を求刑した」と話した、二つの裁判を名古屋地裁で傍聴した。
 52キロオーバーの速度違反で道交法違反の罪に問われた男子大学生の被告(22)。半年間、出頭に応じないなどしたため起訴された。公判では起訴内容を認めたが、地裁は昨年8月、懲役5カ月執行猶予2年(求刑懲役5カ月)を言い渡した。
 二つ目は呼気1リットルあたり0・2ミリグラムの酒気帯び運転の罪に問われた建築業の男性被告(53)。捜査段階から呼気検査に不備があったと主張し、公判でも否認を通した。地裁は昨年7月、懲役8カ月執行猶予3年(求刑懲役8カ月)を言い渡し、確定した。
 世の中に全く同じ事件は存在しないため、求刑の違いが判決に影響したかどうかの検証は難しいが、判決後、速度超過事件の弁護人は「交通違反を繰り返したわけでもない大学生。罰金刑だと思っていた」。酒気帯び事件の弁護人は「違和感があった。バランスを失している気がする」と疑問を呈した。(仲程雄平)
量刑引きずられることもある
〈量刑の研究をしている愛知大学の小島透教授(刑事法)の話〉 求刑はあくまでも検察官の意見だが、裁判官が量刑を行う際に引きずられることもある。従来より明らかに求刑を重くする場合、内容によっては①個人の事件が社会の治安維持に利用される②他の事件との公平性を損なう③被告の防御権を侵害する④「被告は自分が犯した行為にのみ責任を負う」という原則に反する――恐れがある。検察官は法廷で合理的な説明をする必要がある。

https://digital.asahi.com/articles/ASKDT74WTKDTOIPE03R.html
求刑に地域差 名古屋地検、「交通3悪」には厳しく対応
仲程雄平2018年1月7日21時56分
 刑事裁判の終盤に刑の重さについて意見を述べる検察官の求刑で、地域の特性に応じて他の地域よりも重くする事例があることが検察関係者への取材でわかった。名古屋地検は2016年6月以降、飲酒や無免許などで車を運転し、捜査段階で否認した被告への求刑を重くした。東京や大阪地検でも重くした例があり、最高検も求刑の地域差を許容しているが、判決に与える影響を懸念する声もある。
「罰金刑」と思ったのに… 求刑重くした裁判を傍聴
 名古屋地検によると、対象は「交通3悪」と呼ばれる①酒酔いや酒気帯び運転②無免許運転③速度超過――の道路交通法違反事件で、被告が捜査段階で否認して起訴されたもの。裁判で一転、罪を認めても求刑は重くする。
 連続全国ワースト(17年までで15年連続)の愛知県の交通死亡事故に歯止めをかけようと、管内の事件で始めた。昨年末までに約20件で重くしたという。地検幹部は「重くすることで被告の規範意識を覚醒させ、死亡事故の抑止にもつながれば」と話す。
 最高検幹部は「求刑に地域で差をつけることは一定程度許容している。そもそも求刑に『基準』はない」と説明する。例えば、東京地検では特殊詐欺に関与した被告の求刑を重くしている。また大阪地検でも、ひったくり事件が多かった時に重くしたことがあったという。
 一方、東京のベテラン裁判官は「裁判官が地域差で量刑(罪の重さ)を決めることはない。判決に影響しない」と話す。(仲程雄平)
     ◇
 〈求刑〉 検察官が相当と考える刑罰を裁判所に意見すること。求刑の規定は刑事訴訟法にないが、公判の最終盤で法律の適用などについて意見する「論告」の一部に位置づけられる。実務では論告の結論として述べられる。一般的に判決は求刑の7~8割と言われるが、求刑より重くなることもある。求刑はあくまでも検察官の意見で、「裁判官は検察官の求刑に拘束されない」とした判例もある。

「男子トイレで、個室近くの荷物置き場に上ってのぞき込み、ドアが開いた後で室内に侵入、用を足していた高1男子(15)の下半身を触るなどした」という強制わいせつ被疑事件

「男子トイレで、個室近くの荷物置き場に上ってのぞき込み、ドアが開いた後で室内に侵入、用を足していた高1男子(15)の下半身を触るなどした」という強制わいせつ被疑事件


 一連の行為を一文で書かれると看過しがちですが、のぞき込むのはわいせつ行為ではなく窃視罪だと思われます。

第一条[軽犯罪]
 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

 用便中の女性の姿態を眺める行為を(準)強制わいせつ罪とした地裁の裁判例はありますが、高裁以上の判例はありません。
 福井地裁H23.2.16、釧路地判平14.2.28.、福岡地判平13.10.17,東京地判平13.10.17などがあるようですが、ドアを開放して凝視するという態様です。

http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/20141118/1416290916
用便中の女性を撮影する行為の刑責

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20060916#1158370148
高見成美「強制わいせつ罪の成否が問題となった事例」捜査研究No.663 '06.09
?の事案では,「相手方が用便中であろうという認識のもと.その姿態を眺めて自己の性的欲求を満足させる目的で,相手方が施錠した扉を開錠して開扉し,その用便中の姿態を眺め,相手方をしてそれを自己の眼前にさらすことを余儀なくさせる行為は,自己の性的欲求を満足させるため無理やり相手方の着衣を引き下ろしてその姿態を眺める行為と同等のものと評価できるから.強制わいせつ罪のわいせつ行為に該当し,かつ,同罪の暴行にも該当する」旨判示している。

http://www.sankei.com/west/news/180105/wst1801050012-n1.html
逮捕容疑は、4日午後0時40~45分ごろ、北九州市小倉北区の商業施設の男子トイレで、個室近くの荷物置き場に上ってのぞき込み、ドアが開いた後で室内に侵入、用を足していた高1男子(15)の下半身を触るなどした疑い。

 同署によると、男は、のぞきに気付いて逃げようとした高校生を室内に押し戻してわいせつ行為に及んだが、激しく抵抗されて逃走。高校生の110番で駆け付けた署員が午後1時半ごろ、同区内で容疑者を見つけ職務質問した。

児童ポルノ自己性的好奇心目的所持容疑につき「家族トラブルでイライラがたまっていて魔が差した」という弁解

 
 「自己の性的好奇心を満たす目的で所持しました」以外にあり得ない。

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180105-00000033-mai-soci
児童のわいせつ画像を記録したDVDを所持したとして、和歌山県警が児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純所持)の疑いで昨年秋、同県警新宮署生活安全刑事課の20代の男性巡査長を和歌山地検書類送検していたことが捜査関係者への取材で分かった。巡査長は昨年9月、本部長訓戒処分を受け、依願退職した。

 捜査関係者によると、巡査長は自宅で児童のわいせつな画像を記録したDVDを所持した疑いが持たれている。県警の調べに対し、「家族トラブルでイライラがたまっていて魔が差した」という趣旨の話をしているという。

 警視庁が5月に摘発したDVD販売会社の購入リストから発覚した。県警は警視庁からの情報提供を受けて、捜査を進めていた。

「児童ポルノ、7200人購入名簿…検事や警官ら」「「堅い職業」ずらり、偽名も…児童ポルノ購入」という報道

児童ポルノ、7200人購入名簿…検事や警官ら」「「堅い職業」ずらり、偽名も…児童ポルノ購入」という報道
 年末に単純所持罪の公判請求事件の弁護人になりました。
 元旦からこういう記事を載せられると、元日から相談電話が数件ありました。
 h26改正法は、罰則以外はh26.7.15施行で、所持罪の罰則は周知期間(廃棄の機会)を置いてH27.7.15施行だと記憶していますが、それから2年以上経過しましたので、躊躇無く検挙されています。

 捜索を受けた人からの相談も去年数件あったので、捜索は現実です。確率は分かりませんが、根拠無く「心配ない」という弁護士ドットコムの回答を得た人も捜索を受けているようですので、楽観しないで下さい
 対応としては、廃棄して所持状態を解消すれば処罰されることはないので、あとは、必要があれば、捜索を回避する方法を採ることになります。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第三条の二(児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の禁止)
 何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくは第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。
第七条(児童ポルノ所持、提供等)
1 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171231-00050075-yom-soci
児童ポルノ、7200人購入名簿…検事や警官ら
1/1(月) 6:20配信 読売新聞
 2017年5月に警視庁が摘発した児童ポルノ販売サイトの関係先から、約7200人分の購入者リストが押収されていたことが捜査関係者への取材でわかった。

 検事や警察官、医師、地方議員、人気漫画家らの名前があり、同庁などは客のうち約200人を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純所持)容疑で書類送検した。18年以降も容疑が固まった客を順次、書類送検する方針だ。

 18歳未満の児童ポルノは所持・保管する「単純所持」も禁止され、1年以下の懲役または100万円以下の罰金。16年の1年間の摘発件数は56件で、今回の事件は単純所持が禁止された15年7月以降、最大規模となる。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180101-00050054-yom-soci
「堅い職業」ずらり、偽名も…児童ポルノ購入
1/1(月) 17:54配信 読売新聞
「堅い職業」ずらり、偽名も…児童ポルノ購入
(写真:読売新聞)
 検事、警察官、県議会議員、医師、有名企業社員――。

 警視庁が会員制の児童ポルノ販売サイトから押収した約7200人分の購入者リストには、高い倫理観が求められる「堅い職業」の人たちの名前も並んでいた。過去最大規模の児童ポルノ所持事件からは、児童ポルノが蔓延(まんえん)している実態が浮かびあがった。

 捜査関係者によると、購入者の中には、偽名で児童ポルノDVDを買っていたケースもあったが、商品の発送先などから自宅が突き止められた。郵便局留めで受け取っていた購入者もいたという。

 東京地検では公安部に所属していた40歳代の検事が、児童ポルノDVD約10枚を購入したことが判明した。検事は9月22日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純所持)で東京簡裁から罰金50万円の略式命令を受けた。東京地検は同日、検事を停職2か月の懲戒処分とし、検事は依願退職した。

「厚労省保育士の犯歴照会、義務に 登録取り消しを徹底」と言われても、私立だと前科照会できないだろう

厚労省保育士の犯歴照会、義務に 登録取り消しを徹底

 前科は法律上の欠格事由なので、現行法でも、公立の保育所であれば、前科照会可能だと思われます。公立以外の場合は前科照会は難しいと思います。

5訂版前科登録と犯歴事務p175
犯罪人名簿に基づく身分証明は,個人及び私の法人に対しては一切行ってはならない(昭和23.9.8自発第766号大分県総務部長あて自治課長回答, 昭和25.8. 17発連第448号山口県知事宛て地方自治庁次長回答)。
「犯罪事項がない」, 「既決犯罪通知に接しない」等の証明も,結局は犯罪人名簿に基づく証明にほかならないから,行ってはならない。なお,犯罪人名簿の閲覧も,この名簿の性格からみて何人に対しても許されるべきものではなく,本人からの申請に対しても同様である。

児童福祉法
第一八条の五[欠格事由]
 次の各号のいずれかに該当する者は、保育士となることができない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
三 この法律の規定その他児童の福祉に関する法律の規定であつて政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
四 第十八条の十九第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
五 国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号)第十二条の五第八項において準用する第十八条の十九第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者

https://mainichi.jp/articles/20180101/k00/00m/040/086000c
厚労省保育士の犯歴照会、義務に 登録取り消しを徹底
毎日新聞2018年1月1日 08時00分(最終更新 1月1日 09時35分)
罪を犯した保育士の登録取り消しの流れ
 幼児へのわいせつ事件などを起こした保育士の登録取り消しを徹底するため、厚生労働省は、児童福祉法の関連省令を2月に改正する方針を決めた。保育士の逮捕情報を把握した時点で、取り消しに向け確認することを都道府県に義務付ける。併せて、逮捕を知った保育所などにも速やかに報告させるよう都道府県に促す。【宇多川はるか、国本愛】

<女児わいせつ、出所後再び保育士となりわいせつ 懲役15年>
<女児にスプレー、顔に重傷「わいせつ目的」>
<逮捕されても制御不能の衝動…セックス依存>
<医師わいせつ 性被害、子を守るには…>
<2歳児殺害 ベビーシッターに懲役26年>
 神奈川県内の保育所で、過去に実刑判決を受けた保育士が登録を取り消されないまま勤務し、園児への傷害致死罪などで起訴される事件があり、再発防止策が求められていた。

 児童福祉法は、禁錮以上の刑を受けた保育士は都道府県が登録を取り消し、執行から2年経過するまでは再び登録できないと定めている。ただし、現行法は、罪を犯した本人が届け出ることを前提としている。届け出がなかったため逮捕情報を把握できず、取り消されなかったケースは少なくないとみられる。

 厚労省は省令改正に伴い、都道府県に対し、市区町村が保有する犯罪歴情報の活用を促す通知を出す。罰金以上の刑(道路交通法違反の罰金などを除く)が確定すると、検察から本籍地の市区町村に通知され、犯罪人名簿に記載される。こうした情報を活用することで、都道府県に保育士の犯罪歴の把握を徹底させる考えだ。

 神奈川県平塚市の認可外保育所で2015年12月、生後4カ月の男児が死亡し、勤務していた保育士の男が傷害致死や強制わいせつなどの罪で起訴された。この男は10年に、東京都内の保育所で女児にわいせつな行為をした強制わいせつ罪で懲役3年の判決を受け、服役していた。だが、登録先の神奈川県はこの情報を把握していなかったため登録は取り消されず、男は出所後に再び保育士として勤務していた。

 学校現場でも、児童・生徒へのわいせつ問題を起こした教員の処分情報が共有されていなかったとして、文部科学省は「教員免許管理システム」を大幅に改善する方針を決めている。

相次ぐ幼児被害、教訓に
 保育所に預けられた幼児らへの保育士によるわいせつ事件は全国で相次いでいる。だが、刑の確定情報の把握は容易でなく、苦慮した宮崎や広島県なども、国に対策を要望してきた。神奈川県平塚市の事件後、問題は国会質疑で取り上げられるなど注目され、厚生労働省の今回の方針につながった。

 被害に遭った幼児や親は深い心の傷を負う。平塚市の事件で起訴された男は、他の女児らへの強制わいせつなどの罪で2017年12月に実刑判決を受けたが、被害児童の親たちはこの公判の意見陳述で「(出所後に)また簡単に保育士になったことで(子どもが被害を受け)、一生苦しみます」などと訴えていた。

 ただ、関連省令を改正しても、保育所都道府県が逮捕や刑の確定情報を得る手段は、本人や家族ら関係者の申告以外にはマスコミ報道などに限られるのが実情だ。情報の把握には依然として課題が残り、実効性を疑問視する声も上がる。

 神奈川県の担当者は「保育所などが犯罪歴を適切に把握できるかどうかは疑問。グレーの場合でも、人手不足で辞めてもらっては困るから、報告しない保育所もあり得る。現実的な対策にならないのではないか」と懸念する。

 保育制度に詳しい櫻井慶一・文教大教授(児童福祉論、子育て支援論)は「適切な保育を受ける権利は保障されるべきで、不適格者が排除されるのは当然。ただ、都道府県域を越えた問題なので、保育士登録情報を国が一元化して直接管理し、市町村の犯罪歴の把握と結びつける工夫が必要ではないか」と提案した。

公開法廷で判決宣告されているのに「北海道内の児童養護施設で2013年8月から14年3月にかけ、男性職員(当時)が女児3人に性的虐待を繰り返していたことが4日、道への取材で分かった。」という報道

 手元のデータから「懲役4年6月」ということで特定できました。
 法廷でやってても記者がいないと報道されません。
 罪名としては強制わいせつ罪、児童淫行罪、青少年条例違反

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/154846
道央の児童養護施設性的虐待 男性職員、3女児に
01/04 05:00
 道央の児童養護施設で2013年8月から14年3月にかけて、道が措置入所させた女児らに対し、男性職員(当時)がわいせつ行為を繰り返していたことが、北海道新聞が道に情報公開請求した内部資料などで分かった。女児側は15年7月、損害賠償を求めて道を提訴。16年、道と同施設を運営する社会福祉法人が、それぞれ200万円支払うなどで和解した。安全なはずの保護施設で、子どもが虐待被害にさらされた実態が明らかになった。
 児童養護施設は、親の病気や離婚、子どもへの虐待など、何らかの理由で家庭で生活ができない、おおむね18歳までの子どもが暮らす施設。
 今回公開された、施設に対する道の調査報告書や特別指導監査の勧告書によると、13年8月から14年3月までの間、この職員は、女児2人に対し、消灯後の女子居室で、それぞれ胸や下半身を無理やり触ったほか、別の女児とも施設内で複数回、性交渉を行っていたという。

北海道の児童養護施設性的虐待 男性職員が女児3人に*

2018.01.04 共同通信
北海道内の児童養護施設で2013年8月から14年3月にかけ、男性職員(当時)が女児3人に性的虐待を繰り返していたことが4日、道への取材で分かった。女児1人の後見人が損害賠償を求めて道を提訴。16年3月、道と施設を運営する社会福祉法人がそれぞれ200万円を支払うなどの条件で和解した。
児童養護施設には、保護者の不在や虐待などの事情で、家庭で生活できない子どもが入所している。道によると、男性職員は消灯後の居室に侵入し、女児2人の胸や下半身を触ったほか、他の女児1人と施設内で複数回にわたって性交渉を持った。
女児が別の職員に相談して発覚し、男性職員は14年4月に懲戒解雇となった。その後、強制わいせつと児童福祉法違反などの罪で懲役4年6月の実刑判決が確定した。
道は14年8月、児童福祉法に基づき社会福祉法人に再発防止を求める改善勧告をした。相談を受けた職員から施設長への報告も遅れたといい、道は「必要な対応を取らず放置した」と指摘した。
道子ども子育て支援課は、被害女児の特定につながるとして、施設名や男性職員の氏名などを明らかにしていない。

女子児童の逆さ撮り画像は「下着は性器等ではなく、該当しない可能性です」とか「性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部)、ではないので該当しない場合が多いです」という弁護士ドットコムの回答

女子児童の逆さ撮り画像は「下着は性器等ではなく、該当しない可能性です」とか「性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部)、ではないので該当しない場合が多いです」という弁護士ドットコムの回答

3号は「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」だから、逆さ撮りの下着は、「児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が『強調』されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」に当たることがあります。
 下着であっても、性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が(露出ではなく)『強調』されているとして、3号ポルノとされていることがあります。
 逆さ撮りが、児童ポルノとされないことがあるのは、スカートを普通に着用すると真下から見ると下着が見えるので、「衣服の一部を着けない児童の姿態」とは言えないのではないかという懸念からです。
 盗撮製造罪でスカート内撮影が立件されたときは、性欲要件を争うと製造罪の起訴を免れることがあります。「下着は性器等ではなく、該当しない可能性です」とか「性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部)、ではないので該当しない場合が多いです」という弁解は通りません。

https://www.bengo4.com/c_1009/c_1406/b_611265/
芦塚 増美弁護士
質問者が納得
盗撮系のサイトで不特定多数の女子高生のスカート内の下着の撮影を狙って盗撮
性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいうが露出では該当です。
しかし、下着は性器等ではなく、該当しない可能性です

2017年12月05日 18時25分
芦塚 増美弁護士
質問者がありがと
性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部)、ではないので該当しない場合が多いです
2017年12月06日 10時23分

「略式命令のメリット&デメリット」について「控訴など不服申立ができる裁判とは違って、文句があっても処分を変えようがない」というテレビ弁護士のコメント

「略式命令のメリット&デメリット」について「控訴など不服申立ができる裁判とは違って、文句があっても処分を変えようがない」という弁護士のコメント
 テレビを信じないでくださいね。刑訴法の条文を知らない弁護士です。
 正式裁判請求といって、通常手続への移行を求めることがあります。特に理由は必要ありませんので、不服なしでもできます。

http://www.tbs.co.jp/vivit2015/onair/
12月28日(木)
さらに日馬富士はきょうにも略式起訴へ

刑訴法
第四六五条[正式裁判の請求]
① 略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる。
②正式裁判の請求は、略式命令をした裁判所に、書面でこれをしなければならない。正式裁判の請求があつたときは、裁判所は、速やかにその旨を検察官又は略式命令を受けた者に通知しなければならない。

略式命令書にもこう記載されています。

略式命令
この略式命令に対しては,告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる。この場合, 被告人は,いつでも弁護人を選任することができ,貧困その他の事由で弁護人を選任することができないときは,弁護人の選任を裁判所に請求することができる。

 理由は要りません。罰金の用意ができないので確定引き延ばすとか、法廷で裁かれたいとか、罰金まからないのかとか、なんとなくとか、なんでもいいわけです。

平成29年○月×日
簡易裁判所 御中
被告人                       印
正式裁判請求書
 被告人に対して、平成 年 月 日簡易裁判所が発布した略式命令(平成 年(い)第号 罰金 万円)について、刑事訴訟法465条1項により、正式裁判を請求する>

 正式裁判請求は、もっぱら不服がある場合が多いのですが、不服は要件ではなく、不服の理由も聞かれないので、「不服」「異議」というのはちょっと不正確だと思います。

正式裁判請求の意義
正式裁判の請求とは,略式命令に対して不服がある場合に,その救済を求める訴訟行為である(注)。 7訂 略式手続p67
・・・
正式裁判の請求は略式命令を受けた者その他が、その確定前に改めて通常の手続により審判せられんことを求める意思表示である 一種の不服申立の方法に属するが、未だ当該事件について通常の手続による審判がなされていないのであるから、上訴とは異る。菅野保之 法律実務講座刑事編7巻