「膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの」

「膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの」
 「法制審議会の発言」というのは法案・法律にどう影響してるのかわかりにくいですよね。

法務省逐条説明
(3) 膣又は肛門に身体の一部(陰茎を除く。)又は物を挿入する行為であってわいせつなものを強制性交等罪として処罰する趣旨(第177条第1項)
膣又は肛門に陰茎以外の身体の一部又は物(以下、まとめて「異物」という。)を挿入する行為は、現行法上、強制わいせつ罪(刑法第176条)による処罰の対象とされているが、そのような行為については、近時の心理学的・精神医学的知見等を踏まえると、
○一般的に他人にその内側に入り込まれたくない身体的部位の内側に入り込む行為であって、性的な意味合いが強いものであり、これを強制されると、被害者は、性交、肛門性交及び口腔性交を強制された場合と同様の重大な精神的ダメージを負うものであって、性交、肛門性交及び口腔性交に匹敵する当罰性を有する行為であると考えられることから、これを性交等と同等に取り扱い、刑法第177条の罪として処罰することとするものである。
その上で、膣又は肛門に異物を挿入する行為であっても、例えば、医療行為のように、行為の状況等も考慮すると性的性質がなく、わいせつな行為とはいえないものが含まれ得ることから、そのような例外的な場合を除く趣旨で、「わいせつなもの」に限定することとしている。

捜査研究No.877
性犯罪規定の大転換~令和5年における刑法および刑事訴訟法の改正の解説~(後)
城祐一
2陰茎以外の挿入についての犯罪の成否。
ここでは、従来の性交等に加えて、「膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの」を新たに加えたことから、膣や肛門に陰茎ではなくて、指などの身体の一部又は性的な玩具等の物を挿入する行為をも対象にしている。
この点は、平成29年の改正の際には除外されていたのであるが、今回新たに加えられることとなったものである。。
この点について、「被害者からすれば、自分の体に挿入されたことが被害です。挿入されたものが性器でも物でも、同意なく身体に性的侵襲がされることに苦痛があります。男性器に限らず、舌や手指などの身体の一部、性具やその他の物を、膣・肛門に入れたら、強制性交等罪とすることを望みます。」")との意見が出され、また、「侵襲の大きさとしては、物が挿入された場合であっても、陰茎が挿入された場合と異ならないと私は考えています。
実際の事件において、暗いところでの被害、目隠しをされての被害、それから、何が挿入されているのか分からない被害というのはあって、物と陰茎のどちらが挿入されたかが、被害後に本人に明らかとなったからといって、それによって侵襲の程度が大きく異なるのかというところがあります」91)などの意見、さらには、「私は、膣とか肛門の中に身体の一部や物を入れる行為は、強制性交等罪と同じように考えていいのではないかと思います。膣とか肛門に身体の一部や物を挿入されるということは、強制性交等罪と同じような身体への侵襲性があると思っており、被害が大きいと思うので、強制性交等罪と同様に処罰していいと思います。」92)などの意見に応じたものである。
そのため、例えば、被害者の膣や肛門を舐める行為は、「挿入」ではないため、強制わいせつ罪になり、舌を挿入した場合には、本条の不同意性交罪が成立することになる。
ちなみに、ここでは、「身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物」とされていることから、その形状や性質による限定はなされていないことに留意しておく必要がある。
そのため、後に溶けることになる坐薬などを挿入した場合であっても、本件犯行が成立することになるまた、挿入する対象部位は、膣と肛門と限定されていることから、口に身体の一部や物を挿入する行為は本罪の対象とされていない93)。
さらに、ここでは、「挿入する行為であってわいせつなもの」という限定が付せられているが、これは「医療行為や介護の際に、他人の性器・肛門に指を入れるようなことがあり得ますので、性的性質に欠ける行為が構成要件の中に紛れ込まないように、挿入行為の中でもわいせつなものといった形で限定を掛けておくことが必要であると思います。」94)との意見に基づくものである。

(90)第4回議事録2頁(山本委員発言)。

○山本委員 意見としては、被害者側からまず申し述べたいと思います。
被害者からすれば、まず、自分の体に挿入されたことが被害です。
挿入されたものが性器でも物でも、同意なく身体に性的侵襲がされることに苦痛があります。
男性器に限らず、舌や手指などの身体の一部、性具やその他の物を、膣・肛門に入れたら、強制性交等罪とすることを望みます。
例えば、電車内の痴漢被害において、指1本で法定刑の下限が懲役5年の強制性交等罪になるのかと言われますけれども、自分が電車に乗って通勤・通学の途中で、ほかにもたくさんの人がいる中で、見知らぬ人から下着に手を突っ込まれたらどういう気持ちになるのかを想像してみてほしいと思います。
驚きや不快感で凍り付きますし、ましてや、どこの誰とも知らない、その前に何を触っているかも分からない加害者の指が、自分の膣や肛門に入れられることは、被害者にとってあり得ないことです。
挿入されたものが何であっても、強制性交等罪として扱ってほしいと思います。
また、身体の一部を挿入させられる被害についてですが、加害者の口腔・膣・肛門に被害者の男性器を挿入させた場合は、現在でも強制性交等罪です。
これは、加害者の身体に包み込まれる、覆われるという形での性的侵襲と理解されていたと思います。
覆われるものについて表現するに際してお願いしたいのは、男性器に限られることのない表現にしてほしいと思います。
膣に舌を挿入させる被害において、舌が覆われたという意味で性的侵襲として扱ってほしいと思うからです。
また、性同一性障害の方の性別適合手術の中には、ホルモン療法や手術療法を行い、陰茎を形成する手術もあります。
形状によっては、男性器として認められないとも言われていて、苦痛であるとおっしゃっていました。
今回、Broken Rainbow-japanから、性別や性的指向、性の在り方に捉われない法的評価への要望が出ております。
多様な性の在り方を踏まえた御議論をお願いします。
物を挿入させられる場合についてですが、物を手に、あるいは肘とか足の間に持たされたりして、挿入させられる行為もあります。
同意のない性的行為をさせられている意味では性暴力ですが、被害者の身体の一部に挿入される、又は被害者の身体の一部が加害者の身体に覆われるといった被害ではないので、強制性交等罪には当たらないのではないかと理解しています。
このように議論を進める中で、性犯罪に関する刑事法検討会では、男性器を膣・肛門に挿入し、又は挿入させる以外の被害については、強制性交等罪と強制わいせつ罪との間に中間類型を設けるべきだという議論もありました。
しかし、先ほどから申し上げているとおり、性具や手指などを用いたセックスが、その人たちにとって自然な性の在り方である方たちもいます。
中間類型とすることで、男性器を挿入することだけが性交であり、レイプであるということになり、それは差別ではないかと思うので、反対します。
同列に扱ってほしいと思います。
また、中間類型とした場合、捜査機関では必ず何を挿入されたのか、それが男性器であることがどうして分かったのかを聞かれることになると思います。
自分の身体に挿入されたことまでは分かっても、何が挿入されたかまでは、身体下部のことであり、見ることも怖いし、具体的には分からないということもあります。
医療機関での被害者診察においても、何かが膣や肛門に挿入されたとは言えても、その特定までは難しいこともあります。
侵襲されたことに変わりはないのに、それが何かによって罪が変わるのは、被害者にとっては理不尽で承服し難いことですので、中間類型を設けることには反対したいと思います。

(91)第4回議事録9頁(長谷川委員発言)。

○長谷川幹事 医療行為などを適切に処罰から除けるようにすべきという趣旨であるとすれば、正当行為でも除けるのではないかというのが、今の感覚的な考えです。
この点については、改めて詰めて考えたいと思います。
それから、物について、性具とか座薬とか、いろいろな物の性質の話が出たのですけれども、被害者側、すなわち、挿入される側からして、今言ったような種別がそれほど大きな意味を持つのかということについては、私も疑問に思っているということを、一言申し上げたいと思います。
宮田委員は、強制性交等罪と強制わいせつ罪の二つを一つの罪にして、その中で、挿入行為があるものも、そうでないものも対処したらどうか、そのような考え方もあるのではないかという御意見だったと思うのですが、構成要件とそれに対する法定刑というのは、その行為の重さ、違法性の強さを示すという意味もありますので、法定刑の幅を広くして、その中で全部対処できるからいいということにはならないと思っています。
挿入を伴う行為と、そうではないわいせつな行為とでは、小西委員がおっしゃられているように、被害者に与える精神的苦痛に違いがあるということですので、やはり、これは分けるべきではないかと思います。
そして、侵襲の大きさとしては、物が挿入された場合であっても、陰茎が挿入された場合と異ならないと私は考えています。
実際の事件において、暗いところでの被害、目隠しをされての被害、それから、何が挿入されているのか分からない被害というのはあって、物と陰茎のどちらが挿入されたかが、被害後に本人に明らかとなったからといって、それによって侵襲の程度が大きく異なるのかというところがありますので、やはり、物が挿入された場合についても、陰茎が挿入された場合と同程度の侵襲性があると見て、現行の強制性交等罪の対象とすべきではないかと考えています。

(93)第4回議事録11頁(小島委員発言)。

○小島委員 電車の中の痴漢行為について、金杉幹事がおっしゃった件について確認なのですけれども、一般的に、痴漢というのは、言葉のイメージとしては、着衣の上から触ったりするというイメージなのですが、金杉幹事がお出しになった事例というのは、電車の中で、例えば、膣とか肛門に指を入れられた場合という例なのでしょうか。
○金杉幹事 はい、おっしゃるとおりです。
○小島委員 そうすると、電車の中で、膣とか肛門にいきなり指を入れられた場合について、今の強制性交等罪と同様の被害とは言えないという御主張ですね。
私は、膣とか肛門の中に身体の一部や物を入れる行為は、強制性交等罪と同じように考えていいのではないかと思います。
膣とか肛門に身体の一部や物を挿入されるということは、強制性交等罪と同じような身体への侵襲性があると思っており、被害が大きいと思うので、強制性交等罪と同様に処罰していいと思います。
電車の中で、皆の面前で被害に遭った場合は、苦痛が大きいと思います。


○齋藤委員 男性器を挿入された方にとって、指を挿入された被害と同じだと言われることは苦痛だという御意見もあったかと思うのですけれども、私が言っているのは、性暴力に関して、社会の捉え方自体が今までとても軽くて、性交という言葉を使っていたからかどうかは分かりませんけれども、異物の挿入であるとか、体の一部の挿入というのが大変軽視されてきたと思いますし、今のいろいろな委員・幹事の御発言を聞いていても、やはりすごく軽視されているのだという感覚を抱いております。


そうではなくて、それがすごく苦痛を与える行為なのだ、そもそも大変苦痛を与える行為だったのだということの認識を持っていただきたいと思っていますし、行為規範に関して、小西委員もおっしゃっていましたが、そもそも電車の中で膣に指を入れる行為は少なくないのですけれども、それが行為規範として軽いと思われていること自体がすごく問題ではないかと考えております。
○山本委員 一つは、医療者が医療行為と偽って性加害をするという状況を、きちんと捉えてほしいということがあります。
もちろん、正当な業務として行っている人がほとんどですけれども、そうでない場合に、なかなか訴えづらく、司法の中で適切に取り扱ってもらっていないという現状があります。
あと、私の理解であるので、少し解釈と合わないのかもしれないのですけれども、わいせつと言われることに関しては違和感があります。
それも、先ほどから齋藤委員が言われているように、性交というイメージにも引きずられているのかとも思うのですけれども、被害者にとっては、性的暴行という侵襲であって、性的な暴力であり、そういうわいせつな行為ということとは、余り関係がないような気がするのですね。
身体の一部又は物を挿入する行為を更に限定すべきというお話も出ましたけれども、それも、性交というイメージに引きずられていて、被害者にとって被害の本質は侵襲であり、セックスではないということを、余り理解していただけていないのかなとも思っています。
また、繰り返し、法定刑の下限が5年の懲役であることは重いと言われていますけれども、強盗罪の法定刑の下限が5年の懲役で、強制性交等罪の法定刑の下限が5年で、物や男性器以外の指や身体とかの挿入とかを強制性交等罪の対象とすると法定刑の下限が変わってくるとか変わってこないといった議論がされていますけれども、私たちにとっては、性的な侵襲であるということ自体で同じ被害と捉えますので、法定刑の下限が5年の懲役であることが重いということは全くないと思っています。
○小島委員 性交という言葉を使っていることが、やはり問題なのではないかと思います。
性交ではなくて、性的挿入とか、議題にありましたわいせつな挿入行為とか、そういうもっとぴったりな文言を、強制性交等罪の実態に合わせて考えていくことが必要ではないかと思います。

93) 第4回議事録3頁(小島委員発言)では、「膣・肛門への挿入は、身体の一部やいわゆる性具などの物の挿入も、強制性交等罪として処罰するということでよいのではないかと考えております。他方、口については、性器とは言えないので、口腔に挿入するものは性器に限るということで考えております。ですから、指や性具などの口腔への挿入は、強制性交等罪には当たらないと考えております。」と述べられている。同議事録6頁(佐藤陽子幹事発言)も同旨。

○小島委員
強制わいせつ罪の対象とされている行為の一部を、強制性交等罪の対象となる行為に格上げするということにつきましては、挿入される場所が、膣なのか、肛門なのか、口なのか、それから、挿入するものが、陰茎なのか、身体の一部なのか、性具などの物なのか、この3掛ける3の組合せがございます。現行法は、陰茎を膣・肛門・口腔に挿入する行為を強制性交等罪の対象となる行為としていますが、これと同等の当罰性があり、強制わいせつ罪から格上げする行為は何かということが、本件で問題になっております。
私は、挿入するものと挿入される場所のいずれか一方がいわゆる性器である場合について、強制性交等罪として処罰したらどうかと思います。身体への侵襲性という意味で、同等だと考えるべきだと思います。2017年改正では、口腔への挿入について問題になりましたが、陰茎、すなわち、性器の挿入であることから、強制性交等罪の対象とされました。そして、LGBTの方の性交を考えると、肛門については性器と言い得るのではないかと考えており、そうすると、膣・肛門への挿入は、身体の一部やいわゆる性具などの物の挿入も、強制性交等罪として処罰するということでよいのではないかと考えております。他方、口については、性器とは言えないので、口腔に挿入するものは性器に限るということで考えております。ですから、指や性具などの口腔への挿入は、強制性交等罪には当たらないと考えております。
法定刑は、いずれも強制性交等罪と同様に5年以上の懲役とすることを前提としており、先ほど山本委員が言われたように、中間的な類型を設けることについては反対いたします。
一方で、挿入させる行為については、挿入する行為とは身体の侵襲性に違いがあると考えると、現行法で処罰している性器を膣・肛門・口腔に挿入させる行為に加えて、膣・肛門に舌を入れさせる行為についてのみ、強制性交等罪に格上げしたらどうかと思います。舌を挿入させる行為というのは、指等の他の身体の一部を挿入させる行為と異なって、粘膜が接触するという意味で、身体の侵襲性が大きいからです。舌を挿入させる行為の法定刑は、挿入する行為と同様に、5年以上の懲役とすることを前提とします。この点は、感覚的な違いもあるのではないかと思っています。
膣・肛門に指を挿入させる行為は、限界事例かと思っております。

○佐藤(陽)幹事
性犯罪に関する刑事法検討会の議論と本日の委員の先生方の御意見を踏まえますと、仮に条文を新設するであれば、気を付けておかなければならないことが幾つかあると思いましたので、実際に条文を作る場合に、どのようなものが考えられるかといった形でまとめさせていただきたいと思います。
一点目は、性犯罪に関する刑事法検討会の議論で出ていたものなのですが、医療行為や介護の際に、他人の性器・肛門に指を入れるようなことがあり得ますので、性的性質に欠ける行為が構成要件の中に紛れ込まないように、挿入行為の中でもわいせつなものといった形で限定を掛けておくことが必要であると思います。
二点目として、行為者が被害者に挿入する行為と被害者に挿入させる行為とは、分けて規定することが必要であろうかと思います。つまり、先ほど、山本委員がおっしゃっていたことですけれども、例えば、行為者が被害者を脅迫して、自己の性器に性具を挿入させる行為は、被害者の性器に性具を挿入する行為と比較した場合、性的接触を強いられる侵害の程度が原則的に軽いと考えられることに留意しておかなければならないと思います。
小島委員がおっしゃっていた、舌を挿入させる行為をどうするかについては、別途検討する必要があると思っていますが、性器をなめる行為はどうするのかとか、なめさせる行為はどうするのかといった形で、たくさんの問題に派生してしまうようであれば、少なくとも今回の改正においては、挿入する行為だけに限るといった選択もあろうかと思うところでございます。
三点目として、挿入する行為の中でも、性器・肛門に身体の一部や物を挿入する行為には、性交等と同じぐらいの侵害性があるという点は、性犯罪に関する刑事法検討会においても、また、本日の議論においても、ある程度のコンセンサスの得られた御意見だと思われるのですが、口腔に身体の一部や物を挿入する行為については、なおそこまでのコンセンサスは得られていないと思っておりまして、その点に留意して条文を作っていく必要があろうかと思います。
私も、性犯罪に関する刑事法検討会では、口腔への物等の挿入も強制性交等と同じぐらい重いものがあると言いましたけれども、逆に言うと、そうではないものが多くあることも認識しておりまして、少なくとも口腔への物等の挿入については、強制性交等と全く同じ法定刑で規定するというのは、少し難しいと思っているところです。
以上の三点が留意点だと思っていまして、これらを前提にしますと、性交等を強いられたときに匹敵するような侵害を生じさせる行為としては、基本的に性器又は肛門に身体の一部又は物を挿入する行為であって、かつ、わいせつなものというようなことになろうかと思います。
ただ、身体の一部又は物を挿入する行為の中にも、重大なものから軽微なものまであるということは、多々指摘されているところでして、そのような反対の御意見を全く無視するわけにはいかないとも思っています。取り分け、物には様々な形状・性質のものがありますので、仮に身体の一部又は物を挿入する行為を性交等と同じ法定刑で規定しようと思った場合には、例えば、わいせつ目的で座薬を入れたとか、そういう場合が入らないように、何か更に絞る文言、思い付きですけれども、例えば、挿入する対象を手指といった身体の一部又は性具やそれに類似する物に限るなどして、ある程度の限定を付するか、あるいは対象となるものは絞らずに、法定刑の下限を下げる形で対応するという方法もあろうかと思います。法定刑の下限を下げる場合も、法定刑の上限は強制性交等罪と同じですので、重い類型は重く処罰ができ、場合によっては紛れ込む可能性のある軽い類型については軽く処罰ができるといった形になろうかと思います。
先ほど、齋藤委員が、心理的な傷に区別をつけることはできない、負担に区別をつけることはできないとおっしゃっており、それはそのとおりだと思うのですけれども、法定刑を定めるときは、行為態様も併せて考慮するというのが一般的かと思われますので、やはり行為態様の違いといったものも考慮に入れておく必要があろうかと思います。特に、前回の改正で、口腔性交や肛門性交が性交と並んで処罰されるようになったときに、量刑水準も同水準になったという研究がございます。今回の改正の際にも、仮に身体の一部又は物を挿入する行為を性交等と同じ法定刑で規定しようと考える場合には、それらの行為の量刑も、性交等と同水準になる可能性があることを考慮に入れて、どうすべきかというのを判断すべきと思っているところでございます。

(94) 第4回議事録6頁(佐藤陽子幹事発言)、第10回議事録35頁(浅沼幹事発言

○浅沼幹事 「試案」の趣旨として御説明いたしますけれども、処罰対象となる膣又は肛門に陰茎以外の身体の一部又は物を挿入する行為は、現行法において強制わいせつ罪の「わいせつな行為」に該当するものであることが前提でありますが、膣又は肛門に陰茎以外の身体の一部又は物を挿入する行為であっても、例えば、医療行為のように、行為の状況等も考慮すると性的性質がなく、わいせつな行為とはいえないものが含まれ得るため、そのような例外的な場合を構成要件の段階で処罰対象から除外するという趣旨で、この「わいせつなもの」ということを記載しております。


追記 2025年1月23日
 参考にされた外国の刑罰法規をみると、指や異物の挿入については、他人の指を挿入する、他人が異物を挿入することが前提になっていると思われます。
 オンラインで自慰行為させた事件は、不同意性交なのか疑問です。
 被害者自身が「挿入した」のを「挿入する」と評価できるのか(間接正犯性)も検討課題。

第211回国会 衆議院 法務委員会 第17号 令和5年5月17日
大口委員 今回の改正法案には、現行の強制わいせつ罪に該当していた、「膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの」が性交等とされ、不同意性交等罪で処罰されることとなりましたが、その意義について。 そしてまた、この改正によって、いわゆる痴漢行為の中でも悪質なものがございます、これについて不同意性交等罪の適用の余地があると考えますが、その点についてもお伺いします。
○松下政府参考人 お答えいたします。
現行法上、性交等は性交、肛門性交又は口腔性交とされておりまして、強制性交等罪として重い処罰の対象とされておりますが、それ以外のわいせつな行為は、強制わいせつ罪による処罰の対象とされております。 しかしながら、心理学や精神医学の見地から、膣又は肛門に体の一部又は物を挿入されることを強制
されることは、それらがどのようなものであっても、性交等を強制される場合と比較して、被害者の精神的反応に差がなく、臨床上も、重篤なPTSDを示すことに差異はないという知見が示されていること、また、犯罪被害者の立場からも、被害者にとっては、挿入される体の部位や物の種類を問わず、同意なく身体に異物を挿入されること自体がレイプである旨の御意見が示されていることなどに鑑みますと、膣又は肛門に体の一部又は物を挿入する行為は、それが陰茎でなかったとしても、同等の法益侵害を生じさせ、同等の当罰性を有するものと考えられます。 そこで、改正後の刑法第百七十七条第一項におきましては、膣又は肛門に陰茎以外の体の一部又は物を挿入する行為であってわいせつなものを新たに性交等に含めることとしております。 したがいまして、例えば、御指摘のように、膣に指を挿入する行為などの膣又は肛門に陰茎以外の身体の一部又は物を挿入する行為であってわいせつなものについては、それが痴漢行為と称されるものである場合でありましても、改正後の刑法第百七十七条第一項の罪が成立し得ると考えております。

性犯罪に関する刑事法検討会とりまとめ報告書p29~
現行法では,被害者の陰茎を加害者の膣等に挿入させる行為は強制性交等の罪の対象となるところ,物を挿入させる行為を同罪の対象とすると,例えば,少年に性具を持たせて女性器に挿入させる行為についても女性側に同罪が成立することとなるが,その被害が男性器を挿入させる被害と同程度といえるかについては疑問があり,物を挿入する行為と挿入させる行為とを同様に処罰する規定を設けることには無理がある
性犯罪に関する刑事法検討会 (第10回)
佐藤委員 いろいろな方と話が重なってしまうのですけれども,私も,前提としては,物の挿入の場合も,性交等と同じぐらいの被害があるために同じぐらいの重さで処罰すべきような場合があり,行為態様の面でも,性交等と同じぐらい悪質な場合もあるというふうに思っています。

ただ,先ほど和田委員がおっしゃったように,三分法にするというのがよいのではないかと考えておりまして,この点につきましては,先ほど井田座長がおっしゃったのですけれども,現行法下では,挿入する行為だけでなく,挿入させる行為も強制性交等罪の対象になっています。例えば12歳の男子と20歳の女性が性交する場合,20歳の女性が12歳の男子に性器を挿入させるというのが177条の対象になります。
もし,強制性交等に物の挿入も入れるとし,かつ現行法と同じように,挿入する行為もさせる行為も対象としますと,例えば12歳の少年に性具を持たせて20歳の女性の性器に挿入させるという場合も,女性側に強制性交等が成立するということになります。しかし,これは果たして性交と同じぐらいの被害なのかといわれると,悩ましいところではないかと思います。
ですから,物を挿入する行為と挿入させる行為を同様に処罰するような規定の仕方は少し無理があるのではないかと思っており,かといって,現行法の形を変えて,性器や物を挿入する場合に限り処罰するとすれば,今まで処罰されていた,女性器等に男性器を挿入させる行為などが強制性交等から落ちてしまうという問題が生じることになります。それもやはり問題でしょうから,ここでは挿入する行為もさせる行為も処罰する現行法と同じ形の強制性交等と,挿入する行為のみを処罰する,物等を利用した場合の処罰規定で分けておけば,現在,強制性交等罪で処罰しているものは引き続き処罰できるし,反対に,強制性交等と同じぐらい悪いと言われているような物を挿入する行為についても,同じ法定刑で処罰できるという解決ができるのではないかと考えているところでございます。


 イギリスでは他人の指が挿入される場合を処罰する

イギリス性犯罪関連条文和訳(仮訳)
○2003年性犯罪法
第2条(挿入による暴行)
1 以下の要件を満たす場合には,Aに本条の罪が成立する。
⒜Aが身体の一部又は物を他人Bの膣,肛門に故意に挿入したこと,
⒝挿入が性的であること,
⒞Bが挿入に同意していなかったこと,かつ
⒟AはBが同意していると合理的に信じていないこと
2 Bが同意していると信じたことが合理的かどうかは,Bが同意しているか確認するた
めにAがとったあらゆる手段を含む全事情を考慮して決める。
3 第75条と第76条は,本条の罪に適用する。
4 本条の罪で正式起訴により有罪宣告を受けた者は,最高で終身刑に処せられる。

第4条(同意なく性的行為をさせる罪)
1 以下の要件を満たす場合には,Aに本条の罪が成立する。
⒜Aが故意に他人Bに行為をさせたこと,
⒝その行為が性的であること,
⒞Bがその行為に同意していなかったこと,かつ
⒟AはBが同意していると合理的に信じていないこと
2 Bが同意していると信じたことが合理的かどうかは,Bが同意しているか確認するた
めにAがとったあらゆる手段を含む全事情を考慮して決める。
3 第75条と第76条は,本条の罪に適用する。
4 本条の罪で有罪宣告を受けた者は,性的行為が
⒜Bの肛門又は膣への挿入,
⒝Bの口への陰茎の挿入,
⒞肛門又は膣へのBの身体の一部又はBによるその他の物の挿入,又は
⒟口へのBの陰茎の挿入
のいずれかを伴う場合は,正式起訴により最高で終身刑に処せられる。
5 本条第4項が適用される場合を除いて,本条の罪で有罪判決を受けた者は,
⒜略式起訴の場合は,6月以下の拘禁刑若しくは法定上限額以下の罰金又は併科
⒝正式起訴の場合は,10年以下の拘禁刑
に処せられる。

カリフォルニア州性犯罪関連条文和訳(仮訳)
〇刑事法
(k) 本条において用いられている
(1) 「性的挿入」とは,それがいかに軽微であっても,性的興奮,性的満足又は虐待の目的で,異物,物質,器具若しくは装置又は不明の物体を,他人の性器若しくは肛門に挿入する,又は,他人をして被告人の若しくは他人の性器若しくは肛門に挿入させる行為をいう。
(2) 「異物,物質,器具若しくは装置」には,性器以外の肉体の一部も含まれる。
(3) 「不明の物体」には,挿入された物が,陰茎なのか,異物,物質,器具又は装置なのか,肉体の他の部分なのかが不明である場合の,異物,物質,器具及び装置並びに陰茎を含む肉体の一部が含まれる。

ニューヨーク州性犯罪関連条文和訳(仮訳)
〇刑法
第130.65-a条【第四級加重性的虐待罪】
1.次に掲げる場合には,第四級加重性的虐待罪で有罪とする。
(a) 彼又は彼女が,他人の膣,尿道,陰茎,直腸又は肛門に異物を挿入した場合であって,かつ,当該他人が,17歳未満であること以外の理由により,同意能力を欠いている場合
(b) 彼又は彼女が,他人の膣,尿道,陰茎,直腸又は肛門に手指を挿入して身体的傷害を負わせた場合であって,かつ,当該他人が,17歳未満であること以外の理由により,同意能力を欠いている場合



追記2025年2月12日
警察公論202503号別冊法改正&新法2025 p35
*1 膣又は肛門に身体の一部等を挿入する行為であっても例えば、医療行為のように行為の状況等も考慮すると性的性質がなく、わいせつな行為とはいえないものが含まれ得ることから、そのような例外的な場合を除く趣旨で、「わいせつなもの」に限定することとした。
*2「身体の一部(陰茎を除く。)又は物」について、その形状・性質による限定はなく、例えば、綿球のような小さな物や、錠剤・座薬のように挿入した後に溶けるような物等、陰茎とは全く類似しない物もこれに該当する。
*3 陰茎以外の身体の一部又は物を「口腔」に挿入する行為は、「性交等」に含まれない(例えば、性具を口腔に挿入する行為は、わいせつな行為として行われたとしても不同意わいせつ罪にとどまる)。
*4 行為者が被害者をして行為者自身の膣又は肛門に陰茎以外の身体の一部又は物を挿入させる行為も、「性交等」に当たらず、不同意わいせつ罪にとどまる。


追記2025年7月5日
 身体の一部・物を挿入するのも同等の侵襲だという調査があるらしいのですが
  齋藤梓委員提出資料
 性被害類型別の精神的反応について(※)
は非公表になっていて、被害者の身体の一部の場合はどうなのかは不明です。

性犯罪に関する刑事法検討会(第6回)
第1 日 時 令和2年9月24日(木)
○齋藤委員
平成29年改正前の検討会でこの議論が出たときに,そもそも膣への挿入と,肛門,口腔への性器の挿入とで,被害者の精神的影響に差があるかないかという話があったと思います。
男性器以外の体の一部とか物を挿入する被害というのは,男性器を挿入する被害とどう違うのかという話になったときに,そもそも心理学とか精神医学の調査においてレイプといった場合には,体の一部や異物の挿入を含むということが一般的で,影響の差について示しにくいとお話ししましたが,しっかりとそれをお示しできるように,その後自身で調査をした結果が,今日提出させていただきました資料(齋藤委員提出の「性被害類型別の精神的反応について」と題する資料)になります。
これは,私が自分で,男女約3,000人ずつに行った調査でして,その中で異物挿入や様々な被害に遭われた方のデータを取っております。
その男女各3,000人のうち,現在の日本の強制性交等の罪の「性交等」の定義に当てはまるような被害に遭った方というのは女性7.7%,男性2.9%でした。
これは,それぞれ内閣府の「男女間における暴力に関する調査」などと大きく変わりのない数字であろうというふうに思っております。
また,配布した資料の2ページ目にグラフも載っておりますが,基本的に,肛門や膣への手指・異物の挿入と口腔・肛門・膣への男性器の挿入との間には,精神的反応に差が見られないということが分かりました。
皆様がこれまで見聞きしてきたレイプが被害者に与える精神的影響というのは,海外の調査結果を基にしていることが多いので,皆様は,体の一部や異物の挿入を含んだ調査結果をずっと見聞きしてきたということになります。
そもそも,やはり先ほど山本委員も言っていましたけれども,性的侵襲とか身体への侵襲という観点で考えたときに,挿入されるものを問う必要があるのかということは疑問に思います。
一定年齢の場合,もちろん膣に陰茎が挿入されることで妊娠のリスクなどがあり,それは本当に重大な問題だと思います。
肛門に陰茎を挿入された場合,性感染症や炎症,臓器の損傷のリスクなども生じます。
でも,もちろん指を挿入されても傷がつくリスクはありますし,鉄パイプとか割箸でしたらほぼ間違いなく傷つきますし,臓器が著しく損傷するリスクがあります。
被害者支援やスクールカウンセリング,HIVカウンセリング等臨床上の経験でも,臨床以外の場で当事者の方々からお話を伺った経験からも,腕や拳,足,鉄パイプ,割箸,木刀,角材,瓶など,挿入されるものは様々です。
これは実際に生じている被害の話です。
ペニスバンド等の男性器を擬した性具,バイブレーターなどが使用されたときに,それを果たしてレイプではないというのかということですとか,加害者が被害者の男性器をくわえた場合には強制性交等になりますが,加害者が被害者の膣に舌を入れること,肛門に舌を入れることというのは強制性交等の罪にはならないのかですとか,疑問に思うことはたくさんあります。
自分が性的に侵襲されているということに何の変わりもないのに,成立する罪が変わってしまうということは,どうなのだろうなと思っています。
集団レイプでは異物挿入が行われることもあります。
その集団レイプの中で,例えば,ある加害者は男性器を挿入し,ある加害者はビール瓶を挿入したという場合に,前者は強制性交等罪,後者は強制わいせつ罪というのは,おかしな話だと思います。
いじめの一環で異物を肛門や膣に挿入するということもありまして,性的な意図がどうかということも以前の議論では出ましたけれども,いじめの一環で異物を肛門や膣に挿入す-5- るということは,性暴力ですし,相手を性的におとしめる意図を持ったもので,被害者にとって性的に虐げられたこと,性的なモノとして扱われたことに違いはありません。
強制わいせつの罪で処罰することも可能だという,委員の皆様の中でもそういった意見があることも承知しているのですけれども,第2回会合のヒアリングでいらしてくださった岡田さんなども述べていたように,強制わいせつ罪の中で実質的に重く処罰してほしいということではなくて,体への侵襲とか性的な侵害ということを考えたときに,何ら変わらないと思われていることがなぜ分けられているのだろうということを,心理職としては大変疑問に思います。
そのため,この強制性交等の罪の対象となる行為に体の一部や物を被害者の膣,肛門に挿入する行為を含めるべきかという点については,再び様々な観点から検討が行われることを望みます。
また,諸外国の法律の文言と比較する際に,ただ文言を比較するのではなくて,なぜ性的侵襲という非常に深刻な精神的後遺症をもたらすことが分かっている行為について,日本では一部がレイプに当たらず,諸外国ではその一部を含めてレイプとされているのか,その背景も含めて議論する必要があるのではないかと考えております。

齋藤梓委員提出資料
性被害類型別の精神的反応について(※)
※ 末尾に(※)が付された資料は掲載しておりません。

「性犯罪に関する刑事法検討会」取りまとめ報告書p27
③調査によると,基本的に,膣・肛門内に手指や物を挿入する行為と,膣・肛門・口腔内に男性器を挿入する行為との間には,精神的反応に差がないことが分かっており,また,臨床上も,身体の一部や物を挿入する行為であっても重篤なPTSDを示すことは珍しくなく,心理学の分野では,膣・肛門・口腔内への陰茎の挿入と,膣・肛門内への手指や物の挿入とは同等の法益侵害があるものと区分しているいった意見が述べられた一方で,
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「相手の身体の部位または異物を」という定義が使われることがあるようです

性暴力被害の実際被害はどのように起き,どう回復するのか齋藤梓・大竹裕子編著
p22
言葉の定義
「不同意性交」は多くの人にとって聞きなれない言葉であり、またその捉え方には大きな個人差があります。そこで調査では「望まない性交」という日常的な言葉を使い、次のように定義しました。「自分が望んでいないのに、性器を含む相手の身体の部位または異物を、自分の膣・肛門・口のいずれかに挿入された行為。なお、未遂や性的接触も含め、加害者の人数や性別も問わなととし、関連する体験を広く収集しました。
「なぜ刑法における『強制性交(強姦)』の定義を用いないのか」と聞かれることがあります。なぜなら、現行法では犯罪とされないけれども被害者に苦しみを与える性交をしっかりと捉えるためです。また「不同意性交を全て犯罪化したいのか」と聞かれることもありますが、違います。不同意性交の実態を広く捉えて明らかにすることで、どこまでを犯罪とすべきか否かという議論に役立てることが目的です。
調査手法》
二○一七年一二月に研究チームを立ち上げ、二○一八年五月から同年二月までの期間に、質的研究法と呼ばれる手法を用いて、望まない性交の体験をインタビューとWeb投稿により集めました。性暴力被害はジエンダーや年齢により内容・表現等が異なることから、今回は成人女性(性自認)の体験に焦点を当てました。なお、男性やセクシュアルマイノリティの被害も極めて重要なものであるという認識から、今後のプロジェクトで焦点を当てたいと考えています。
大竹裕子・齋藤梓)

外国の刑法も「他人の性器等に」となっているようです
ニューヨーク州刑法は「他人の性器等に挿入」
https://ypdcrime.com/penal.law/article130.php#p130.66
S 130.66 Aggravated sexual abuse in the third degree.
1. A person is guilty of aggravated sexual abuse in the third degree
when he or she inserts a foreign object in the vagina, urethra, penis, rectum or anus of another person:
(a) By forcible compulsion; or
(b) When the other person is incapable of consent by reason of being physically helpless; or
(c) When the other person is less than eleven years old.
2. A person is guilty of aggravated sexual abuse in the third degree
when he or she inserts a foreign object in the vagina, urethra, penis, rectum or anus of another person causing physical injury to such person and such person is incapable of consent by reason of being mentally disabled or mentally incapacitated.
3. Conduct performed for a valid medical purpose does not violate the provisions of this section.
Aggravated sexual abuse in the third degree is a class D felony.










カリフォルニア州
1)「性的侵入」とは、いかなる人の性器または肛門の開口部に対して、わずかであっても侵入を引き起こす行為、または他者に対して、被告人または他者の性器または肛門の開口部に対して、性的興奮、満足、または虐待を目的として、異物、物質、器具、または装置、または未知の物体によって侵入させる行為を指します。
(k)As used in this section:
(1)“Sexual penetration” is the act of causing the penetration, however slight, of the genital or anal opening of any person or causing another person to so penetrate the defendant’s or another person’s genital or anal opening for the purpose of sexual arousal, gratification, or abuse by any foreign object, substance, instrument, or device, or by any unknown object.



Penal Code section 289
(a)(1)(A)Any person who commits an act of sexual penetration when the act is accomplished against the victim’s will by means of force, violence, duress, menace, or fear of immediate and unlawful bodily injury on the victim or another person shall be punished by imprisonment in the state prison for three, six, or eight years.
(B)Any person who commits an act of sexual penetration upon a child who is under 14 years of age, when the act is accomplished against the victim’s will by means of force, violence, duress, menace, or fear of immediate and unlawful bodily injury on the victim or another person, shall be punished by imprisonment in the state prison for 8, 10, or 12 years.
(C)Any person who commits an act of sexual penetration upon a minor who is 14 years of age or older, when the act is accomplished against the victim’s will by means of force, violence, duress, menace, or fear of immediate and unlawful bodily injury on the victim or another person, shall be punished by imprisonment in the state prison for 6, 8, or 10 years.
(D)This paragraph does not preclude prosecution under Section 269, Section 288.7, or any other provision of law.
(2)Any person who commits an act of sexual penetration when the act is accomplished against the victim’s will by threatening to retaliate in the future against the victim or any other person, and there is a reasonable possibility that the perpetrator will execute the threat, shall be punished by imprisonment in the state prison for three, six, or eight years.
(b)Except as provided in subdivision (c), any person who commits an act of sexual penetration, and the victim is at the time incapable, because of a mental disorder or developmental or physical disability, of giving legal consent, and this is known or reasonably should be known to the person committing the act or causing the act to be committed, shall be punished by imprisonment in the state prison for three, six, or eight years. Notwithstanding the appointment of a conservator with respect to the victim pursuant to the provisions of the Lanterman-Petris-Short Act (Part 1 (commencing with Section 5000) of Division 5 of the Welfare and Institutions Code), the prosecuting attorney shall prove, as an element of the crime, that a mental disorder or developmental or physical disability rendered the alleged victim incapable of giving legal consent.
(c)Any person who commits an act of sexual penetration, and the victim is at the time incapable, because of a mental disorder or developmental or physical disability, of giving legal consent, and this is known or reasonably should be known to the person committing the act or causing the act to be committed and both the defendant and the victim are at the time confined in a state hospital for the care and treatment of the mentally disordered or in any other public or private facility for the care and treatment of the mentally disordered approved by a county mental health director, shall be punished by imprisonment in the state prison, or in a county jail for a period of not more than one year. Notwithstanding the existence of a conservatorship pursuant to the provisions of the Lanterman-Petris-Short Act (Part 1 (commencing with Section 5000) of Division 5 of the Welfare and Institutions Code), the prosecuting attorney shall prove, as an element of the crime, that a mental disorder or developmental or physical disability rendered the alleged victim incapable of giving legal consent.
(d)Any person who commits an act of sexual penetration, and the victim is at the time unconscious of the nature of the act and this is known to the person committing the act or causing the act to be committed, shall be punished by imprisonment in the state prison for three, six, or eight years. As used in this subdivision, “unconscious of the nature of the act” means incapable of resisting because the victim meets one of the following conditions:
(1)Was unconscious or asleep.
(2)Was not aware, knowing, perceiving, or cognizant that the act occurred.
(3)Was not aware, knowing, perceiving, or cognizant of the essential characteristics of the act due to the perpetrator’s fraud in fact.
(4)Was not aware, knowing, perceiving, or cognizant of the essential characteristics of the act due to the perpetrator’s fraudulent representation that the sexual penetration served a professional purpose when it served no professional purpose.
(e)Any person who commits an act of sexual penetration when the victim is prevented from resisting by any intoxicating or anesthetic substance, or any controlled substance, and this condition was known, or reasonably should have been known by the accused, shall be punished by imprisonment in the state prison for a period of three, six, or eight years.
(f)Any person who commits an act of sexual penetration when the victim submits under the belief that the person committing the act or causing the act to be committed is someone known to the victim other than the accused, and this belief is induced by any artifice, pretense, or concealment practiced by the accused, with intent to induce the belief, shall be punished by imprisonment in the state prison for a period of three, six, or eight years.
(g)Any person who commits an act of sexual penetration when the act is accomplished against the victim’s will by threatening to use the authority of a public official to incarcerate, arrest, or deport the victim or another, and the victim has a reasonable belief that the perpetrator is a public official, shall be punished by imprisonment in the state prison for a period of three, six, or eight years.
As used in this subdivision, “public official” means a person employed by a governmental agency who has the authority, as part of that position, to incarcerate, arrest, or deport another. The perpetrator does not actually have to be a public official.
(h)Except as provided in Section 288, any person who participates in an act of sexual penetration with another person who is under 18 years of age shall be punished by imprisonment in the state prison or in a county jail for a period of not more than one year.
(i)Except as provided in Section 288, any person over 21 years of age who participates in an act of sexual penetration with another person who is under 16 years of age shall be guilty of a felony.
(j)Any person who participates in an act of sexual penetration with another person who is under 14 years of age and who is more than 10 years younger than he or she shall be punished by imprisonment in the state prison for three, six, or eight years.
(k)As used in this section:
(1)“Sexual penetration” is the act of causing the penetration, however slight, of the genital or anal opening of any person or causing another person to so penetrate the defendant’s or another person’s genital or anal opening for the purpose of sexual arousal, gratification, or abuse by any foreign object, substance, instrument, or device, or by any unknown object.
(2)“Foreign object, substance, instrument, or device” shall include any part of the body, except a sexual organ.
(3)“Unknown object” shall include any foreign object, substance, instrument, or device, or any part of the body, including a penis, when it is not known whether penetration was by a penis or by a foreign object, substance, instrument, or device, or by any other part of the body.
(l)As used in subdivision (a), “threatening to retaliate” means a threat to kidnap or falsely imprison, or inflict extreme pain, serious bodily injury or death.
(m)As used in this section, “victim” includes any person who the defendant causes to penetrate the genital or anal opening of the defendant or another person or whose genital or anal opening is caused to be penetrated by the defendant or another person and who otherwise qualifies as a victim under the requirements of this section.

追記 2025/08/06
法文の「身体の一部(陰茎を除く。)」の「陰茎」は、
陰茎を挿入するのは、改正前からある性交・口腔性交・肛門性交に当たるからだと説明されているので
この場合の「陰茎」は他人の「陰茎」に限られます。

ドイツ刑法では、法文上は明らかでないという情報を得ました