児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

d16に対するひそかに製造罪+条例盗撮罪、i20、j20に対する浴場盗撮行為を、常習条例盗撮罪で串刺しにして科刑上一罪とした事例(神戸地裁r5,4,19)

d16に対するひそかに製造罪+条例盗撮罪、i20、j20に対する浴場盗撮行為を、常習条例盗撮罪で串刺しにして科刑上一罪とした事例(神戸地裁r5,4,19)

《書 誌》
提供 TKC
【文献番号】 25595235
【文献種別】 判決/神戸地方裁判所(第一審)
【裁判年月日】 令和 5年 4月19日
【事件番号】 令和3年(わ)第31号
令和3年(わ)第272号
令和3年(わ)第744号
令和3年(わ)第783号
令和3年(わ)第1234号
令和4年(わ)第19号
【事件名】 詐欺、準強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、北海道迷惑行為防止条例違反、窃盗、わいせつ誘拐、証人威迫被告事件
【裁判結果】 有罪
【裁判官】 野口卓志 関根隆朗 岡本康博
【全文容量】 約86Kバイト(A4印刷:約47枚)

第5(令和3年8月12日付け起訴状の公訴事実)
 常習として、正当な理由がないのに、
1 別表3記載のD(当時16歳)ら5名がいずれも18歳未満であることを知りながら、別表3記載のとおり、令和元年7月25日午後10時59分頃から同日午後11時29分頃までの間及び同月29日午後9時20分頃から同日午後10時11分頃までの間、当時の被告人方である別紙2記載甲の脱衣所において、ひそかに、入浴のため脱衣して胸部等が露出した前記Dら5名の姿態を被告人の使用する腕時計型カメラで動画撮影し、いずれも、その頃、同所において、撮影した動画データ合計12点を同カメラに内蔵したマイクロSDカードに記録して保存し、もって人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影するとともに、ひそかに衣類の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識できる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより、児童ポルノをそれぞれ製造した。
2 同年9月1日午前2時23分頃から同日午前3時10分頃までの間及び同年12月4日午前1時41分頃から同日午前2時47分頃までの間、前記脱衣所において、前記腕時計型カメラを設置して、入浴のために脱衣したI(当時20歳)及びJ(当時20歳)をそれぞれ同カメラで動画撮影し、もって人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影した。
法令適用
判示第5の所為のうち
児童ポルノ製造の点(1の事実)
別表3・番号1、2
包括して児童ポルノ処罰法7条5項、2項、2条3項3号
別表3・番号3ないし5(番号5については、Fについての部分に限る)
包括して児童ポルノ処罰法7条5項、2項、2条3項3号
別表3・番号5(Dについての部分に限る)
児童ポルノ処罰法7条5項、2項、2条3項3号
別表3・番号6、7
包括して児童ポルノ処罰法7条5項、2項、2条3項3号
別表3・番号8ないし10
包括して児童ポルノ処罰法7条5項、2項、2条3項3号
別表3・番号11及び12
包括して児童ポルノ処罰法7条5項、2項、2条3項3号
常習として盗撮した点(1及び2の事実)
北海道迷惑行為防止条例11条2項、2条の2第3項
科刑上一罪
判示第5の事実 刑法54条1項前段、10条(1の児童ポルノ製造の各罪と1及び2の常習盗撮の罪のうち1の盗撮の部分とはそれぞれ1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから、結局1及び2の罪を1罪として刑及び犯情の重いGについての児童ポルノ製造の罪の刑で処断する。)

 脱衣場は「浴場」であって、「その他の人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」ではありません。

北海道条例の解説
①「住居」とは人の起臥寝食の用に供せられている建物をいう。玄関であっても、衣服を着けないでいる場合があることから、ここにいう住居に当たる。
②「浴場」とは公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第1条に規定する公衆浴場、旅館等の浴場、露天風呂、会社、スポーツジム、病院、住居等の風呂場等をいう。浴場は浴室のみならず脱衣場も含む。
③「便所」とは住居の便所、公衆便所のほか、会社、官公庁、デパートなどの各種施設に設置されている便所をいう。ここでいう「便所」とはその全体を指すのではなく、その中の個別に扉で仕切られた部分及び男性が小用を足すための一画がこれに当たる。
④「更衣室」とは人が着衣等を着替える場所のことであり、会社、学校、病院、スポーツジム等の更衣室をいい、洋服店の試着室もこれに当たる。
⑤「その他の人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」とは人が通常隠している体の全部又は一部を露出している可能性のある場所をいい、例示したもののほか、病院の診察室、キャンプ場におけるテント内、ホテルの一室、寝台列車の寝台、キャンピングカー内などがこれに当たる。