児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

セクスティングの分類①注目希求型,②性欲充足型,③同性愛社交型④金銭授受型,⑤提供・拡散型⑥強要型

 児童が単独で撮影・送信する場合は、児童が、提供目的製造罪・提供罪になるということを前提にして、「犯罪少年」として扱われているようです。
 おっさんに売ると、「被害児童」になります。

熊本家庭裁判所山本浩二ほか「SNS等を利用した非接触型の性非行を中心とする性非行事件に関する研究」家裁調査官研究紀要26
第4熊本家庭裁判所に事件係属した事例の考察
1 研究対象事例
平成27年4月から平成30年3月までに熊本家庭裁判所に事件係属した児ポ法違反事件又はわいせつ電磁的記録に係る記録媒体陳列事件の在宅事件28事例を対象とした
(資料2)。
男女の内訳は,男子少年22人(78. 6%),女子少年6人(21.4%)である。
非行時の年齢は, 14歳2人(7. 1%), 15歳l1人(39.3%), 16歳7人(25%), 17歳7人(25%), 18歳0人, 19歳1人(3.6%)である。事件別では,児ポ法違反事件のみが21人,児ポ法違反事件及びわいせつ電磁的記録に係る記録媒体陳列事件が6人. わいせつ電磁的記録に係る記録媒体陳列事件のみが1人である。
非行時の職業は,全員が学生であり,有職者はいなかった。学籍は,高校生が18人(64.2%), 中学生が9人(32.2%),大学受験生が1人(3.6%)であった。
2事例の分類
本研究における研究対象事例を検討するに当たり,試みとして,
①注目希求型,
②性欲充足型,
③同性愛社交型
④金銭授受型,
⑤提供・拡散型
⑥強要型
という六つの類型を考えた。類型を作るに当たっては,前述のWolak&Finkelhor (2011)によるセクステイングの分類における着眼点(事案の性質被写体の種類,動機等)を参考に,主に動機・目的によって分類した(資料3)。
なお,性欲充足型と強要型は,性欲の充足という目的は同じであるが,高岸准教授から, その悪質さの程度が大きく異なることや,性加害の深刻度を見る際のポイントの一つである「脅迫・手なずけの有無」によって性欲充足型と強要型とを区別できるという助言を得たことから,別類型とした。
また,同性愛社交型については,研究対象事例の数は少ないものの,高岸准教授から,海外の先行研究(例えば,DirA"etal"2013)では,同性愛者やバイセクシャルの人は,そうでない人に比べてインターネットを介した写真のやり取りが際立って多いことが指摘されており, マイノリテイの仲間を探そうとする願望の結果でもあると言われていることから,一つの類型として独立した方がよいのではないかとの助言を得たことから,類型として独立させた。
複数の動機・目的が複合する事例については, より強い動機・目的によって分類を行
った。

3研究対象事例からみられる各類型の特徴
次に,研究対象事例からみられる各類型の特徴や少年の課題,教育的措置の在り方な
どについて,事例紹介も含めて示す。研究対象事例は,在宅事件であることもあり, その多くが不処分までで終局しているが,類型によって少年の要保護性や終局決定が定まるわけではなく,誤解を避けるため,終局決定については記載していない。
(1) 注目希求型(9人/28人)
ア定義
主たる動機や目的が閲覧者の反応や閲覧者の増加を期待することにあり,注目を浴びることで心理的な満足感を得るために, SNS等を通じて性器等の画像等を投稿するものを注目希求型とした。
イ内訳
・・
ウ動機・目的及び非行態様
主な動機・目的は,①自己のTwi t terのフォロワーや, スレッドや掲示板の閲覧者を増やしたかった,②多くの者が自己の児童ポルノを投稿しており,個人が特定されることはないと思った,③フォロワーや閲覧者が, どんな反応を示すか楽しみだった, といったものであり,児童ポルノを投稿することで,他者の反応を得たり注目を集めようとしたりしていた。
大半の少年は, SNS等に自己の性器等の画像等を投稿することに性的欲求の充足を求める気持ちはなかったと述べ,性的な欲求の関連を否定していた。しかし,
実際に少年らがSNS等に投稿した画像等には勃起した陰茎の画像や自慰行為の動画があり,少なくとも製造し投稿する際には性的な興奮や充足感も得ていた少年がいると思われるほか, 自慰行為の動画を他者が見ていると想像することに興奮を感じたと述べた少年もおり,性欲充足型の少年のように性欲が主たる目的ではないとしても,多少なりとも性的な欲求があったと考えられる。
また,大半の少年は, SNS等を通じて知り合った人と実際に会おうとしたり性的な接触を求めたりはしていないが,女子少年2人については,別の男子少年の育成条例違反で被害者になっていて, SNS等で知り合った人から会うことを求められて性交までしていたことが分かっている。
エ特徴
・・
(2) 性欲充足型(6人/28人)
ア定義
主たる動機や目的が性的な欲求を満たすことにあり, SNS等を通じて被害者に裸体等の画像等を送るよう依頼したり,性交の相手を探す目的で自己の性器等の画像等を投稿したりするものを性欲充足型とした。
イ内訳
・・
(3) 同性愛社交型(2人/28人)
ア定義
主たる動機や目的が同じ性的指向を持つ者を探すことにあり, SNS等を利用して自己の性器等の画像等を投稿したりするものを同性愛社交型とした。

(4) 金銭授受型(4人/28人)
ア定義
主たる動機や目的が金銭を得ることにあり, SNS等を利用して自己又は他者の性的画像等を販売しようとしたり,性交相手を探そうとしたりしたものを金銭授受型とした。
イ内訳
女子3人,男子1人であり,全員が高校生であった。年齢は16歳と17歳が2人ずつであった。男子は周囲から模範的な生徒と見られていたが,女子は学校内での人間関係に問題を抱えており,不登校になったり孤独感を抱えたりしていた。両親健在が3人,母子家庭が1人であった。ただし,両親健在の家庭も父の存在感が希薄であったり,両親の関心が弟の方に向いていると感じて寂しさや不満を抱えたりしていた。母子家庭では経済的な問題があったが,他の家庭に経済的な問題はうかがえなかった。性体験がないのは2人(ただし, 1人は本件で出会った相手と初交)で,男子はSNS等で知り合った男性の性器を3千円もらって口淫し,被害者として警察の事情聴取を受けたことがあった。
ウ動機・目的及び非行態様
女子は, SNS等で性交相手を求めようとし, 自分を目立たせるために自己の裸の画像等を投稿した者が2人,自己の裸体等の画像等を売却した者が1人であった。男子は, インターネットで購入した児童ポルノの動画を自分の妹の動画として売却したものであった。
単純に金銭を得ることを目的とした者は3人で,性交相手を求めた女子のうち1人は,性交して結果的に金銭を得ているが,最初から金銭目的ではなく,精神的不調を抱え, 自分が必要とされていることを実感したいという思いから性交相手を求めていた。他の分類に該当するものがなく,最終的に金銭を受け取っていることから,金銭授受型に分類した。
エ特徴
・・
(5)提供・拡散型(4人/28人)
ア定義
主たる動機や目的が性的な欲求の充足や金銭ではなく,仲間内の人間関係の維持や被害者への悪意といったものにあり,他者の裸体等の画像等をSNS等で特定の者に提供したり不特定多数が閲覧できるようにしたりするものを提供・拡散型とした。
・・
(6) 強要型(3人/28人)
ア定義
主たる動機や目的が性的な欲求を満たすことにあり, そのために被害者を脅迫するなどし,強いて被害者に性器等の画像等を送信させるなどしたものを強要型とした。
性的な欲求を満たすという動機や目的は性欲充足型と同じであるが, 強要型の手段には攻撃性や悪意が認められる点が性欲充足型とは異なっている。また,被害者に対する悪意があるという点では拡散型と同じであるが,強要型では被害者の裸体等の画像を脅迫などによって入手している点が拡散型とは異なっている。
・・
(7) まとめ
全ての類型において, スマートフオンの普及による個室化匿名性や相手と簡単に連絡を取り合える双方向性といったSNS等の特性の影響がうかがえた。SNS等の匿名性の高さは現実生活ではできないことを可能にし,違う自分を演じたり表出できない欲求を表出したりすることができる。そのことが注目希求型や性欲充足型のような性的画像等の投稿への契機となったり, また,強要型のような攻撃性や支配欲求の発露を助長したりすることが考えられる。
研究対象事例の少年に非行歴がある者は少なく, SNS等での言動と現実生活での言動は異なるため, SNS等における非接触型の性非行が現実生活における性非行につながりやすいとまでは言えない。しかし,女子少年は,金銭授受型に限らずSNS等で知り合った男性と実際に出会っているケースが多く,女子少年が被害者にならないようにするためにも,女子少年がSNS等でどのような言動をとっており,相手とどのようなやり取りをしているかをしっかりと確認する必要がある。また,強要型や拡散型には攻撃性や支配欲求,悪意といった要因がうかがえ,少年の抱える問題が比較的大きいと考えられる。同種の非行の再発だけでなく, これらの少年の有する攻撃性等がより深刻な被害を生じさせる別の非行につながるおそれはないかについても,より慎重に調査する必要があろう。