児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

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刑事記録の目的外使用~辻裕教「刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成16年法律第62号)について1」法曹時報第57巻7号

 こういうときは辻論文。
複製等=複製その他証拠の全部又は一部をそのまま記録した物及び書面
ということなので、要約すればいいかな。

刑事訴訟法
第二八一条の三[開示証拠の適正管理等]
 弁護人は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等(複製その他証拠の全部又は一部をそのまま記録した物及び書面をいう。以下同じ。)を適正に管理し、その保管をみだりに他人にゆだねてはならない。
〔平一六法六二本条追加〕

第二八一条の四[開示証拠の目的外使用禁止等]
 被告人若しくは弁護人(第四百四十条に規定する弁護人を含む。)又はこれらであつた者は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、次に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供してはならない。
一 当該被告事件の審理その他の当該被告事件に係る裁判のための審理
二 当該被告事件に関する次に掲げる手続
イ 第一編第十六章の規定による費用の補償の手続
ロ 第三百四十九条第一項の請求があつた場合の手続
ハ 第三百五十条の請求があつた場合の手続
ニ 上訴権回復の請求の手続
ホ 再審の請求の手続
ヘ 非常上告の手続
ト 第五百条第一項の申立ての手続
チ 第五百二条の申立ての手続
リ 刑事補償法の規定による補償の請求の手続
②前項の規定に違反した場合の措置については、被告人の防御権を踏まえ、複製等の内容、行為の目的及び態様、関係人の名誉、その私生活又は業務の平穏を害されているかどうか、当該複製等に係る証拠が公判期日において取り調べられたものであるかどうか、その取調べの方法その他の事情を考慮するものとする。
〔平一六法六二本条追加〕
第二八一条の五[開示証拠目的外使用の罰則]
 被告人又は被告人であつた者が、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、前条第一項各号に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
②弁護人(第四百四十条に規定する弁護人を含む。以下この項において同じ。)又は弁護人であつた者が、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、対価として財産上の利益その他の利益を得る目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときも、前項と同様とする。
〔平一六法六二本条追加〕

辻裕教「刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成16年法律第62号)について1」法曹時報 第57巻7号目的外使用
民事訴訟における利用
開示証拠の復製等を民事訴訟において使用することは,本項の目的外使用に当たり,許されない。
刑事事件の証拠の複製等を民事訴訟で使用するためには,民事訴訟における文書送付嘱託,刑事確定訴訟記録法による閲覧など、法律上別途,その使用を可能とする制度が設けられている。そして,それぞれの制度において,例えば,送付の必要性及び相当性が判断されるなど,所定の要件及び手続に従って,送付ないし関覧等の可否が決せられるものとされている。(注9)
そのような制度によらずに,開示証拠を目的外使用することは. 法がそれらの制度を設けた趣旨に反するものであり,相当ではないと考えられたことによる。民事訴訟での利用が許されるものとすると,開示の必要性と弊害とを比較衡量して証拠開示の要否が決されるに当たり,そのような民事訴訟での利用の可能性をも考慮して(特に,民事訴訟手続においては,民事訴訟法第91条により,原則として,何人も,訴訟記録の閲覧を請求することができるものとされている。).判断されることになり,かえって,証拠開示の範囲が狭くなると考えられ,相当ではない。(注10)
(注9)
確定前の刑事事件の証拠を民事訴訟で利用する方策は,以下のとおりである。
① 当該証拠が公判廷で取り調べられていない場合(不提出記録,不起訴記録)には,民事訴訟を審理する裁判所(民事裁判所)の文書送付属託(民事訴訟法第226条)を受け,当該証拠の原本を保管する検察官が,第47条ただし書の「公益上の必要その他の事由があって,相当と認められる場合」 に該当すると判断した場合に.当該文書送付嘱託に応じる。
② 当該証拠が公判廷で取り調べられている場合には,当該証拠の原本を保管する刑事事件の受訴裁判所(刑事裁判所)が,民事裁判所の文書送付嘱託を受け,これに応ずるか否かを判断している。
なお,実務の運用としては,刑事裁判所は,関係者の名誉・プライパシ侵害のおそれ,刑事公判の円滑な進行の阻害等の文書送付に伴う弊害と,文書送付の必要性を比較衡量して,当該文書送付嘱託に応じるか否かを判断しており,嘱託に応じないこともあるようである。
③ 犯罪被害者等については,犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律第3条に基づき,刑事裁判所が, 一定の要件の下に,訴訟記録の閲覧又は謄写を許可している。
確定後においては,確定記録の保管検察官が,刑事候定訴訟記録法第4条に基づき,関係者の名誉等を侵害するおそれの有無,犯人の改善更生を妨げるおそれの有無等を検討した上で,閲覧の許否を決するものとされており,検察官の判断に不服申立てがなされた場合には.同法第8条により,準抗告裁判所が,これを決するものとされている。
(注10)
 このほか,例えば,無罪事例集のような執務資料集に,開示証拠の複製等を掲載することは,使用が許される場合に該当するものではないが,開示証拠の複製等をそのまま掲載することなく.「複製」等に当たらない概要を記載した資料を作成・出版することは,本項により禁止されない。