これ併合罪で起訴されたときに使えますよね。
東京高裁h28.3.15はこれを認めなかったので、控訴審では破棄されて一部を除いて無罪判決になっています。
控訴審検察官答弁書
(2) part1の提供の罪とpart2の提供の罪は併合罪であるから,part1の提供の罪について無罪の言渡しをしなかったのは違法である旨の主張及び訴因変更が違法である旨の主張について
弁護人は,併合罪であることの根拠として,part1のアップロード時期とpart2のアップロードの時期はその期間が1年2か月間と離れている上,被写体となっている児童も別人であり,提供を受けた3名もダウンロードされた時期も約1年間の隔たりがあることを挙げている。
この点,原判決は,これを包括ー罪としているところ,包括一罪とは,数個の犯罪が成立する場合において,それを構成する数個の行為が,同一罪名に当たるか,若しくは同一法益を侵害するものであって,各行為の間に日時・場所の接近,方法の類似,機会の同一,意思の継続などの密接な関係が認められるものであることから,「数回の処罰」をするべきものではなく,「一回の処罰」で処遇することが相当と解される場合をいうと解されている(大コンメンタール刑法第2版第4巻20 2頁)。
本件において,part1のアップロード時期や提供を受けた者らのダウンロードの時期については,弁護人が指摘するとおり相当程度隔たりがあるものの,提供の方法や場所は,いずれも画像を同一の業者のサーバコンピュータに自宅からアップロードして販売を委託するというもので,全く同ーであるし,被告人がpart1を一応完成させて最初にアップロードしたのが平成20年8月頃であり,その後も,同年10月頃までに一部頁を入れ替え,再度,アップロードするなどする傍ら,同年8月以降, リクエストに応じて他のモデルの写真などを素材にCG画像を製作し続け,これをpart2として完成させてアップロードしているのであって, 被告人によるpart1の提供とpart2の提供の行為には,意思の継続が認められる。したがって,これらを全体として評価すれば,数回の処罰をするべきものではなく,一回の処罰で処遇することが相当といえ,包括一罪と認められる。
そうすると,原判決が包括ー罪としているのは正当であり,また, 1人に対する提供を3人に対する提供に訴因変更をすることも,同一の公訴事実の範囲内であって,これを認めた原審の訴因変更許可決定は正当であり,part1の画像の提供の事実について無罪の言渡しをしなかったのも正当である。