誘拐事件の弁護人なので、チェックしておく。
逮捕監禁がないとすると、状態犯説だと、誘拐のときに犯罪は終わっていて、継続犯説だと、成人する時まで犯罪が継続していることになるんだな。
保護法益が分からないときは、「両方だ」と言っておくわけだな。
http://www.sankei.com/west/news/180504/wst1805040014-n1.html
逮捕容疑は、昨年7月中旬ごろ、浜田市内で女性が未成年者であることを知りながら誘拐し、自宅で寝泊まりさせていたとしている。
女性は昨年7月22日午後11時半ごろから行方不明になり、県警が公開捜査していた。今月3日午後6時15分ごろ、「近くで女性の泣き声が聞こえる」と住民から通報があり、警察官が駆け付けると、容疑者の自宅の居間で女性が泣いていたという。
第224条(未成年者略取及び誘拐)
未成年者を略取し,又は誘拐した者は,3月以上7年以下の懲役に処する。
第229条(親告罪)
第二百二十四条の罪及び同条の罪を幇助する目的で犯した第二百二十七条第一項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
〔昭三九法一二四・平一七法六六・平二九法七二本条改正〕
条解刑法
l )本条の趣旨
本章の罪の保護法益に関しては,被拐取者の自由とする見解,被拐取者に対する保護者の監護権とする見解,基本的には被拐取者の自由であるが,監護権も保護法益であるとする見解等に分かれている。最後の見解が判例通説であり,保護者のいない未成年者についても,行動の自由を意識できない嬰児についても,本章の罪が成立するとの結論を合理的に説明するものである。もっとも,監護権について,保護者の利益と捉えずに,保護されている状態(人的保護関係)と理解する見解や,被拐取者の本来的な生活場所における安全と行動の自由が保護法益であるとする見解もあり,保護法益を被拐取者の利益に還元しながら,同じ結論を導こうとする。
保護法益に関する見解の相違は,略取・誘拐罪が継続犯か状態犯かという問題にも影響し,保護法益を被拐取者の自由とする見解は継続犯と捉え,保護者の監護権とする見解は状態犯と捉えることにつながる。下級審の裁判例には継続犯であると明言するもの(東京高判昭31・8・20判タ62-72,大阪高判昭53・7・28高集31-2-118)や状態犯であると明言するもの(東京高判平14・3・13東時53-1=12-31)もあるが,最高裁・大審院の判例は必ずしも明らかではない(継続犯と解するようにみえるものとして大判大13・12・12集3 871,大判昭4・12・24集8688,拐取罪の既遂時期に関する判示から状態犯と解しているとみる余地のあるものとして大判昭13・11・10集17799,誘拐罪と逮捕・監禁罪の罪数に関する判示から状態犯と解しているとみる余地のあるものとして最決昭58・9・27集37ー7-1078)。
本条は,未成年者は一般に思慮が浅薄であることから.成人よりも厚く保護しようとするものであり,成人と異なり,営利等の目的(225・225の2・226参照)がない場合であっても犯罪が成立することになる。
本条の罪は親告罪である(229
客体
未成年者である。20歳未満の者をいう(民3)。婚姻した未成年者は,民法上は成年に達したものとみなされるが(民753),本条の罪の客体からは除外されない。生後2日目の嬰児も客体となり得る(東京高判昭37・7・20判時31921