児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

注釈刑法第2巻各論1のわいせつ行為

 だいぶ変わったなあ

和田俊憲 注釈刑法第2巻各論1 77条〜198条 
(2) わいせつ行為(ア) 意義実行行為の中心は, わいせつな行為である。これは客観的に性的自由を害する行為であり,被害者の立場に立った一般人から見て客体とされることにつき一定程度以上の性的羞恥心の対象となる行為をいうものと解される(なお, 名古屋高金沢支判昭36.5.2下刑集3巻5=6号399頁は, わいせつ行為の要素として, ①徒に性欲を興奮・刺激させ,②普通人の砿
常な性的荒恥心を害し, ③善良な性的道徳観念に反することを挙げるが, ①は無用であり, ③は個人的法益の侵害性を指すものへの変換が必要と思われる)。公然わいせつ罪では当該行為を観察する視点からの蓋恥心が問題なのに対して,本罪では行為客体の視点からの差恥心が問われることから,意思に反する接吻のように公然わいせつ罪を構成しない行為でも,本罪のわいせつ行為にはあたりうる(山口 各l06頁以下)。
客体が13歳未満の場合は別の検討を要する。性的蓋恥心を,年齢を無視した一般的判断に服せしめ,乳幼児の臀部を撫でる行為にまで本罪を認めるのは過剰であろう。逆に,性的羞恥心を個別的に判断し, それを有しない幼年者を,たとえば性交類似行為からも保護しないのは妥当でない。保護法益を青少年の健全な成育に求めたうえで,⑪被害者の性的蓋恥心(事後的なものも含む)を介して健全な成育を害するおそれのある行為(新潟地判昭63.8.26判時1299号[7歳の女児の乳部・臀部を撫でる行為につき,被害者が羞恥心と嫌悪感を抱いたことなどを指摘して本罪を肯定〕参照) と,②身体的感覚(およびその記憶)を通して健全な成長を害するおそれのある行為(福岡地飯塚支判昭34。2。17下刑集1巻2号399頁〔3歳児に対する強姦未遂を肯定〕参照) とを,併せてわいせつ行為とするのが妥当と思われる。特別法や条例における青少年保護との違いは,行為の害悪性の程度の差に求められよう。