児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「婚姻適齢は18歳に統一される見通し」という記事

 現行民法では、16〜17歳の「青少年」は婚姻適齢なので、青少年条例の真剣交際の主張のときに、相手方が婚姻適齢に達していれば、違法性阻却の一事情になるんですが、この記事のように改正されると、青少年で婚姻適齢というのがなくなるので、そういう項目がなくなることになりますね。

杉本啓二「青少年条例における淫行処罰規定と少年事件-最高裁昭和60年10月23日大法廷判決を契機としてー」判例タイムズ第586号
少女の年齢についてであるが、前述したように、谷口裁判官の意見は、一六歳に満たない年少少年に対する性交又は性交類似行為の如きは、そこに至る手段・方法のいかんを問わず一律に処罰する合理性があるが、これを超える年長少年については一律処罰は適正とはいえないと述べている。
たしかに、婚姻年齢に達しているかどうかは少女の側の性に対する知見の程度を示す有力な手がかりであるが、年長少年に対する関
係においても、不正な手段を用いて性行為を行った場合だけでなく、単に性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような場合にも、これを「淫行」とすぺきであろうし、逆に、年少少年に対する関係においても、ことに、青少年について
の免責条項のない青少年条例の下で一八歳未満の少年がその相手方である場合、「淫行」に該当しないと考えるべき場合もあろうと思われる。

裁判官谷口正孝の反対意見は、次のとおりである。
 三 次に、私は、憲法三一条はその規範内容として実体的適正処罰の原則をも含んでいるものと考えている。刑罰法規が人の行為を犯罪として処罰するためには、その行為は法益侵害を伴うものであつて、まさに一般人の見解を基準にして可罰相当性の評価を受けるものでなければならない。社会倫理上もしくは道徳上の価値規準からみて好ましくない行為であるというだけの理由で法律(ここでは条例)を構えて人を処罰するが如きことは許されるはずがない(刑法の脱道徳化、道徳に対する罪の非犯罪化という最近の刑事法の動向を考えよ)。
 ところで、私も青少年を性的に汚染された環境から保護しその健全な育成を図るという本条例制定の趣旨は十分に理解することができる。そして、本条例にいう青少年のうち年少者(例えば、一六歳未満の者。便宜これを「年少少年」という)に対する性交又は性交類似行為の如きは、そこにいたる手段・方法のいかんを問わず青少年の健全な育成を阻害する行為であつて、条例を以てかかる行為を一律に処罰することには相応の合理性があるものと考える(もつとも、これら年少少年に対する場合、通常誘惑の手段が用いられるであろう)。刑法一七六条、一七七条各後段の規定は、性的自由に対する侵害の観点から一三歳未満の者に対するわいせつ、姦淫行為をすべて強制わいぜつ罪又は強姦罪として処罰しているが、そのことと青少年の健全な育成という社会的法益の侵害とは自ら別異の規制に服するものと考えてよい。両者は保護法益を異にしているものといえるからである。
 然し、本条例にいう青少年のうち年長者(例えば、一六歳以上の者。便宜これを「年長青少年」という)に対する性交又は性交類似行為については年少少年に対する場合と同一に扱うわけにはいかない。身体の発育が向上し、性的知見においてもかなりの程度に達しているこれら現代の年長青少年に対する両者の自由意思に基づく性的行為の一切を罰則を以て一律に禁止するが如きは、まさに公権力を以てこれらの者の性的自由に対し不当な干渉を加えるものであり、とうてい適正な処罰規定というわけにはいかないであろう。なお、ここで、民法が一六歳以上の女子に対する婚姻能力を認めていることも考えておいてよい。
 私は、これら年長青少年に対する淫行(性交又は性交類似行為)を禁止処罰するためには、これらの行為を違法たらしめる特別の要素が備わることが必要であると考える。これら青少年の性的知識・経験の未熟なことに乗じて誘惑、威迫等の手段を用いて性交又は性交類似行為に及んだ場合の如きがそうである。多数意見も又そのような考慮を働かせたからこそ、「淫行」概念について限定解釈の道を選択したものと理解する。然し、私としては、そのような限定解釈が解釈の限界を超えると考えることは、先に述べたとおりである。そして、私の考えるところによれば、限定解釈の必要性は専ら右の年長青少年につて生ずるわけであるが、限定解釈の道を認めない私の考えによれば、本条例一〇条一項の規定は右の年長青少年に対する関係において適正処罰の原則に反するものということになる。そして、年少少年に対する性交又は性交類似行為を一律に可罰相当と考える私の見解をもつてすれば、本条例は、右年少少年と年長青少年とを区別せず(同条例三条一項)、これらをすべて青少年の概念でひつくるめ、これらの者に対する「淫行」の一切を一律に可罰行為としている点において適正処罰の要請からとうてい是認できないものと思う。(なお、本件において被告人と性的関係を持つた女性は満一六歳の者であつたことを記しておこう。)
 四 以上のほか、本条例一〇条一項の憲法適合性についてはなお検討を要する問題点を残すが、私は上記二及び三に述べた理由により、右規定は少なくとも年長青少年との淫行を処罰する限りにおいて、刑罰法規の明確性、適正処罰の観点から考えて憲法三一条に違反し無効と考える。従つて、この理由により原判決及び第一審判は破棄を免れず、被告人は無罪と考える。

民法第七三一条(婚姻適齢)
 男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。

http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20160902143033622
また現在、女性は16歳、男性は18歳になれば成人していなくても親の同意があれば結婚できる(婚姻適齢)。成人年齢の引き下げで婚姻適齢は18歳に統一される見通し。