児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

警察官による児童淫行罪につき懲役3年(実刑)とした事例(水戸地裁H28.7.26)

 4/28起訴 6/23第1回公判で結審して7/26実刑判決という進行でした。
 包括一罪となることから、訴因には淫行1回のみの記載でも、全部の淫行が量刑されますので、公訴事実を争わない場合でも回数・期間・行為内容を争う必要があります。1回で結審するのはリスクが高すぎるので避けて下さい。
 家裁専属管轄でやってたもので訴因制度を無視するような運用になっています)
 児童淫行罪の保護法益というのは金銭による填補になじまないものですが、被害感情部分は可能と言えば可能ですが、50万円というのは、1ケタ少なく、被告人・弁護人・保護者ともにその辺の理解が不十分です。

元警部補に実刑判決 少女にみだらな行為=茨城
2016.07.27 読売新聞
 支援対象の少女にみだらな行為をしたとして、児童福祉法違反(淫行させる行為)に問われた元つくば中央署生活安全課少年係長で元警部補の被告(45)の裁判で、水戸地裁は26日、懲役3年(求刑・懲役3年6月)の判決を言い渡した。長島銀哉裁判官は「警察官としての職責を果たさず、立場を悪用し、欲望のために犯行に及んだ」と述べた。

 判決によると、被告は2015年11月17日午後2時10分頃から同3時50分頃、当時15歳だった少女が18歳未満と知りながら、警察官としての立場や影響力を利用して土浦市のホテルでみだらな行為をした。

 弁護側は26日、少女側に50万円を支払い、保護者も「執行猶予が妥当」としていると訴え、検察側も論告時の懲役4年から期間を短くして、再度求刑した。

 長島裁判官は主文を後回しにして判決を読み上げ、「少女の信頼を裏切り、社会一般の警察官に対する信頼を失わせた」と指弾。「社会的な処罰要請が非常に高く、長期の実刑に処するよりない」とした。

(傍聴席から)「自制心働かず」担当少女にわいせつ 元警察官に懲役3年判決/茨城県
2016.07.27 朝日新聞
 判決によると、被告は警部補だった昨年11月17日、担当の少女(当時15)に対し、土浦市内のホテルでわいせつな行為をした。長島裁判官は「厳しく身を律するべき立場なのに、立場を悪用した。社会からの警察官への信頼を失墜させた」と指摘。弁護側が求めた執行猶予付きの判決は認めなかった。県警は4月下旬、被告を懲戒免職処分としている。
 6月下旬に開かれた初公判。髪を短く整えた被告は、落ち着いた様子で出廷した。「弁解の余地はありません。一時的な欲求でやったことを後悔しています」
 検察側によると、被告は大学卒業後、県警に採用された。昨年4月から非行少年らの立ち直り支援業務に就いた。昨秋から少女を担当し、週に数回会って悩みを聞いた。少女のために学校や塾に送り迎えもしたという。

 だが、次第に少女への気持ちは、一方的な恋愛感情へと変化していった。ホテルでわいせつな行為に及んだ後も、車内や少女の自宅で同様の行為を続けたという。昨年12月、被告からの頻繁なメールについて、少女が県警に相談。被告は少女の担当を外れ、上司から注意を受けたにもかかわらず、連絡を取り続けたという。

 警察官として約20年間勤務してきた被告。なぜ、欲求におぼれてしまったのか。弁護人から、その理由を問われると「部下との間に溝ができて自信をなくしかけていた」「子育てで忙しい妻との会話の時間が取れなかった」。一方で「少女にも(好意の)感情があると思い、自制心を働かせられなかった」と主張した。

 証人として法廷に立った被告の妻は「怒りや絶望もあったが、普段は良い父親で私にも優しかった」と声を振り絞った。被告人席に座った被告は、まっすぐ妻のほうを見たままだった。