紹介されている判例は全部「弁護人弁護士奥村徹」ですね。実刑事案で慎重に審理してほしいときには、罪数処理に噛み付いてみて下さい。最高裁まで上がれることがあります。
罪数処理は結局事例判断になるので、A罪とB罪、A罪とC罪・・・という順列組合わせで判例を出していかないと解決しません。
今ホットなのは強要罪・強制わいせつ罪・強姦罪と3項製造罪の罪数処理です。奥村が弁護人になると軽い方の罪をのんで起訴する検察官がいるので、最高で決着するのは当分先です。
もうすぐ最高裁で決着が付くのは、児童買春罪と3項製造罪の罪数処理です。観念的競合説の札幌高裁と併合罪説のその他大勢があって判例違反の上告理由が立ちますので、間に合う事件があれば、控訴理由・上告理由に含めて下さい。
児童ポルノ製造罪と児童淫行罪をはじめとする他の性犯罪(例えば,児童買春・児童ポルノ等処罰法上の児童買春罪,刑法上の強姦罪,強制わいせつ罪,条例における淫行罪等)との関係については,従前の裁判実務は観念的競合説と併合罪説とに分かれている状況にあった。児童ポルノ製造罪には.「姿態をとらせ」が要件となる3項製造罪(平成16年法律第106号の改正により新設されたもの)と「姿態をとらせ」が要件とならない2項製造罪等の罪とがあるが,取り分け前者については,「姿態をとらせ」という要件があるために,性交等をさせることをもって姿態をとらせながら撮影して児童ポルノを製造する場合に,児童ポルノ製造罪と児童淫行罪等とは行為が重なるから「一個の行為」であって観念的競合であるとの解釈に結び付きやすい面があり.そのような処理例も実務上少なからずあった(東京高判平成17・12・26判時1918号122頁参照)。本件の原判決もこのような立場に立って,観念的競合であるとして児童ポルノ製造罪(3項製造罪)についても家庭裁判所の管轄を認めたものであった。他方で,これらの罪について併合罪であるとする処理例も多数あり(2項製造罪と児童買春罪に関する事案であるが,この問題を詳細に論じた東京高判平成19・11・6東高刑時報58巻1~ 12合併号96頁が,大口奈良恵・研修716号111頁以下に紹介されている。その他に,東京高判平成21・7・6東高刑時報60巻1 ~ 12合併号105頁,東京高判平成21・10・14東高刑時報60巻1~ 12合併号161頁があり.公刊物未登載の高裁判例においても併合罪説に立つものが少なからず見られる).近時では. 3項製造罪の場合も含め,併合罪説に立つ高裁判断が多数を占めつつある状況にあったように思われる。最高裁の判例においては,最三小決平成18・2・20(刑集60巻2号216頁)が児童買春・児童ポルノ等処罰〕法2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ,これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は,法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たる」としており,・・・