児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童買春に当たる行為のうち,「児童の性器等を触り,若しくは児童に自己の性器等を触らせる」行為については「自己の性的好奇心を満たす目的」の存在が要件として付加されているが,これは,例えば,医師が医療行為をする場合や,児童の保護者らが,監護養育上の必要等から,児童の性器等に触れたり,授乳等に際して自己の乳首に触れさせる場合などを除外するために設けられた要件と解される(東京地裁H15.10.22)

 これは児童買春罪の解釈ですが、似たような定義である2号ポルノについては、「自己の性的好奇心を満たす目的」の存在が要件として付加されていないので、例えば,医師が医療行為をする場合や,児童の保護者らが,監護養育上の必要等から,児童の性器等に触れたり,授乳等に際して自己の乳首に触れさせる場合などは除外されないことになります。
 他方、被写体がそういう姿態をとっている目的では無く、見た目の判断で「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という要件が入っているので、「医師が医療行為をする場合や,児童の保護者らが,監護養育上の必要等から,児童の性器等に触れたり,授乳等に際して自己の乳首に触れさせる場合」であっても、見た目上、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」である場合には2号ポルノになります。
 児童ポルノ・児童買春の定義には、立法ミスというべきこういうズレがあるので、芸術・学術の写真も、児童ポルノに当たることがあるという解釈になります。

東京地裁平成15年10月22日
2 次に,弁護人は,判示第5及び第6の各事実(訴因変更後のもの)につき,児童に口淫をさせたり,その陰部をなめたり,その陰部にバイブレーターを挿入する行為は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条2項所定の「性交類似行為」には当たらず,「児童の性器等(性器,肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り,若しくは児童に自己の性器等を触らせる」行為に当たるが,本件では「自己の性的好奇心を満たす目的」が公訴事実に記載されていないから,犯罪は成立しない旨主張する。
しかし,「性交類似行為」とは,性交と同視し得る態様における性的な行為であり,これには異性間の性交とその態様を同じくする状況下における手淫,口淫,同性愛行為等や,性交を模して行われるかかる行為等が含まれるものと解すべきところ,本件において,被告人は,I及びYから性交を拒まれていたことから,これに代えて,自己の陰茎を児童にくわえさせる口淫行為や,児童の陰部をなめたり,バイブレーターを陰茎に見立てて児童の陰部(膣内)に挿入する行為を行ったものであって,これらの行為が「性交類似行為」に該当することは多言を要しない(なお,児童買春に当たる行為のうち,「児童の性器等を触り,若しくは児童に自己の性器等を触らせる」行為については「自己の性的好奇心を満たす目的」の存在が要件として付加されているが,これは,例えば,医師が医療行為をする場合や,児童の保護者らが,監護養育上の必要等から,児童の性器等に触れたり,授乳等に際して自己の乳首に触れさせる場合などを除外するために設けられた要件と解されるところ,前記のような口淫行為や,児責の陰部をなめたり,その陰部にバイブレーターを挿入したりする行為については,そのような除外対象となる余地はないから,「性交類似行為」にほかならないというべきである。)。