児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

中学生が「経験豊富な熟女に、土下座してでもよいから、やらせてください、とお願いして」性交する場合でも、「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為」に当たれば、熟女が青少年条例違反で検挙される。

 そういう判例ですので指摘しておきます。
 相手方が青少年である限りいくら意思確認しても「その心身の未成熟に乗じた」と評価されることが多いと思いますよ。

(悩みのるつぼ)性欲が強すぎて困ります
2012.12.08 東京朝刊 10頁 週末be
 ○回答者 社会学者・上野千鶴子 異性とつきあうのは面倒くさいこと
 中学生ですか。朝日新聞を読んでいるんですか、しかも「悩みのるつぼ」の読者ですか、末頼もしいですね。
 中学生って、あたまのなかがこの方面のことでいっぱいの時期ですねえ。むらむら、もやもや、勉強も手につかないって気持ち、よくわかります。いえ、それがわかるようになったのは大人になってから、元男の子たちに思春期の性欲について話を聞いたからです。後になって同じ年代の男の子たちはあんなに煩悶(はんもん)していたのかと初めて理解し、そして男って性欲にふりまわされる生きものなんだねえ……と同情に堪えませんでした。男って謎じゃ。女のわたしにはわからないことだらけです。
 一昔前の人生相談なら、スポーツに汗をかいて性欲を発散させましょう、と回答しそうですが、そんな逃げ道はやめときましょう。それにあなたは「ひとりで性欲を処理する」ことは慣れてるんですよね。むらむらしてるのは、「ほんものの女の子ってどんなものなのか」知りたい気持ちが抑えられないこと。
 聞くところによれば、男性の性欲のピークは20歳前後。それから後は下り坂の一方、だそうです。エリート高校の男子生徒がガールフレンドはいない、なぜって「女とつきあうのはめんどくさいから」って言いました。性欲のピークにめんどくさいアンタは、いったいいつめんどくさくなくなるんだ? まず覚えていてほしいのは、異性とつきあうのはめんどくさいってこと。友だちになるだけでめんどくさいのに、パンツまで脱いでもらう関係になるのはもっとめんどくさいです。それにセックスって子どもをつくる行為であることは覚えておいてくださいね。
 で、めんどくさいことを避けて相手のあるセックスって何か、知りたければ方法があります。知らないことは知っているひとに教えてもらうに限ります。経験豊富な熟女に、土下座してでもよいから、やらせてください、とお願いしてみてください。断られてもめげないこと。わたしの友人はこれで10回に1回はOKだったと言っています。昔は若者組の青年たちの筆おろし(って知ってますよね)を担ってくれる年上の女性たちがいたものでした。わたしだってもっと若ければ
 ……ただし相手のいやがることは決してしないこと。ご指導に従って十分な経験を積んだら、ほんとうに好きな女の子に、お願いしましょうね。コンドームの準備は忘れずに。
朝日新聞社

判年月日 昭和60年10月23日 裁判所名 最高裁大法廷 裁判区分 判決
事件名 福岡県青少年保護育成条例違反被告事件
 一 被告人本人の上告趣意第一部の二ないし四及び第二部の一ないし四は、福岡県青少年保護育成条例(以下、「本条例」という。)一〇条一項、一六条一項の規定は、一三歳以上、特に婚姻適齢以上の青少年とその自由意思に基づいて行う性行為についても、それが結婚を前提とする真摯な合意に基づくものであるような場合を含め、すべて一律に規制しようとするものであるから、処罰の範囲が不当に広汎に過ぎるものというべきであり、また、本条例一〇条一項にいう「淫行」の範囲が不明確であるから、広く青少年に対する性行為一般を検挙、処罰するに至らせる危険を有するものというべきであつて、憲法一一条、一三条、一九条、二一条の規定に違反すると主張し、弁護人立田廣成は、当審弁論において、被告人の右主張は憲法三一条違反をも併せ主張する趣旨である旨陳述するとともに、その上告趣意第一において、右の「淫行」の範囲に関し、青少年を相手とする結婚を前提としない性行為のすべてを包含するのでは広きに過ぎるから、「淫行」とは、青少年の精神的未成熟や情緒不安定に乗ずること、すなわち、誘惑、威迫、立場利用、欺罔、困惑、自棄につけ込む等の手段を用いたり、対価の授受を伴つたり、第三者の観覧に供することを目的としたり、あるいは不特定・多数人を相手とする乱交の一環としてなされる性行為等、反倫理性の顕著なもののみを指すと解すべきであると主張する。
 そこで検討するのに、本条例は、青少年の健全な育成を図るため青少年を保護することを目的として定められ(一条一項)、他の法令により成年者と同一の能力を有する者を除き、小学校就学の始期から満一八歳に達するまでの者を青少年と定義した(三条一項)上で、「何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつの行為をしてはならない。」(一〇条一項)と規定し、その違反者に対しては二年以下の懲役又は一〇万円以下の罰金を科し(一六条一項)、違反者が青少年であるときは、これに対して罰則を適用しない(一七条)こととしている。これらの条項の規定するところを総合すると、本条例一〇条一項、一六条一項の規定(以下、両者を併せて「本件各規定」という。)の趣旨は、一般に青少年が、その心身の未成熟や発育程度の不均衡から、精神的に未だ十分に安定していないため、性行為等によつて精神的な痛手を受け易く、また、その痛手からの回復が困難となりがちである等の事情にかんがみ、青少年の健全な育成を図るため、青少年を対象としてなされる性行為等のうち、その育成を阻害するおそれのあるものとして社会通念上非難を受けるべき性質のものを禁止することとしたものであることが明らかであつて、右のような本件各規定の趣旨及びその文理等に徴すると、本条例一〇条一項の規定にいう「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。けだし、右の「淫行」を広く青少年に対する性行為一般を指すものと解するときは、「淫らな」性行為を指す「淫行」の用語自体の意義に添わないばかりでなく、例えば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等、社会通念上およそ処罰の対象として考え難いものをも含むこととなつて、その解釈は広きに失することが明らかであり、また、前記「淫行」を目して単に反倫理的あるいは不純な性行為と解するのでは、犯罪の構成要件として不明確であるとの批判を免れないのであつて、前記の規定の文理から合理的に導き出され得る解釈の範囲内で、前叙のように限定して解するのを相当とする。このような解釈は通常の判断能力を有する一般人の理解にも適うものであり、「淫行」の意義を右のように解釈するときは、同規定につき処罰の範囲が不当に広過ぎるとも不明確であるともいえないから、本件各規定が憲法三一条の規定に違反するものとはいえず、憲法一一条、一三条、一九条、二一条違反をいう所論も前提を欠くに帰し、すべて採用することができない。
 なお、本件につき原判決認定の事実関係に基づいて検討するのに、被告人と少女との間には本件行為までに相当期間にわたつて一応付合いと見られるような関係があつたようであるが、当時における両者のそれぞれの年齢、性交渉に至る経緯、その他両者間の付合いの態様等の諸事情に照らすと、本件は、被告人において当該少女を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性行為をした場合に該当するものというほかないから、本件行為が本条例一〇条一項にいう「淫行」に当たるとした原判断は正当である。
・・・
 よつて、刑訴法四一四条、三九六条、一八一条一項但書により、主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官牧圭次、同長島敦の各補足意見、裁判官伊藤正己、同谷口正孝、同島谷六郎の各反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見によるものである。

追記
 この弁護士のコメントはちょっとおかしくてですね、実際に特定の熟女と特定の中学生が性交・性交類似行為しない限り、上野氏は児童淫行罪になりません。
 また、判例は、「児童福祉法三四条一項六号にいう淫行を「させる行為」とは、児童に淫行を強制する行為のみならず、児童に対し、直接であると間接であると物的であると精神的であるとを問わず、事実上の影響力を及ぼして児童が淫行することに原因を与えあるいはこれを助長する行為をも包含するものと解される(なお、最高裁判所昭和三〇年一二月二六日第三小法廷判決刑集九巻一四号三〇一八頁、最高裁判所昭和四〇年四月三〇日第一小法廷決定裁判集一五五号五九五頁参照。)」というのでベースとなる人間関係(師弟・親族・契約等)が無い熟女と中学生が性交・性交類似行為しても児童淫行罪にはなりませんので、上野氏の発言で影響されても、児童淫行罪の助長・教唆にはなりません。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/613868/
上野氏は《(熟女の)ご指導に従って十分な経験を積んだら、ほんとうに好きな女の子に、お願いしましょうね。コンドームの準備は忘れずに》と回答を締めくくっているが、これが「法律違反」になる可能性もある。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「18歳未満に性行為を助長することは、児童福祉法違反に該当する可能性がある」と語る。同法では「児童に淫行をさせる行為」を禁じており、「新聞がこうした内容を載せるのは、児童福祉法違反を助長、教唆することにもなる」というのだ。

 夕刊フジの取材に対し、朝日新聞社広報部は、「性に関する深刻な悩みに対して、男女の機微について語りつつ、『相手のいやがることは決してしないこと』などと相談者に冷静な対応を促したものと考えています」とコメント。上野氏は、朝日が示した見解について「その通りじゃないですか」としつつ、「取材に応じている時間がない」と話している