児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「みだらな性行為」と「わいせつな行為」の境界線は不明確であり、「わいせつな行為」が「みだらな性行為」を包含する関係になる。一体として「みだらな性行為又はわいせつな行為」というべきであろう

 従来の判例では「みだらな性行為」=性交又は性交類似行為と定義していましたが、最近では、青少年条例違反の性交類似行為も「わいせつな行為」だという判例が2件あります。
 もう「みだらな性行為」と「わいせつな行為」の境界線は不明確であり、「わいせつな行為」が「みだらな性行為」を包含する関係になる。一体として「みだらな性行為又はわいせつな行為」というべきでしょう。
 青少年の鼻や足を舐める行為・精液を投げつける行為も青少年条例違反です。非親告罪
 混沌としてきましたね。

青少年健全育成条例
(みだらな性行為等の禁止)
第三十五条何人も、青少年に対してみだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2何人も、青少年に対して前項の行為を教え、又は見せてはならない。

阪高裁h23.12.21*2
そこで,更に検討すると,本条例21条1項の「みだらな性行為」は,上記(1)の判例で問題とされた条例の定めにある「淫行」と同義であると解され,上記(1)の判例にあるように,児童福祉法34条1項6号にある「淫行」の解釈と同様に,性交行為に加え,口淫等性交類似行為を含むものと解するのが相当である。
しかし,このような「みだらな性行為」とは別に,選択的に「わいせつ行為」が構成要件として挙げられているからといって,これが「みだらな性行為」の対象行為を全く含まないと即断することはできない。
そして本条項の「わいせつな行為」については,刑法上で解釈されているわいせつ概念と異なる内容と解する合理的な根拠も特に見いだせないのであるから,「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ,かつ,普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為」を指すと解するのが相当である。
そうすると,そのような「わいせつ行為」に当たるとの評価が可能である本件性交類似行為については,これを本条項の「わいせつな行為」に当たるとして法適用することに誤りはないというべきである。

阪高裁h23.6.28*3
控訴趣意第2について
性交及び性交類似行為は,本条例21条1項にいう「みだらな性行為」にも「わいせつな行為」にも該当することは明らかである。昭和60年最高裁判決において,「みだらな性行為」が同判決の示す限定解釈をした性交及び性交類似行為をいうと判示され,同項において,これと「わいせつな行為」とが選択的な関係にあることを表す「又は」の文言で結びつけられているからといって,性交及び性交類似行為が「わいせつな行為」から除外されることにはならない。そして,原判決は,わいせつな行為があらゆる性的行為を含むものではないことに関し,特に説示するところはないものの,本件犯行は,その経緯,態様等に照らし,被告人及び共犯者が被害者を単に自己の同性愛的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交類似行為の事案であり,わいせつな行為に当たることが明らかである。そうすると,原判決が,弁護人の主張するような限定解釈をする旨を明示していないからといって,限定解釈していないとはいえず,弁護人がいうような憲法違反の判断とはいえない。
2わいせつな行為に該当しない原判決第1の行為に本条例を適用した法令適用の誤りの主張(控訴趣意第3)について
その要旨は,原判決第1の行為は,本条例21条1項の「わいせつな行為」に該当しないのに,これに該当するとした原判決には,法令の解釈を誤った結果,法令適用の誤りをおかしたものであって,その誤りが判決に影響を及ぼすことは明らかである,というものである。
しかし,原判決第1の行為は,上記のとおり,被告人及び共犯者が被害者を単に自己の同性愛的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交類似行為であるから,本条例21条1項にいう「わいせつな行為」に該当することは明らかである。