児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

泉川健太郎「長期間にわたる実子に対する性的虐待事業の捜査について」

 2件だけ起訴して「長期間」の余罪の立証をされると、そこで量刑されるので、弁護人は起訴されていない余罪を争うことになって困ります。

捜査研究715号P48
実例捜査セミナー長期間にわたる実子に対する性的虐待事業の捜査について東京地方検察庁検事泉川健太郎
第1 はじめに
今回ご紹介するのは被疑者による実子である長女(当時19歳から20歳)に対する2件の準強姦事案及び同じく実子である次女(被害当時18歳)に対し.無理矢理キスをしようとしたという強制わいせつ未遂事案である。
本件捜査においては,若手前に事件相談を受け.事案の性質を捉えて情状立証に留意しつつ捜査を進め公判請求することができ.適切な量刑を獲得することができたため今回ご紹介する次第である。
第2  事件発覚の経緯
被疑者は,長女の小学校入学前から,長女に対し性交等を強いるなどの性的虐待を始め,本件犯行当時まで継続的に性交を強いてきたものであった。また,被疑者は,本件犯行の直前には.次女に対し.「俺の女になれ」などと言って.次女に対して性的関係を持つことを要求するようになっていた。
そのため,次女が長女に対し,被疑者から性的関係を持つことを要求されていることを打ち明け長女はこのままでは次女が被疑者から性交を強いられるのは時間の問題と感じ危機感を募らせていたところ.その相談の数日後,被疑者が,次女に無理矢理キスをしようとしたため,次女が家を飛び出し.そのまま,長女と次女が警察署に駆け込んだことから,本件が発覚した。

第6 公判
以上により,被疑者に対しては,次女に対する強制わいせつ未遂事案l件,長女に対する準強姦事案2件を起訴し,これらが併せて審理され.被疑者は,公判廷でも事実を認めた。
被疑者に対しては懲役15年を求刑したところ,裁判所は,検察官の主張どおり,本件犯行が.長期間に及ぶ実子への苛烈な性的虐待の一環としての犯行であることに加え,長女に対しその一生涯に及ぶ回復困難な粕神的被害をもたらしたことを認定し,懲役13年の実刑判決となった。
第7 まとめ
本件は,長期間にわたる性的虐待事案であり,長女のみならず.次女に対しても性的虐待を拡大しようとした点に特徴があったため.その点を情状上も十分に立証する必要性があると考えその点について留意して捜査を尽くした。
本件においては,迅速な事件相談に始まり,その後も讐察の方々の迅速かっ積極的な捜査により大変助けられ,最終的に適切なM刑を獲得することができたものでありこの場を借りて捜査に感謝の意を表したい。