児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

4項提供罪(不特定多数)と5項所持罪(不特定多数)は併合罪。

 所持と提供については、包括一罪にした原判決に、牽連犯を主張して、併合罪にされています。

阪高裁H20.4.17
所論は,原判示第2の児童ポルノ提供目的製造罪,同第1の2の児童ポルノ提供目的所持罪,同第1の1の児童ポルノ提供罪は牽連犯である,というのである。
しかしながら,前述の児童ポルノ法の立法趣旨,保護法益等に照らすと,同法が児童ポルノ等の製造,所持,提供の各行為を並列的に禁圧する規定を置いているのは,児童ポルノ等が児童の権利を侵害するなど,社会に緩めて重大かつ深刻な害悪を流す特質を有するところから,その害惑の流布を防止するため,製造,所持,提供の行為如何を関わず,あらゆる角度から児童ポルノ等に関する行為を列挙してこれらを処罰の対象とする趣旨と解される。したがって,その製造,所持,提供の各行為は, 別個独立の行為として,それぞれ一罪として処罰されるべきであり,しかも,これらの犯罪の通常の形態として,その性質上,必然的な手段又は当然の結果という関係にあるなどともいえないから,これらの犯罪を連続して犯したとしても,所論がいうような牽連犯ではなく,併合罪になるものと解すべきである。
なお,同第1の1の児童ポルノ提供罪と同第1の2の児童ポルノ提供自的所持罪とは,刑法45条前段の併合罪として処理すべきであるのに,両罪を包括一罪として処理した原判決には法令適用の誤りがあるが,これを正当に処理した場合と比較すると,他界との併合罪という関係もあって,懲役刑の処断刑期の範囲は同一であり,罰金刑の合算額に一応は差異を生じることになるが,最終的に,罰金額の点在含め刑の量定が不当であるとまでは認められないことなどに照らすと,その法令適用の誤りは,判決に影響することが明らかであるなどとはいえない。