児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

併合審理しなかった裁判員裁判(岐阜地裁H21.12.10)

 次の事件の裁判体は、この事件の証拠を見ないわけだから、合算して適切な量刑というのは望めません。軽すぎたり重すぎたり。
 とりあえず全部控訴して名古屋高裁のどっちかの部に両方係ることを祈るしかない。

裁判員「評議には納得」 「強制わいせつ致傷」判決=岐阜
2009.12.11 読売新聞社
 判決で田辺三保子裁判長は、「目撃されていなければ、さらに犯行が続いた可能性があり、犯行に向けた強い意志が認められる」と指摘。さらに事件の前後にも同様のわいせつ行為を犯していることを踏まえ、「常習的な犯行の一環と言え、自分で本当に反省するまでの段階には至っていない」と判断した。田辺裁判長は判決を読み上げた後、「裁判員と裁判官が頭と心を合わせて考えたものです」と被告に言葉を投げかけた。被告は弁護人と相談して控訴するかどうかを決める方針。

被告に懲役3年判決 岐阜地裁、「余罪」残し実刑 初の性犯罪の裁判員裁判 /岐阜県
2009.12.11 朝日新聞社
 被告はほかに、最高刑が無期懲役の強盗強姦(ごうかん)罪など4事件(3事件は裁判員制度の開始前に起訴)に問われ、裁判員裁判でともに審理できたが、その方法はとられなかった。別々の審理を求めたという弁護士の1人は「性犯罪であることを踏まえ、被害者が裁判員にできるだけさらされないよう配慮した」と言う。
 判決は「余罪」の審理を残したまま、一部の罪に刑を言い渡す形になった。残る4事件の判決は裁判官だけの裁判で下され、二つの判決の量刑が合算される見通しだ。

裁判員裁判:県内3例目、懲役3年の判決 強制わいせつ致傷で地裁 /岐阜
2009.12.11 毎日新聞
 ◇分離のケース「丁寧な説明を」
 今回審理されたのは、5月の裁判員制度導入後に起訴された1件のみ。強盗強姦罪など若い女性を狙ったとされる同種の4件の事件については制度導入前に起訴されていた。本来なら一つにまとめて「併合審理」を行うが、導入時期をまたぐ形になったため分離された。最終的な刑期は、それぞれの裁判の判決を足して決まる。
 4件の事件は今回の量刑の判断に加えられないが、弁護人の仲松正人弁護士は「ほかの事件に引っ張られ、併合した場合より、最終的な刑が重くなる可能性がある」と指摘する。弁護側は9日の最終弁論で「今日ここで審理した事件に絞って、刑の重さを考えてほしい」と付け加えた。
 一方、検察側は論告で「同様の性犯罪を連続して犯しており、再犯の可能性が高い」と指摘。担当した上山晶子検事は「被告人の属性として切り離せないが、前面に出ないよう気を使った」と話す。
 判決後に記者会見に応じた裁判員経験者は「(他の事件を)考慮せざるを得ない」と難しさを口にした。
 裁判員の負担を減らすため、今後も1人の被告の事件を分離して審理するケースは多数見込まれる。今回の事件の主任弁護人の杉島健二弁護士は「正確な審理には、裁判所の評議で丁寧な説明が必要だ」と指摘している。