児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

吉田敏雄「不作為犯の体系と構造(4)」北海学園大学法学会 法学研究 第45巻1号

 削除しない行為は作為の正犯だというのが東京高裁の判例ですよね。

吉田敏雄「不作為犯の体系と構造(4)」北海学園大学法学会 法学研究 第45巻1号
もっとも問題となるのは、プロヴァイダが自ら運用するサーヴァ上に会員等からアップ−ドされた違法情報を削除することなく放置した場合とか、違法な情報が書き込まれた電子掲示板の運営者がそれを排除しない場合、つまり、不作為の行為形態の場合である。これについては、上記の監視保障人としての住居主の例との比較によって解決の糸口が与えられる。すなわち、住居の場合と同様に、ホームベージ自体(が蔵置されたザーヴア)が危険源というのではなく、違法情報(が蔵置されたサーヴア)が危険源なのである。このような場合、プロヴアイダや掲示板の運営者が、ホームページや掲示板の特徴の故に違法情報のアップロードを促進するといったような犯罪促進的役割を果たしているという特別の事情 が認められる場合に限って、監視保障人の地位が認められるべきである。(注196)
もっとも、プロヴァイダ等に違法情報がサーヴァ上に蔵置されていないかどうかを常時探索する作為義務を課することは適切ではないので、作為義務は違法情報が蔵置された後のその遮断ないし削除義務に限定される(注197)