児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「性暴力を奨励」か「表現の自由」か 凌辱系ゲーム“外圧”で制作禁止に波紋

 自主規制だけで、法的規制の圧力は止んだんですか?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090614-00000543-san-soci
メーカーはこの件に関して「一切、取材を受けない」と沈黙しているが、ソフ倫側にも言い分はある。たとえば、憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いだ。
 ソフ倫によれば、年間に審査するゲームソフトは約950作品。このうち、「凌辱系」と分類されるソフトのタイトル数は約10%。売り上げで見ると、全体の7%弱にあたる。ただし、レイプレイに比べ「緩やかな表現のものも含まれている」という。性暴力を想像させるタイトルを謳っていなくても、ストーリー展開の中に性暴力が取り入れられている場合もあり、担当者は「表現の自由も考えれば、物語作りという面もある」と規制の難しさを話す。
 ソフ倫は審査基準を公表していないが、「児ポ法はもちろん、青少年育成条例など国内の規定に触れないように配慮した独自の厳しい基準で審査している」(担当者)としている。
 ただ、「審査した作品の外国への流通を止めたいが、それも難しい」とも。そのような事情がありながらも自主規制に踏み切った背景については、「表現の自由は堅持しつつも、私たちも社会の理解を得なければならない」と説明した。
 業界の自主規制にまでつながった「レイプレイ騒動」を、識者はどう見るのか。
 日本ユニセフ協会の広報担当者は「(日本の児ポ法が規制対象としていない)バーチャルな作品であっても、子供を性の対象のように扱うことを社会が認めているというメッセージになりかねない」とした上で、「世界的な趨勢(すうせい)としては、ネット上のものについても何らかの規制が必要だ、という声が出つつある」と話す。
 「表現の自由」への影響を危惧する声もある。
 上智大学文学部の田島泰彦教授(メディア法)は「人権団体からの意見はきちんと受け止めるべきだが、規制は自由な余地を狭めてしまうものでもある。製造自体をやめるのではなく、フィルタリングシステムを導入するなど、表現の自由をできる限り追求することが大切」と指摘した。
 獨協大学法科大学院の右崎正博教授(憲法)も「強姦を疑似体験させるようなゲームは倫理的には許されないものがあるかもしれず、そのまま放置すれば法的な規制が拡大しかねないため、その前に作り手側が自主的に対応することは大切。ただ、表現は多様にあり得るわけだし、ある種のジャンルを一切禁止するのは、少々乱暴ではないか。ジャンルそのものでなく、作品ごとに個別に対応できるような方法を考えるべきではないか」と話す。