児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

社説:児童ポルノ 世界の批判を聞こう

 いつのまにCGが児童ポルノになったのかと思いました。
 表現の自由の限界を考える時に、「殺人」と「殺人を助長する創作物」は、他者の権利侵害のあるなしの点で、分けて考えないと、頭悪いと思われますよ。
対立利益が違うんですよ。こういうことがわからない人は議論に加わってはダメですよ。
 政治的見解を表明するために殺人するという場合は、そういう表現自体が重大な権利侵害だから、表現の自由の面は大幅に制約される。
 殺人行為一般を肯定するとか、助長するとか、煽動する表現の場合は、それ自体では、権利侵害はないから、権利侵害以外の理由(公共の福祉)以外の理由で制約されるとしても、表現の自由が大幅に制約されることはない。
 これは児童ポルノの場合でも同じで、実在の児童ポルノに関わる行為というのは、そういう表現自体が重大な権利侵害だから、表現の自由の面は大幅に制約される。
 児童ポルノに関わる行為一般を肯定するとか、助長するとか、煽動する表現の場合は、それ自体では、権利侵害はないから、権利侵害以外の理由(公共の福祉)以外の理由で制約されるとしても、表現の自由が大幅に制約されることはない。
 だから、規制するとしても、法定刑は、実写の児童ポルノの罪とくらべると、実在しない児童の姿態の罪は、ずっと軽くなるはすで、わいせつ図画か有害図図書並になるはずです。
 そういう方式の規制で、その程度の規制をするのなら、ちょっと議論があって、どっか保守的な自治体の条例で実現できそうですよね。それでいいじゃろ。

 具体的に言えば、こういう有害図書の中に、児童を性的対象とするようなカテゴリーを設ければ足ります。犯罪行為一般を助長するというのもあるから、そこに入れれば、改正の必要もない。規制派もどうして条例で規制する手段を推さないのか疑問です。
 規制派と反対派の議論や訴訟になるでしょうが、土俵としてはそっちでやって欲しいのですよ。

大阪府青少年健全育成条例
http://www.pref.osaka.jp/Houbun/reiki/reiki_Honbun/k2010487001.Html
(有害な図書類の指定)
十三条 知事は、図書類の内容の全部又は一部が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該図書類を青少年に有害な図書類として指定することができる。
一 青少年の性的感情を著しく刺激し、青少年の健全な成長を阻害するもので、規則で定める基準に該当するもの
二 青少年の粗暴性又は残虐性を著しく助長し、青少年の健全な成長を阻害するもので、規則で定める基準に該当するもの
三 青少年の犯罪を著しく誘発するおそれがあり、青少年の健全な成長を阻害するもので、規則で定める基準に該当するもの
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げるものは、青少年に有害な図書類とする。ただし、その内容が主として読者又は視聴者の性的感情を刺激するものでないと認められるものについては、この限りでない。
一 書籍、雑誌、コンパクトディスク又はデジタルバーサタイルディスク(以下「書籍等」という。)であって、全裸若しくは半裸での卑わいな姿態又は性交若しくはこれに類する性行為で規則で定めるものを描写し、又は撮影した図画、写真等を掲載し、又は記録するぺージ(表紙を含む。以下同じ。)等の数が当該書籍等のぺージ等の総数の十分の一又は合わせて十ページ以上を占めるもの
二 ビデオテープ、ビデオディスク、コンパクトディスク又はデジタルバーサタイルディスクであって、全裸若しくは半裸での卑わいな姿態又は性交若しくはこれに類する性行為で規則で定めるものを描写した場面が合わせて三分を超えるもの
三 図書類の製作又は販売を行う者の組織する団体で、規則で定めるところにより知事が指定するものが審査し、前項各号のいずれかに該当するとして青少年の閲覧、視聴又は聴取を不適当と認めたもの
3 知事は、第一項の規定により指定した図書類が同項各号のいずれにも該当しなくなったと認めるときは、当該指定を取り消さなければならない。
4 知事は、第一項の規定による指定及び前項の規定による指定の取消しをしたときは、規則で定める事項を公示しなければならない。
5 第一項の規定による指定及び第三項の規定による指定の取消しは、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。
(平一七条例一一〇・全改、平二〇条例八五・一部改正)

大阪府青少年健全育成条例施行規則
http://www.pref.osaka.jp/koseishonen/jorei_public/jourei_kisoku.pdf
有害な図書類の指定の基準)
第4条 条例第13条第1項第1号の規則で定める基準は、次に掲げるとおりとする。
(1)陰部、陰毛若しくはでん部を露出しているもの(これらが露出と同程度の状態であるものを含む。)又はこれらを強調しているもので、青少年に対し卑わいな、又は扇情的な感じを与えるものであること。
(2)全裸、半裸若しくはこれらに近い状態での自慰の姿態又はこれらの状態での女性の排せつの姿態を露骨に表現するもので、青少年に対し卑わいな、又は扇情的な感じを与えるものであること。
(3)異性間若しくは同性間の性行為若しくはわいせつな行為を露骨に表現するもの又はこれらの行為を容易に連想させるもので、青少年に対し卑わいな、又は扇情的な感じを与えるものであること。
(4)変態性欲に基づく行為又は近親相かん、乱交等の背徳的な性行為を露骨に表現するものであること。
(5)ごうかんその他のりょう辱行為を表現するものであること。
(6)青少年に対し明らかに卑わいな、又は扇情的な感じを与える表現が文字又は音声によりなされているものであること。
2 条例第13条第1項第2号の規則で定める基準は、次に掲げるとおりとする。
(1)殺人、傷害若しくは暴行(動物を殺し、傷つけ、又は殴打する行為を含む。)又はこれらの行為による肉体の苦痛を残忍に、又は陰惨に表現するものであること。
(2)殺人、傷害、暴行等の暴力的な行為を賛美し、又は扇動するような表現をするものであること。
3 条例第13条第1項第3号の規則で定める基準は、次に掲げるとおりとする。
(1)殺人、傷害、暴行、窃盗その他の刑罰法令に触れる行為を行うようそそのかすような表現をするものであること。
(2)殺人、傷害、暴行、窃盗その他の刑罰法令に触れる行為(これを直接の目的とする準備行為を含む。)の方法であって、青少年が模倣するおそれがあると認められるものを詳細かつ具体的に表現するものであること。
(有害な図書類とする書籍等の内容)
第5条 条例第13条第2項第1号及び第2号の規則で定めるものは、次に掲げるとおりとする。(1)全裸又は半裸での卑わいな姿態で、次に掲げるもの(陰部又は陰毛を覆い、ぼかし、又は塗りつぶしている場合を含む。)イ 陰部又は陰毛を露出し、又は強調した姿態ロ でん部を露出し、又は強調した姿態ハ 自慰の姿態ニ 女性の排せつの姿態ホ 陰部、胸部またはでん部へのせっぷん又はこれらへの愛ぶの姿態
(2)性交又はこれに類する性行為で、次に掲げるもの(陰部又は陰毛を覆い、ぼかし、又は塗りつぶしている場合を含む。)イ 性交又は性交を明らかに連想させる行為ロ サディズム又はマゾヒズムによる性行為ハ ごうかん若しくはごうかんを明らかに連想させる行為又は強制わいせつ行為

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090609k0000m070157000c.html
娘と母親をレイプし妊娠から中絶させるまでをCG(コンピューターグラフィックス)で疑似体験するパソコンゲームが海外で問題になっている。製作したのは日本国内のゲームソフトメーカーで、国際人権団体「イクオリティ・ナウ」(本部・ニューヨーク)は製作、販売会社だけでなく麻生太郎首相ら日本政府の閣僚らに抗議文を出すよう、160カ国の会員に呼びかけた。こうしたゲームは「陵辱系ソフト」と呼ばれる。日本ではこのような性暴力をテーマにした商品が高い収益を上げ、児童ポルノの市場も肥大化していることが批判されている。
これを受け、国内のアダルト系ゲームソフトメーカーなど約230社でつくるコンピュータソフトウェア倫理機構(鈴木昭彦理事長)は、性暴力を描写した「陵辱系ソフト」の製作禁止、「陵辱系ソフト」の判断基準の確立・整備などの対策を打ち出した。