児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

インターネットサイトで売春誘う少女急増/現行法の“想定外”

 児童も処罰するという規定を議論の末に作っておいて「想定外」はないでしょう。児童の心理などの調査不足だと思いますね。
 次は、ネットのどこででも誘引行為を禁止するという規制に進むと思います。

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivapr0904305/
 インターネットのサイトに売春を誘う書き込みをする少女が後を絶たない。県警は出会い系サイト規制法違反を適用し、買う側の男に加えて少女側の摘発も強化しているが、児童の保護を目的とした同法が逆に摘発の障害となるケースもある。少女が自らネットで売春相手を募るという事態は、いわば現行法の“想定外”で、識者は「実情に法整備が追い付いていない」と指摘している。
■少女側にも問題
 従来、売春を誘う行為は売春防止法で取り締まられてきた。ただ、同法が規制するのは路上などでの行為で、ネット上は含まれない。

156 - 衆 - 青少年問題に関する特別… - 6号 平成15年05月13日
○達増委員 この法案の目的、第一条をよく読みますと、何が目的かというと、「インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、もって児童の健全な育成に資することを目的とする。」ということで、「児童買春その他の犯罪」、この「その他の犯罪」には、殺人事件でありますとか、あるいは強盗のようなことでありますとか、そういうことが入るんでありましょうけれども、要は、児童買春、これは売春防止法の世界からいうと、売春の側からいえば売春ということであるんでしょうが、そういう売買春以上の犯罪から児童を保護することが目的であるということなんですね。
 その手段として、売買春その他の犯罪に至らない段階での誘引というものを規制する仕組みになっているんだと思いますけれども、そこで、そういう誘引をした児童に対しても加罰するこの第十六条の問題になるわけであります。
 第十六条で、六条違反に百万円以下の罰金ということになっているわけでありますけれども、今の議論からいっても、やはり保護対象であるところの児童に対する加罰というのは、どうも目的と手段との関係として矛盾する、立法政策上いかがなものかと思われるんですが、どうでしょう。
○瀬川政府参考人 この出会い系サイトにおきます不正誘引でございますけれども、不正誘引のいわば問題とすべき点ということであります。
 これは大きく三つあろうかと思いますが、一つは、御質問にありましたように、当然、児童が児童買春その他の犯罪の被害者等、直接のきっかけとなるおそれはあるんだろうと思います。それから二つ目には、こういった不正誘引行為が公然と行われることによって、児童の性の商品化がどんどん助長される、そういう風潮が広がるということがあると考えられます。それから三つ目に、児童がこういったものを見たときに、これはみんながやっているんだからということで、それを見た児童も不正誘引行為をしてしまう、そういう児童の不正誘引行為を誘発をするということがあるんだろうと思います。
 こういったことから、児童一般や社会全体にとって大きな悪影響を与える極めて悪質な行為であるというふうに考えられます。
 したがいまして、この法律案は、インターネット異性紹介事業の利用に関して不正誘引はしてはならないという必要最小限度のルールを定めまして、行為者がだれであろうと、インターネットを利用する児童一般に有害で悪質な行為を禁止するというふうに考えているところでございます。
 これは、児童を含め、何人に対しましても、インターネット異性紹介事業の利用に起因する規範を確立し、児童の健全な育成を図ることができるものでありまして、何人に対しても不正誘引を禁止するということは、法の目的と何ら矛盾はないものと考えております。
○達増委員 これは大臣に伺いたいんですけれども、女性の性、セクシュアリティーと言ってもいいんでしょうが、女性の性をめぐる法規制というのは、社会全体の利益を守るという目的から、その当該女性、なかんずく児童の性が最近問題になっていて、児童そのものの権利を守るということに、目的の力点が移ってきていると思うのです。
 例えば、売春防止法では、「目的」のところに、「この法律は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、」というふうに書いてあって、社会全体の法益ということについて強調している。ところが、児童買春、児童ポルノ禁止法の「目的」の方になりますと、「この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、」ということで、「児童の権利」というところにウエートが移っている。
 売春防止法よりもさらに古い刑法、明治四十年にできている刑法の体系で、第二十二章に「わいせつ、姦淫及び重婚の罪」ということで、わいせつ罪や強姦罪やそういう規定があるんですが、これは実は、偽証罪とか虚偽告訴の罪とか、そういう裁判制度全体をおかしくするような、社会全体に対する罪の次に置かれていて、この「わいせつ、姦淫及び重婚の罪」の章の次には、「賭博及び富くじに関する罪」とか「礼拝所及び墳墓に関する罪」とか、社会全体の利益を害するような罪の間に位置づけられていて、個人の法益を害する犯罪、第二十六章、殺人、以下の犯罪の前の方に来ているんですね。これは明治時代の発想だと思います。
 政府案の「目的」は、社会全体の法益を守るとか児童一般を守るとかいうふうにはっきりは書いていなくて、素直に読めば、やはり児童の権利を守るというところに力点があるように読めるので、目的がそうであるならば、その中身においても、児童に対する刑罰というのはなしにしてもいいんじゃないかと思うんですが、この点いかがでしょう。
    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕
○谷垣国務大臣 達増委員が今指摘されましたように、いわゆる児童買春、児童ポルノ法、私も、直接の提案者にはなっておりませんが、与党でこの議論を始めましたときに、最初に加わって議論をしました。
 そのとき、いわゆる子供を対象にしたポルノのようなものは、もし、今委員がお挙げになったような、社会的法益といいますか、善良の性風俗を守るという観点から立法するならば、それは既に、刑法上の、わいせつ文書図画の所持、頒布を禁止するという条項があるわけですから、本来ならあれでいけるはずなんです。
 しかし、御承知のように、あの法案には、チャタレー事件の、わいせつとは何かという基準が四つほど掲げてあるわけですが、結局、社会通念の変化に伴って、現実には子供のいわばポルノ写真みたいなものもなかなか取り締まれなくなっていたという現状が一方にあり、他方で、子供の権利は、やはりこういうものを残された場合、子供が成長していくに従って、いつまでもそういうものが残っていたこと等のトラウマ、あるいは子供の性の商品化というのを防ぐには、なかなか今までの手法ではできない。
 そこで、子供の権利という側面に着目して、わいせつ文書図画ということになりますと、表現の自由とかなんとかという問題も一方で出てくるわけですし、社会通念との折り合いというものも必要だろうと思うんですが、子供の権利というところから攻めてみようという発想であの法律は議論が始まったというふうに私は理解しております。最後までそれでいったのかどうか、私は今明確にできませんが、多分そういう思想でできているんだろうと思うのです。
 今度のこの法律は、先ほど瀬川生活安全局長が御説明申しましたように、確かに、いわゆる出会い系サイトを使うことによって、自分も児童買春等に巻き込まれていくというか、その場に入っていくという危険性、これは児童買春のみにとどまりません。るる申し上げているわけですけれども、強姦であるとか強制わいせつ、場合によっては殺人というようなことがあるかもしれませんが、非常に危険な場を利用しているのがありますね。
 それと、我々ここで看過できないのは、性の商品化、児童の性の商品化というものに対して、やはり警鐘を鳴らしたい、一定の歯どめをつくりたいという気持ちもございました。それから、生活安全局長が答弁いたしましたように、そこを利用する子供だけではなくて、友達が利用していると、ああ、こういうことがあるんだなということで、新たな子供たちをまたそこに引き込む危険というものもあるんだ。そういうものを抑止、防止する必要があるという考えでつくられたわけであります。
 これはもう、厳格に言えば、一条に書いてございますように、児童買春その他の犯罪に巻き込まれることから児童を守ることにあるということになるわけですが、さらに広く申し上げれば、児童の性の商品化とか、児童が性というものをきっかけにして非常に危険な場にさらされていく、社会的な法益と申しますか、そういうものをこの法律によって守っていこう。
 委員は、そういう発想は明治時代の片仮名の発想だとさっきおっしゃったようでありますけれども、必ずしも、個人の権利だけに着目すれば子供の健全な状態が守れるというものではないんではないか、やはりそれに対する社会の通念、そういうようなものも、私どもは、こういう手法を通じて子供の性の商品化というものを防いでいくという視点も必要なのではないかというふうに思います。
○達増委員 社会の通念を守り育てていくのは、罰則によってではなく、別の教育啓発とかいった、他の行政施策でやるべきだと思うんですね。
 出会い系サイトでのそういう不健全なやりとりを見ている児童にも誘発していくとか、公然行われることで同調が広がるとか、そういう被害の拡大、二次災害についても、そこは教育啓発で対処をすべきで、罰則については本当に最低限に抑えなければならない。まして、この法案では、罰則とは別に禁止規定ということで、およそ公然行われることについては違法だとはっきりさせるわけでありますし、また、第三章では事業者に対する規制というものがかなりきっちり定められるわけでありますから、そういったところで、かなりの効果が期待できるんだと思います。
 質問時間が終了してしまいましたけれども、そこについてはまだまだ議論を深めなければならないんじゃないかということで、私の質問を終わります。

156 - 衆 - 青少年問題に関する特別… - 5号 平成15年05月08日
○前田参考人 御紹介いただきました前田でございます。
非常に短い時間しかちょうだいしておりませんので、お配りしたレジュメの全部に触れることができなくて申しわけないんですが、二番目の「刑法理論の変化と被害者処罰」というところに移ってまいりたいと思います。
 被害者が処罰されるべきでないとか、現実に被害がないから処罰する必要がないという議論、これは、一九六〇年代、もう今から三、四十年前にはやった議論で、非常に強くその時期から主張されてきた面はあるんですが、徐々に変わってきている。
 そのころの一番強い議論は、薬物、覚せい剤なり大麻なりを自己使用するというのは、被害者がいないんだから処罰しなくていい。アメリカなんかではまさにそういう議論が強かったし、日本でも、学者の中ではかなりの数の人が、自分で自分を傷つけるんだから、覚せい剤を使って何で処罰するんですかという議論をしてきたわけですね。
 しかし、だんだん、それでは余りにも皮相的な説明であって、本人自身を苦しめる、その本人を処罰することによってそういうものを抑止するということが、広い意味で社会全体の利益にもつながる。
 今回のメーンとなる、児童が被害者ではあるわけですけれども、片一方で、売買春を誘引する行為を行う。これはやはり、一面では被害者という面もありますけれども、そういう風潮が広がることによって、一般の少女がそういうものに触れる機会がふえて、そういう環境ができることによって、また、買春以外の強姦とか恐喝その他の犯罪に巻き込まれる可能性もふえている。そういういわば社会法益、我々の業界でいえば社会法益という言い方をするんですが、そういうものを守るために刑罰を使うという考え方が認められるようになってきた。
 非常に自由主義的な意識の強かった六〇年代、七〇年代は、具体的な個人の利益が害されたところだけに刑罰を使うべきだという意識が非常に強かった。しかし、そこまで待って刑罰刑を発動していたのでは、社会をコントロールする手段として余りにも遅いのではないか。一歩手前の危険性、そういうものが発生する危険性の段階で一定の規制をかけるということ、これにも合理性があるという方向に動いてきていると思います。
 最近のDVとかストーカーとか、いろいろな立法がそうなんですが、従来の基準からいくと、非常に問題があると言われてきたものです。それらについて一歩踏み込んで法規制をして、その際には、これによって、乱用されて人権が害されるんじゃないか、いろいろなマイナスがあるんじゃないかというような議論があったわけですけれども、私は、結果的にはそういう問題は起こってはこなかったというふうに評価しているのです。
 ですから、今回のがいいということではないんですが、具体的に、今回の法律を合理的に考える理由というのは、具体的な数字は別途にお示しいただいていると思うのですが、やはり、ここまで問題が生じている児童の危険な状況というのをとめるには、大人の処罰だけではなくて、みずから書き込む女子高校生なんかに関しても一定のサンクションがあるということで規範を示す。刑法理論の中で、処罰することによって国民に規範を定着させていく。専門の言い方ですと、一般的積極予防の理論という言い方をするんですが、そういう考え方、規範を形成していくという考え方も十分成り立ち得る。それを選択するかどうかは、やはり国民であり、国会の場で御判断いただきたい。
 私は、個人の意見としては、そういうことが必要な段階に来ている。ですから、この法案、細かいところをいろいろ、私個人として、学者として、意見がないわけではございませんが、基本的にはこの法案は今非常に時宜を得た必要な法案であるという考えを持っております。
 以上です。(拍手)

SEXTINGで裸の写真を送る児童についても、前田説なら処罰できますね。