児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

13歳未満とのわいせつ行為は、青少年条例違反か強制わいせつ罪か?

 10歳にわいせつ行為するような場合。
 こんなの刑法176条後段の強制わいせつ罪に他ならない。国法ががっちりカバーしてるのだから、条例は手出ししない。
 それが成立しない場合の補充の趣旨が条例にあるわけない。
 ところが、何を間違ったか、青少年条例違反で起訴された事件が回ってきました。

 

福井地方裁判所判決昭和48年11月20日
家庭裁判月報28巻8号95頁
 ところで、本件条例がいう「みだらな性行為」とは結婚を前提としない単なる欲望を満すためにのみ行う性行為がこれに当ると解されるから、一三歳以上の青少年に対するものに限り、本件条例の前記規定は、刑法上犯罪とされない行為を禁止し、その違反に対し刑罰を科するものであることは明白である。
 たしかに、刑法の強姦罪または強制わいせつ罪は、主として個人の性的自由ないし貞操を保護法益とするのに対し、本件条例は、「青少年の健全な育成および保護」を目的とするがゆえに、その趣旨目的を異にするところがあるといえるが、その反面右本件条例は、右刑法と同じく親告罪とされているところからもわかるように、やはり、個人の性的自由ないし貞操をもその保護の対象としていることは否定しえないのであつて、このように個人の性的自由ないし貞操のごとき個人的法益をも保護法益とする規定は、広く国民個人個人に等しく直接に関係のある事項であるといえるから、地方公共団体が各個別に規制すべき性質のものではなく、専ら国法により規制すべき領域であると解するのが相当である。
 以上のように解するならば本件条例の前記規定のうち一三歳以上一八歳未満の者との性行為自体を禁止する部分は前記刑法の規定の趣旨に反し、地方自治法一四条一項に違反し無効というべきである。
 したがつて、被告人に対する前記本件条例違反の事実は、本件条例一二条一項の構成要件に該当しないというべきであり、右事実は、罪とならないことになるから、刑事訴訟法三三六条により被告人に対し無罪の言渡をする。
よつて、主文のとおり判決する。