児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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沖縄県青少年保護育成条例と性犯罪

 青少年の保護育成という公益的利益を保護法益とするというのだから、強姦・強制わいせつ罪とは観念的競合ですかね。
 複数児童とか複数回の場合は包括一罪とする余地もあります。

沖縄県青少年保護育成条例逐条解説書h18 
(みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第17条の2 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
〔要旨〕
本条は、精神的、肉体的に未成熟な青少年に対して、みだらな性行為又はわいせつな行為をしたり、若しくはこれらの行為を教えたり、又は見せたりすることを禁止した規定である
〔解説〕
1 本条は、青少年の健全な育成を限害するものとして、社会通念上非難をうけるべき、刑法その他の法令で規制されてない青少年に対する性的背徳行為から青少年を保護しようとするものである。
2 「何人」の意義については、第9条解説参照
3 「みだらな性行為」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し、又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいう。
4 「わいせつ行為」 とは、いたずらに性欲を刺激、興奮せしめたり、その露骨な表現によって健全な常識のある一般社会人に対し、性的に差恥嫌悪の情をおこさせる行為をいう
5 「してはならない」とは、青少年を相手としてみだらな性行為、わいせつな行為を行うことをいっさい禁止しているものであり、相手方の同意、承諾の有無及び対価の授受の有無は問わない。また、青少年から勧誘された場合も同様である。
6 「教え」 とは、青少年に対して、みだらな性行為又はわいせつな行為に関する知識を与えることであり、単なる猥談等の一般的な漫然とした内容ではなく、具体的・直接的に教えることであり、その方法の如何を問わない。
例えば、青少年に対して、これらの行為の写真、図画、雑誌、映画、フィルム、スライドフィルム、録音テープ等の媒体を通して教えることもこれにあたる。
7 「見せ」 とは、自己又は他人のみだらな性行為又はわいせつな行為を具体的・直接的に青少年に見せることをいい、文書、映画、図画、有線テレビ等の媒体を通して見せることはこれに該当しない。
8 本条の罪は、公然性の有無を問わず成立し、この点で刑法第174条の公然わいせつ罪とは構成要件を異にする。
〔参考〕
1 児童福祉法第34条第1項第6号で禁止する「児童に淫行をさせる行為」は、児童をして、他人と淫行させることであり、本条の規定は行為者自らが青少年を相手方としてみだらな性行為をすることを禁止したものである。
2 売春防止法では、売春の周旋をした者や売春の場所を提供した者等が処罰され、売春の相手(客)となったものは何ら処罰されない。(同法第5条~第13条)
3 刑法の強姦罪や強制わいせつ罪は、原則として親告罪であるが、本条違反の罪は非親告罪である。。これは前者が個人の性的自由ないし貞操をその保護法益とするのに対し、後者は、青少年の保護育成という公益的利益を保護法益とすることの違いによるものである。
4 刑法第175条〔わいせつ物頒布等〕に規定するわいせつ文書、図画その他の物を青少年に対して隠密裡に見せることは、同条違反の罪にあたらないが、本条第2項違反「教え」 の罪にあたる場合があり得る。
5 刑法第176条〔強制わいせつ〕又は177条〔強姦〕の規定では、13歳以上の青少年に対する暴行脅迫を伴わない「みだらな性行為」 については、原則として同条違反の罪にあたらないが、本条違反の罪にあたる場合があり得る。

 この説明だと、6歳未満への強制わいせつに対応するために青少年淫行罪の下限を下げたということになりますが、懲役10年の行為を10年の罪ではなく、2年の罪で処罰しようとするわけですね。

逐条p32
(2) 改正前の条例では、青少年の下限を「小学校就学の始期(6歳に達した幼児の最初の4月1日)J としていたが、最近、深夜に大型の複合施設において就学前の子供を同伴する保護者が見受けられたり、就学前の子供が強制わいせつの被害に遭うなど、これまで予期しなかった低年齢の子どもの健全育成を限害する問題が発生していることから、就学前の子供についても条例の保護の対象とする必要があるため、平成18年の改正で青少年の定義から下限年齢を撤廃したものである。