諸外国も苦労しているようです。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200811_694/069403.pdf
おわりに
以上のとおり、我が国に限らず諸外国においても、実在しない児童を描写した、写実的でない漫画やアニメ等のポルノに対する規制については、賛否両論の厳しい対立がある。確かに、そのようなポルノの視聴が加害者の児童に対する性的虐待に対する欲求を増大させ、犯罪に及んだと思われる例を指摘する見解がある。また、そのような因果関係が証明されるのであれば、児童虐待が極めて重大な人権侵害であることにかんがみれば、何らかの法的規制を検討すべきだということになろう。他方、そのような法的規制が、表現の自由や個人のプライバシーを侵害する可能性があるのも否定できない。これらの権利は人権の中でもより強い保障が与えられるべきものであるから、その侵害はより深刻な問題を引き起こすことになる。換言すれば、法的規制の強化は、他の人権侵害の可能性という強い「副作用」を伴うのである(67)。 したがって、実在しない児童を描写した、写実的でない漫画やアニメ等のポルノの規制を検討する場合は、実在する児童を描写した児童ポルノの規制との目的等の違いに留意し、また、児童虐待等の犯罪発生とそのようなポルノとの因果関係を吟味しながら、慎重に進めることが必要であろう