児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

間柴泰治「諸外国における実在しない児童を描写した漫画等のポルノに対する法規制の例」レファレンス58(11) (通号 694) [2008.11]

 諸外国も苦労しているようです。

http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200811_694/069403.pdf
おわりに 
以上のとおり、我が国に限らず諸外国においても、実在しない児童を描写した、写実的でない漫画やアニメ等のポルノに対する規制については、賛否両論の厳しい対立がある。確かに、そのようなポルノの視聴が加害者の児童に対する性的虐待に対する欲求を増大させ、犯罪に及んだと思われる例を指摘する見解がある。また、そのような因果関係が証明されるのであれば、児童虐待が極めて重大な人権侵害であることにかんがみれば、何らかの法的規制を検討すべきだということになろう。他方、そのような法的規制が、表現の自由や個人のプライバシーを侵害する可能性があるのも否定できない。これらの権利は人権の中でもより強い保障が与えられるべきものであるから、その侵害はより深刻な問題を引き起こすことになる。換言すれば、法的規制の強化は、他の人権侵害の可能性という強い「副作用」を伴うのである(67)。 したがって、実在しない児童を描写した、写実的でない漫画やアニメ等のポルノの規制を検討する場合は、実在する児童を描写した児童ポルノの規制との目的等の違いに留意し、また、児童虐待等の犯罪発生とそのようなポルノとの因果関係を吟味しながら、慎重に進めることが必要であろう