立て続けに電話とメールの相談が来ました。地元弁護士に相談しても判然としないそうですが、こう考えて下さい。
まず、メールでわいせつ画像を送る行為は、警察の実務ではわいせつ物頒布罪(刑法175)に該当する。(奥村は反対です。否定する裁判例や起訴猶予の事例もあります)
第175条(わいせつ物頒布等)
わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。
これは、逮捕され有罪とされた事例もありますから、通報されるとほんとに逮捕される危険がある。楽観は禁物。(→最寄りの弁護士に対応を相談して下さい。)
他方、金銭要求については、害悪の告知の内容は違法なものであることは要しない、捜査機関への犯罪告発等を告知することも当たる(最判S29.4.6)ということなので、恐喝罪に当たる可能性があります。(→最寄りの弁護士に対応を相談して下さい。)
最高裁判所昭和29年4月6日
最高裁判所刑事判例集8巻4号407頁
最高裁判所裁判集刑事94号151頁
判例タイムズ40号28頁
警察研究30巻1号120頁
そして、恐喝罪において、脅迫の内容をなす害悪の実現は、必ずしもそれ自体違法であることを要するものではないのであるから、他人の犯罪事実を知る者が、これを捜査官憲に申告すること自体は、もとより違法でなくても、これをたねにして、犯罪事実を捜査官憲に申告するもののように申し向けて他人を畏怖させ、口止料として金品を提供させることが、恐喝罪となることはいうまでもない。
ということで、最悪、相談者はわいせつ物頒布罪、相手方は恐喝罪(未遂)に問われるおそれがありますから、「最寄りの弁護士に対応を相談して下さい。」ということでお願いします。