児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

樋口正行「基礎講座刑法(28)準強制わいせつ罪及び準強姦罪」研修 第717号

 対償供与すると騙して児童買春した場合の準強制わいせつ罪の成否も同じ問題です。

樋口正行「基礎講座刑法(28)準強制わいせつ罪及び準強姦罪」研修 第717号
【問題】
基礎講座刑法137
次の記述が正しいか誤っているかを検討しなさい。
「Aは,成人の女性であるBに対し,『君を愛している。将来は君と結婚するつもりだ。』と嘘を言って編し,Bがそれを信じたのに乗じてBにわいせつな行為又は姦淫した場合.Aには準強制わいせつ罪又は準強姦罪が成立する

【開設】
(3) 「抗拒不能」の判断基準
先に紹介した裁判例は,なぜ,被害女性が抗拒不能の状態にあるという判断になったのでしょうか。その判断基準はどのようなものなのでしょうか。
これらの裁判例を分析・検討してみると,結局女性が抗拒不能の状態にあったか否かは,行為者と女性の立場やそれまでの関係、女性の年齢や社会経験の程度,行為者の具体的言軌女性が陥った心理状態精神状態等の具体的事情を基に,当該錯誤により暴行・脅迫を用いたのと同程度に女性が抗拒不能の状態に陥ったと認められるか否か,つまり,当該女性がわいせつな行為又は姦淫行為を承諾あるいは認容せず,これを拒否することを期待できたか否かにより判断するのが相当であると思われます(亀山継夫・大コメ刑法〔第2版〕(9)79参照