児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

社会奉仕命令

 刑事政策の答案なら、導入すべきという結論になるでしょう。
 処遇の個別化の観点からは、メニューは多い方がいいわけですが、過剰収容対策とか経費節減で今頃出てきたような気がします。
 犯罪予防の効果があるかどうかという点はどうなんでしょう?
 保護観察の一内容として試しにやってみればいいですよね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080107-00000001-yom-pol
実刑と執行猶予では大きな差があり、中間的な処遇が必要と判断した。新たな選択肢が加わることで執行猶予の判決が増え、刑務所の過剰収容に歯止めをかける効果も狙っている。政府は2008年中にも、刑法と刑事訴訟法の改正案を国会に提出することを目指している。

 社会奉仕命令の導入により、裁判所の懲役や禁固の判決は、〈1〉実刑判決〈2〉社会奉仕命令を条件にした執行猶予付きの判決〈3〉条件のない執行猶予付きの判決――という選択肢ができることになる。

http://www.moj.go.jp/SHINGI2/TEKISEIKA/tekiseika08.pdf
過去の法制審議会における社会奉仕命令をめぐる議論状況
(2) 導入に反対する意見の概要
a 我が国は,欧米に比べ,ボランティア活動に対する意識が未熟である上,社会奉仕労働を受け入れる体制も貧弱であり,社会奉仕命令を受け入れる社会状況にない。
b 公衆の面前で社会奉仕活動をすることは,本人にとって,施設内処遇より過酷なものとなり得る。
c いわゆる逆差別が生じ,現在行われているボランティア活動がやりにくくなるおそれがある。
d 諸外国が社会奉仕命令制度を導入した背景には,刑務所の過剰収容の問題があったということであるが,そのような状況にない我が国において,導入する必要があるのか疑問である。
e 社会奉仕命令制度においては,対象者の選別が重要であるところ,実際に労役場留置となっている者は,ほとんどが住居不定・無職の者であり,このような者に対して社会奉仕命令が有用であるかは疑問である。
f 社会奉仕命令に違反した場合の措置をどうするのか不明確である。
g 人員及び予算の確保の問題がある上,果たして施設内処遇より安い経費で運営できるのか疑問である。
h 労役場留置となるような者から社会奉仕命令を導入していくことは,かえって我が国に同制度を根付かせない結果となるのではないか。
i 罰金刑の代替として労役場留置を位置付けた上,さらに労役場留置の代替として社会奉仕命令制度を位置付けるとなると,同制度は,代替の代替ということになるが,そのようなことは避けるべきである。