児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

冒頭陳述書は証拠ではありません。

 検察官の冒頭陳述って、
  「検察官が証拠によって証明しようとする事実は以下の通りである。」
で始まりますよね。
 弁護人も冒頭陳述するなら
  「弁護人が証拠によって証明しようとする事実は以下の通りである。」
っていうんでしょうね。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/071221/trl0712211740022-n2.htm
検察側「鈴香被告は『昔、学校のトイレに閉じこめられ、上から洗剤をまかれ、ホースで水をかけられた』と言っているのは知っているか?」
 鑑定人「たしか(弁護側の)冒頭陳述に書いてあった気がする」
 検察側「冒頭陳述は別に証拠ではないのだが…。ただ、そんなことがあったら、母親は気付くはずだが、母親はそんなことは気付いていない」
 鑑定人「ちょっと…。冒頭陳述書が証拠でないなら、何を信じて鑑定すればいいのか? 裁判所から冒頭陳述書を頂いたから証拠として鑑定したのに…」
 裁判長「そのことについては、説明が足りずおわびしたい」
 《どうやら、鑑定人は冒頭陳述に書かれていることはすべて事実であると考えていたらしい。これまでも事件の精神鑑定を行ったことがある鑑定人なのだが…》

法第296条〔検察官の冒頭陳述〕
証拠調のはじめに、検察官は、証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならない。但し、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない。

規則第198条(弁護人等の陳述)
裁判所は、検察官が証拠調のはじめに証拠により証明すべき事実を明らかにした後、被告人又は弁護人にも、証拠により証明すべき事実を明らかにすることを許すことができる。
2 前項の場合には、被告人又は弁護人は、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調を請求する意思のない資料に基いて、裁判所に事件について偏見又は予断を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない。