児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

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外科医の準強制わいせつで無罪とした事例(東京地裁h31.2.20)

d1-lawに出ました。

d1-law
■28270795
東京地方裁判所
平成31年02月20日
本籍 ●●●
住居 ●●●
職業 医師
被告人 ●●●

主文
被告人は無罪。

理由
(以下、一定の者の氏名については、別紙呼称一覧表記載のとおりの呼称を用いることとする。)
第1 本件公訴事実及び争点
 1 本件公訴事実
  本件公訴事実は、「被告人は、東京都(以下略)特定医療法人財団B会E病院に非常勤の外科医として勤務するものであるが、被告人が執刀した右乳腺腫瘍摘出手術の患者であるAが同手術後の診察を受けるものと誤信して抗拒不能状態にあることを利用し、同人にわいせつな行為をしようと考え、平成28年5月10日午後2時55分頃から同日午後3時12分頃までの間、同病院4階408号室において、同室ベッド上に横たわる同人に対し、その着衣をめくって左乳房を露出させた上、その左乳首を舐めるなどし、もって同人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をしたものである。」という内容である。
  検察官は、第1回公判期日において、公訴事実中、〈1〉犯行時刻については、「午後2時55分頃から同日午後3時12分頃までの間」と特定しているが、その間終始継続して犯行を行っていたという趣旨ではなく、その間のいずれかのときという趣旨である、〈2〉「左乳首を舐めるなど」の「など」には、「左乳首を吸う行為」も含まれるが、それ以外の行為は含まないと釈明した。
 2 争点
  本件の主要事実レベルの争点は事件性である。
  検察官は、Aは公訴事実記載の被害に遭ったことを証言するところ、Aから採取された付着物に関するアミラーゼ鑑定及びDNA型鑑定の結果等と整合するAの証言は信用でき、アミラーゼ鑑定及びDNA型鑑定の結果とAの証言が相俟って、被告人がAの左乳首を舐め、吸った事実が認められる旨主張している。
  本件の実質的な争点のうち、主要なものは次のとおりである。
 Ⅰ Aの証言の信用性
  Aの証言には信用性が認められるか。
  さらに、その外在的な補助事実に関する争点としては、Aにおける麻酔覚醒時のせん妄の影響の有無及びその程度がある。
 Ⅱ アミラーゼ鑑定及びDNA型鑑定の信用性等
  Aから採取されたとされる付着物(この採取や保管の過程についても争いがある。)に関するアミラーゼ鑑定及びDNA型鑑定(特にその過程で行われたDNA定量検査)には科学的証拠としての許容性、信用性及び証明力が認められるか。
  なお、弁護人は、本件当日、手術に関連して、複数の機会に、唾液や被告人のDNAがAの左乳首付近に付着する可能性があったとも主張している。

第2 当裁判所の判断
・・・

 3 結論
  以上によれば、本件公訴事実については犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法336条により被告人に対し無罪の言渡しをする。
(検察官青木朝子、四〓庸祐、鎌田祥平、私選弁護人高野隆〔主任〕、上野格、黒岩哲彦、小口克巳、二上護、堤正明、折田裕彦、森永真人、梅本遥、趙誠峰、水谷渉、水沼直樹、被害者参加人A、被害者参加弁護士上谷さくら出席)
(求刑 懲役3年)
刑事第3部
 (裁判長裁判官 大川隆男 裁判官 内山裕史 裁判官 上田佳子)
別紙 呼称一覧表