児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

自白だか否認だかわからない事案(長野地裁)

 弁護人が一部否認。
 なにを否認するのかはわかりませんが、撮影後の複製行為についての3項製造罪(姿態とらせて製造)については、肯定説の最高裁h18.2.20は結論だけ述べているので、下級審も結論は最高裁に従うとして、理由付けに困ります。調査官が匿名で「身分犯説」を唱えましたが、札幌高裁h19.9.4は実行行為説で理由付けを試みていました。

わいせつ画像保存 中学講師の被告、罪状認める 地裁初公判=長野
2007.09.05 読売新聞社
 女子高校生の胸などをデジタルカメラで撮影し、画像をパソコンに保存したなどとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)などの罪に問われた、被告(34)の初公判が4日、長野地裁(土屋靖之裁判官)で開かれた。被告は起訴事実を認めた。起訴状によると、被告はいずれも長野市内で、2005年8月と昨年6月、女子高校生2人の胸などの写真を撮って、パソコンに画像を保存し、今年6月には、女子高校生に「いやらしい写真を撮らせて」などと声をかけた。

少女わいせつ写真撮影の講師初公判 弁護側一部否認
2007.09.05 中日新聞社
 【長野県】少女のわいせつな写真を撮ったなどとして、児童買春・ポルノ法違反(製造)と県迷惑防止条例違反の罪に問われた被告(34)=同町=の初公判が四日、長野地裁(土屋靖之裁判官)であった。被告は起訴事実をすべて認めたが、弁護側は児童ポルノ法違反罪の一部を否認した。
 起訴状によると、被告は二〇〇五年八月と〇六年六月、長野市内で女子高校生二人の上半身裸の写真などをデジタルカメラで撮影、パソコンに取り込んだ。今年六月には、同市内で女子高校生に写真を撮るため声を掛けた。
 検察側は、被告が約五十人の女子高生にわいせつな内容の声掛けをしていたことを明らかにし、数件について次回までに追起訴する方針という。

裁判年月日 平成18年02月20日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
判例集巻・号・頁 第60巻2号216頁
弁護人奥村徹の上告趣意のうち,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「法」という。)7条3項の規定について憲法21条,35条違反をいう点は,上記規定中の「姿態をとらせ」という文言が所論のように不明確であるとはいえず,上記規定が表現の自由に対する過度に広範な規制であるということもできないから,所論は前提を欠き,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 なお,法2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ,これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は,法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たると解すべきであるから,これと同旨の原判断は正当として是認できる。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 上田豊三 裁判官 濱田邦夫 裁判官 藤田宙靖 裁判官 堀籠幸男)