児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

2007年人身売買報告書(抜粋)

「政府は、児童買春・児童ポルノ処罰法を改正し、児童ポルノへのアクセス、購入、および所持を刑事罰の対処とすべきである。日本で児童ポルノの購入と所持が合法であることが、こうした画像・映像に対する世界的需要が生まれる要因になっているが、このような画像・映像には多くの場合、児童に対する残忍な性的虐待が描かれている。 」のだそうです。

http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-j20070702-50.html
*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。
2007年人身売買報告書(抜粋)
国務省人身売買監視対策室
2007年6月12日
(下記は、国務省発表の2007年人身売買報告書から日本の項目を抜粋した仮翻訳です。)
日本(第2階層)
 日本は、商業的な性的搾取のために売買される男女や子供の目的国であり、これより頻度は少ないが通過国にもなっている。身元が特定された人身売買の被害者の大半は、仕事を求めて日本に移動してくるものの、だまされたり強制されたりして、借金に縛られ、あるいは、性的奴隷状態となった外国人女性である。移民労働者の中には「海外研修生」制度という名のもとで強制労働の状態にある者がいることが報告されている。女性と子供は、中国、韓国、東南アジア、東ヨーロッパ、ロシア、そして規模は少ないが中南米から日本へ売買されている。また、日本人の未成年女子や成人女性が性的搾取のために国内で人身売買されることも問題となっている。この1年間に、活発化する日本の風俗産業で女性を搾取する者は、人身売買被害者が逃亡したり助けを求める機会を制限するために彼女らを支配する方法を変更したようである。人身売買業者は、通常、日本の組織犯罪集団(ヤクザ)の構成員や準構成員であり、女性の被害者の多くは、彼らの報復を恐れて進んで助けを求めることをしない。日本人男性は、東南アジアで児童買春ツアーに関与している。

 日本政府は、人身売買撲滅のための最低基準を十分に満たしていないが、満たすべく著しい努力をしている。この1年間に日本は、人身売買対策の改革で緩やかな進展を見せた。日本政府は「人身取引対策行動計画」と「人身取引に関する関係省庁連絡会議」を通じて、2005年に開始した改革を引き続き実施したが、当報告書の対象期間中の進展は遅いように見えた。

 2005年の刑法改正により創設された人身売買罪を適用した起訴件数および有罪判決の件数は、本年、大幅に増加したが、日本の政府当局によって人身売買被害者として確認され、支援を受けた人の数は減少した。2006年に政府が確認した被害者の数は58人で、2005年に確認された被害者の半数以下であった。非政府組織(NGO)と研究者の意見は、実際の被害者数はおそらく政府の統計をはるかに上回るという点で一致している。一部の解説者は、このように政府が確認した被害者数が大幅に減少したのは、ひとつには、より搾取的な非合法の風俗産業に移行したためと見ている。政府は、人身売買被害者として確認して支援する人の数を大幅に増やし、人身売買犯罪者の処罰における進展を維持するために、より積極的な法執行活動を指揮して、商業的な性的搾取を行っている疑いがある場所を捜査すべきである。政府は「外国人研修生」制度に参加する労働者が強制労働状態に置かれている可能性、日本人の女性と子供に対する家庭内での性的搾取、そして人身売買の手段としての偽装結婚などの捜査に一層の努力を払うべきである。政府は、人身売買被害者にカウンセリングのサービスを提供するために、人身売買被害者専用のNGOシェルターとより密接に協力し、また、日本人男性旅行者の児童買春ツアー防止に対してより多くの資源を重点的に割くべきである。

起訴

 この1年間に、日本政府は、人身売買行為の処罰に対する努力を強化した。2005年の刑法改正に加え、改正された部分以外の刑法の条文や、労働基準法売春防止法児童福祉法、および「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童買春・児童ポルノ処罰法)」を含むさまざまな法律によって、人身売買とこれに関連するさまざまな活動が刑事罰の対象になった。しかし、既存の法的枠組みが、人身売買のあらゆる深刻な形態を処罰するために十分なほど包括的なものかどうかは明らかでない。2005年の刑法改正により、人身売買に7年以下の懲役が科せられることが規定された。これは十分に厳格な刑罰である。しかしながら、人身売買の犯罪を証明するために必要な証拠書類を整備することが難しいために、この法律の適用が妨げられている。2006年には、2005年改正刑法の下で、78人の人身売買容疑者が逮捕され、17件の起訴があり、2005年改正刑法の下で15人が有罪判決を受けた。これは、2005年の数少ない起訴と1件の有罪判決に比べ著しい増加である。2006年の15件の有罪判決のうち、12人が1年から7年までの懲役刑の判決を受け、3人が執行猶予付きの判決を受けた。2006年に労働者の人身売買で2件の起訴があり現在係争中である。政府は、人身売買が疑われる事業の捜査と、人身売買業者に対する立件において、さらなる指導力を発揮すべきである。また、政府は、児童買春・児童ポルノ処罰法を改正し、児童ポルノへのアクセス、購入、および所持を刑事罰の対処とすべきである。日本で児童ポルノの購入と所持が合法であることが、こうした画像・映像に対する世界的需要が生まれる要因になっているが、このような画像・映像には多くの場合、児童に対する残忍な性的虐待が描かれている。

保護

 政府の努力が強化されたにもかかわらず、本報告書の対象期間中に被害者保護の有効性は低下した。2006年に法執行当局が確認した被害者の数はわずか58人で、2005年の117人から減少した。この被害者数は、日本が直面していると思われる人身売買問題の規模から考えるとあまりにも少なすぎる。実際の規模は、政府の統計をはるかに上回ると推定されている。人身売買業者が活動を地下に移したことも理由のひとつかもしれないが、人身売買被害者とともに活動するNGOは、政府が、風俗産業の外国人女性など、弱者グループの被害者の捜索に積極的でないと主張している。

 日本における人身売買の被害者は、一時的な在留許可を与えられ、人身売買業者の捜査と起訴への協力を奨励されるが、困窮や報復に直面する可能性がある国への移送に代わる長期的な法的選択肢は与えられていない。日本政府は、昨年、国際移住機関(IOM)が支援する被害者の本国送還に資金を提供し、50人の被害者を送還した。政府は、確認された人身売買被害者を保護するに当たり、47都道府県のそれぞれに家庭内暴力の被害者のためのシェルターとして設置されている、女性相談センターを使っていた。政府が、NGOが運営する人身売買被害者専用のシェルターに被害者を紹介する事例はほとんどない。この点は、被害者の多くをNGOの施設に紹介していた2005年の状況から変化している。女性相談センターは、施設内での相談を日本語だけで行い、人身売買問題特有のトラウマや被害者の文化に対応した特別なサービスを提供しないことから、外国人の人身売買被害者のケアには不十分であるとして批判を受けてきた。被害者の中には、日本の当局から被害者として確認されず、その結果、人身売買の被害者として保護を受ける代わりに、日本の入国管理法や売春防止法

防止

 本報告書の対象期間において、日本政府は国内および被害者送出国の両方で、人身売買に防止に向けた努力を強化している。政府の人身取引に関する関係省庁連絡会議の監督の下、確認された被害者のすべての出身国の言語で、政府またはNGOによる救済を求めるに当たって必要な情報を被害者と潜在的被害者に提供するパンフレットを50万部作成し、配布範囲を広げた。ビザ規制の強化によって、日本に「興行ビザ」で入国した、確認済みの被害者の数は、2005年の68人から2006年の18人に著しく減少した。また、政府は、2005年に開始した、商業的な性的搾取の需要を対象とした国民意識を高める運動を拡大し、売春と性的人身売買との関連を強調した2万5000枚のポスターを全国に配布した。中央アジアでの児童人身売買防止運動のためにユニセフに20万ドルを、また、タイとフィリピンにおける国際労働機関(ILO)の人身売買対策活動プロジェクトに200万ドルを寄付した。日本の国会は、本体条約である「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」を批准していないため、日本は国連が2000年に採択した同条約の人身取引に関する補足議定書も公式に批准していない。