珍しいですね。
よっぽど情状を積んだか、正当性立証したか
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000067-mai-soci
被告(52)に対し、東京高裁(原田国男裁判長)は28日、懲役3年、執行猶予5年とした1審・横浜地裁判決(05年3月)を破棄し、懲役1年6月、執行猶予3年とした。
原田さんの論文を研究して、細かく引用すると、評価されるのかもしれません。
原田・量刑判断の実際増補版P47
執行猶予を付するかどうかの問題と刑期の長短とは別の事柄であり,刑期は責任に応じて定め,執行猶予は主に予防の観点から決すべきであるから,まず,刑期を定めてから執行猶予とすべき情状があるか否かを検討すべきであって,実刑とすへき現今と執行猶予とすべき場合とで,刑期が異なることは許されないという考え方もあり得る.しかし,実務では,前述のように,刑期と執行猶予の許否を一体として量刑判断をしているものと思われる。これは,両者で厳密に情状を区別することが困難であること,執行猶予の刑期は,それが取り消されたときに服役しなければならない刑の期間を示して,善行保持のための心理的強制の効果をねらったものといえることなどを理由とする。したがって,執行猶予とするときの刑期が実刑とするときのそれよりも長期になることは,不合理ではない。
原田説によれば、弁論終結した時に、行為責任と再犯危険を総合して、「こいつはイチロクサンだ」とポンと出てくるみたいです。
そう言っちゃうと量刑法の大家に怒られるんでしょうが。
追記
当時の殺人罪の下限3年にさらに、酌量減軽したんですね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000415-yom-soci
入院中の男性患者(当時58歳)が1998年11月、気管内チューブを抜かれ、筋弛緩(しかん)剤を投与されて死亡した事件
原田国男裁判長は「家族からチューブを抜くよう要請されて決断したもので、その決断を事後的に非難するのは酷な面もある」と述べ、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)とした1審・横浜地裁判決を破棄し、殺人罪としては最も軽い懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000135-jij-soci
東京高裁の原田国男裁判長は28日、有罪を維持した上で、懲役3年、執行猶予5年の1審判決を破棄し、懲役1年6月、執行猶予3年に減軽する判決を言い渡した。同罪の法定刑改正前では、最も軽い量刑となった。
原田裁判長は、尊厳死の問題について「抜本的に解決するには、尊厳死を許容する法律の制定やガイドラインの策定が必要」と言及。「国を挙げて議論、検討すべきで、司法が抜本的な解決を図る問題ではない」と述べた。
旧
第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは3年以上の懲役に処する。現
第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
〔平一六法一五六本条改正〕
第66条(酌量減軽)
犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。
現行法では2年6月が下限。