児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

松宮孝明「児童淫行罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係」法学セミナー '06.07.

 そもそも観念的競合になってかすがいになるかどうかが最重要問題なんですがね。
 だって性交・性交類似行為と撮影行為は素人目にも違うでしょ。

東京高裁H17.12.26
本件被告人は、同一の被害児童に対して別件の児童淫行罪(児童福祉法60条、34条1項6号。以下「別件淫行罪」と呼ふ)で家裁に起訴されており(少年法37条1項)、かつ、先の6件の児童ポルノ製造罪のうち3件は、児童淫行罪と観念的競合関係に立つものであった。
なお、同一児童に対する複数の児童ポルノ製造罪も児童淫行罪も、従来の判例および学説では包括一罪を構成するものと解されていたため、3件の児童淫行罪が起訴されていれば、これが、いわゆる「かすがい」となって、別件を含めた全体が法定刑の重い児童淫行罪で科刑上一罪として処理されるべきものであった。
(中略)
 本判決は、この種の「集合犯」相互が実体法上科刑上一罪関係にある場合について、はるかに重い罪が「かすがい」になるときに、量刑上被告人に必要以上の不利益を与えないことを条件に、その重い罪を起訴しないことを認めたものというべきであろう。
もっとも、そのような配慮を付しても、科刑上一罪として扱われるべきであった罪について被告人に複数の訴訟を強いることは、憲法39条の禁止する二重起訴に当たらないか、なお疑問の残るところではある。

 二重起訴とか管轄違いとかは、訴因で判断するそうです。