児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

同一児童に対する数回の淫行は併合罪(金沢地裁で3件)

記載例
被告人は無店舗型風俗営業店(デリヘル)の経営者であるが
18才に満たない者であることを知りながら
児童Aをいわゆるヘルス嬢として雇い入れ
別紙一覧表記載の通り
H18.10.〜11. の間、合計6回派遣し 遊客相手に手淫口淫の性交類似行為させ、もって児童に淫行させた

法令適用
併合罪(犯情が最も重い別紙一覧表1の罪に法定の加重)

って金沢地裁はいうんですけど、高裁裁判例は違うようです。

東京高裁平成17年12月26日
1管轄違い及び二重起訴並びに憲法14条違反をいう各論旨について
他方,本件児童ポルノ製造罪のなかには,それ自体児童淫行罪に該当すると思われるものがある。例えば,性交自体を撮影している場合である(別紙一覧表番号1の一部,同番号2及び3)。同罪と当該児童ポルノ製造罪とは観念的競合の関係にあり,また,その児童淫行罪と別件淫行罪とは包括的一罪となると解されるから(同一児童に対する複数回の淫行行為は,併合罪ではなく,包括的一罪と解するのが,判例実務の一般である。),かすがいの現象を認めるのであれば,全体として一罪となり,当該児童ポルノ製造罪については,別件淫行罪と併せて,家庭裁判所に起訴すべきことになる。

東京高等裁判所平成2年6月20日
第三 論旨は,本件は包括一罪の関係にあるから,これを併合罪として処断した原判決には法令適用の誤りがあるというのであるところ,関係証拠によつて認められる本件支配の実態にかんがみると,これを包括して一罪と評価すべきであるから,原判決は法令の適用を誤つたものというべく,これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。この論旨は理由がある。

東京高等裁判所昭和63年2月2日
ところで、所論に対する判断に先立ち職権をもつて調査するに、原判決は原判示のとおりの事実を認定した上、これに対する法令の適用において、各児童福祉法違反罪は併合罪の関係に立つとして、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条により犯情の最も重い原判示二の罪の刑に法定の加重をしている。しかし、本件は同一の児童を継続的に反覆して淫行させたという事案であるから、その回数が多数回にわたつていても、これを包括的に観察して一罪として処断すべきである。したがつて、原判決がこれを併合罪として、法定の加重をした刑期の範囲内で処断すべきものとしたのは、法令の適用を誤つたものというべく、かつ、右誤りが判決に影響を及ぼすことは明らかである。