児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノのweb掲載は提供罪?陳列罪?製造罪

 こういう公訴事実が、公然陳列罪で有罪となった(名古屋地裁)。

犯罪事実記載例
平成年月日ころ被告人方において,パーソナルコンピュータに接続したインターネットを利用し,児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノ及び児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚によって認識することができる方法により描写した児童ポルノ若しくは衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したものである児童ポルノ画像合計10画像を,上記電子掲示板に送信して記憶・蔵置させ,不特定多数のインターネット利用者に対し,上記画像の閲覧が可能な状況を設定し,同年月日上記画像情報に接続したMら不特定多数の者に対し,上記情報を送信して再生閲覧させた

 しかし、この事実認定では、実は、4項提供罪の構成要件を満たす。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20051126/1132976230
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20051126/1132967317

7条
4  児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

 つまり、web掲載は提供罪である。

 事実認定と法令適用に齟齬がある。
 さらに、陳列罪を越える公訴事実については訴因の余事記載。
 
 さらにいえば、

  • 「掲示板に送信し」は提供罪
  • 「記憶・蔵置」は、陳列目的製造罪か提供目的製造罪。

 こんなわかりにくい法律、使いにくいよね。