児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

証拠品を紛失 ずさんな管理露呈 四日市南署

 なんかきいたことがある警察署だなぁ。
 児童ポルノについては証拠品処分に被害者が立ち会うことができます。

http://www.isenp.co.jp/news/_2006/0113/news00.htm
四日市南署(四日市市新正)が、保管していた一部証拠品を紛失していたことが十二日までに分かった。県警本部監察課と捜査一課が昨年末にかけて同署で捜査しており、二月にも関係者の処分を発表する予定だ。

http://www.sankei.co.jp/news/sokuhou/sokuhou.html
三重県警が証拠品を紛失。四日市南署。児童ポルノ事件捜査で押収・保管した資料の一部。署員が持ち出した可能性も。

http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000000601140003
同課などによると、04年当時、京都府警と合同でわいせつ図画販売事件を捜査した際に、滋賀県内の男女から押収した証拠品を、検察庁の「庁外保管」という形で鍵のついた部屋に保管。事件の裁判の進行に合わせ、証拠品返還に絡んでチェックしたところ、紛失がわかった。

 これは児童ポルノの証拠品についていえば、被害者保護の精神に著しく欠けると言わなければならない。

 こういう通達があって、

平成12年12月8日
法務省刑事局
 被害者のプライバシーにかかわる証拠品の廃棄について(依命通達)
  没収等の事由により国庫に帰属した被害者のプライバシーにかかわる証拠品に関しし,近時,刑事事件の終結後,検察庁において確実に廃棄されたかどうかにつき,被害者が強い関心を抱く場合があることが指摘されているところ,被害者保護の観点から,これらの証拠品について,今後,下記の取扱いに沿った運用を実施することとしたので,その適正な運用に配意願います。 

1 証拠品の廃棄への立会いの機会を被害者等に与えることについて
 没収等の事由により国庫に帰属した被害者のプライバシーにかかわる証拠品について,被害者,その親族若しくはこれに準ずる者又は弁護士であるその代理人(以下「被害者等」という。)から申出があり,検察官において,被害者等に対し,証拠品の廃棄への立会いの機会を与えるのが相当と認める場合には,証拠品の廃棄日時,場所を通知してその機会を与えるものとする。


こういう回答をもらったことがあります。

法務省刑事局長回答
弁護人照会事項
1 「被害者のプライバシーにかかわる証拠品の廃棄について」という通達にかかる被害者の取り扱いについては、通達発付以前の事件にもさかのぼって適用されるのですか?
→適用される

2 同通達が適用される事件の罪名を教えてください。
→罪名による限定はない。

3 児童買春・児童ポルノ法には適用されますか?
→罪名による限定はない。

4 児童ポルノの罪・販売罪・公然陳列罪には適用されますか?
→罪名による限定はない。

5 児童ポルノの罪については、どのような人が被害者として扱われるのですか?
→これに描写された児童が被害者にあたる。

 こういう証拠品管理の実務になっているそうです。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20041031/1105870187

 国会で問題になったこともあります

147 - 参 - 法務委員会 - 12号 平成12年05月09日
○林紀子君 次に、被害者が映っているビデオなどの証拠品の処分ということについてお聞きしたいと思います。
 児童ポルノの事案というのもふえておりますけれども、その被写体になった子供たちは、自分の裸体などがビデオに収録されてしまったこと自体、これは大変な精神的打撃を受けているわけです。これは一度の性被害にとどまらないさらに重大な精神的苦痛だと思うわけです。ですから、被害者は一日も早くこの世からこうしたビデオが確実に抹消されたい、こういうのが心情だと思うわけです。
 この証拠品というのは検察庁が処分しているということですが、裁判の確定後はこれらのビデオテープなどは速やかに被害者の方に返す、そういう措置を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のような御提案というのも一つの考え方というふうには思うわけでございますが、現実的なことを申し上げますと、特にいわば営利目的で作製されたようなものについては大変な量に上るわけでございます。場合によってはこれが数千本とか、そういうようなことも実際はあるわけでございます。
 そういうようなことから、検察庁におきましてこういうビデオテープなどにつきましては確実に処分をするということで従来やっておりまして、そのためにそのビデオがおよそもう残らないようにするというためには相当しっかりした設備のあるそういう施設を探しましてそこでお願いをするというふうなことをしておりまして、御指摘のような点につきましては実務的にはいろいろ問題があって、慎重に検討しなければならないというふうには思っております。
○林紀子君 大臣にたびたびお伺いして申しわけありませんけれども、じゃ、この証拠品というのが本当に検察庁内で安全に保管されてきちんと廃棄をされるのかどうかということなんです。
 私、伺いましたら、平成八年、九年、十年と証拠品が窃盗に遭った、盗難されたという事件があって、しかもその一件はわいせつビデオの窃盗だったというわけなんです。これは事務官が自分で見るために持ち出した、一本を廊下に置き、残りの一本は燃えないごみとして袋に入れて捨てた、こういう話になっているわけです。
 そうしますと、性犯罪の被害者というのは、この自分が映っているビデオというのがいつ流出するのか、また複製されるのではないか、本当に心配なわけですね。今みたいな話を聞きますと、ますますこれは大変だと、その心配が重なるというふうに思うわけなんです。
 ですから、難しい面があるというお話でしたけれども、どうしても被害者に返すという措置を検討していただきたいということが一つ。この検討に時間がかかるようでしたら、ぜひ本人並びに弁護人がこの廃棄の現場に立ち会って、確かに自分が映っているようなとんでもないビデオというのが廃棄されたんだと確認できる、そういう状況というのをすぐにでも運用の面でつくっていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣臼井日出男君) 今、委員御指摘のような、万が一にも証拠品等が窃盗される、こういうことはあってはならないことでございまして、私どもとしてもそうしたことが起こらないようにさらに細心の注意を持って行ってまいりたい、このように考えております。
 今、委員御指摘をいただきました証拠品の本人への返還あるいは立ち会い等につきましては慎重に検討する必要があると考えておりますが、従来から、被害者から検察庁に対しまして証拠品に対して廃棄されたかどうかということが照会があるといった場合には回答するということも可能である、このように考えております。
○林紀子君 問い合わせによって回答できるというところまでは行っているわけですからね。それでは、いついつ処分するからということを言っていただいて、その日に本人並びに弁護人が立ち会うと、そういうところというのは何か非常に難しいところがあるんでしょうか。そこまではできるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほども申し上げましたとおり、ビデオテープ等を廃棄するやり方というのは、これは非常に大型の、これを完全に砕いてしまう、そういうようなものにかけてやるというのが普通なわけでございます。そういうような設備を持っている廃棄物の処理の業者とか、そういうところはそう多くないわけでございますし、それと同時に、大量に廃棄するということが一般でございます。
 そうなりますと、言ってみますと、ただいま御指摘のような立ち会いというふうなお話になりますと、廃棄物の処分について検察庁の方での計画というものを非常に立てにくくなるというような問題のほか、かなり遠隔のところまでおいでいただかなければならないとか、実務上非常にさまざまな問題が起きてくるということが実情でございまして、その点について御理解を賜りたいと思っております。
 なお、先ほど御指摘のありましたわいせつビデオテープの証拠品の盗難事件につきましては、その後、そういうことが起こってはならないことにかんがみまして、一層証拠品としての取り扱いを厳重なものにするように事務を改善しております。
○林紀子君 検察庁内で盗難があるというのだけでもびっくりする話なんですけれども、それは厳重に保管をするということは当然です。遠方から来るという話もありますけれども、それはまさに自分の問題で、一生これから先あのテープはどうなったのか、どこへ流れていっているのかという心配をしながら暮らすよりも、幾ら遠方でも自分のことでしたら来ると思うんです。
 ですから、問い合わせのあった人にはちゃんと知らせる、いつ廃棄をするんだということまで知らせる。事務的なことでしたらぜひそこのところは何とかクリアできないかということも研究していただきたいと思います。
 それを伺って、終わります。