児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

メディア判例百選

Matimulog
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2005/12/book_52eb.html
から。
 
 ↓の目次だけでも、2件絡んでいる。

http://www.yuhikaku.co.jp/bookhtml/comesoon/00040.html
1 取材・報道の自由
 レペタ訴訟,博多駅事件,京都市記者クラブ訴訟など
2 情報の公開
 大阪府知事交際費訴訟など
3 名誉毀損
 夕刊和歌山時事,ロス疑惑訴訟夕刊フジ事件,「脱ゴーマニズム宣言」事件など
4 プライバシー
 早稲田大学江沢民講演会名簿提出事件,堺通り魔殺人事件訴訟など
5 肖像・氏名・パブリシティ
 和歌山カレー毒物混入事件など
6 性表現
 「蜜室」事件など
7 広 告
 投資ジャーナルグループ事件など
8 救済手段
 「石に泳ぐ魚」事件,週刊文春事件,幸福の科学事件など
9 新聞・出版
 中央公論社事件など
10 放 送
 テレビ朝日ダイオキシン訴訟,ニッポン放送ライブドアなど
11 通 信
 新電電5社対総務省,迷惑メールの大量送信など
12 インターネット
 2ちゃんねる(動物病院)事件,Winny事件など

追記
 わいせつ情報関連は12件/122件。

追記
 岩井宣子先生ご担当の児童ポルノ販売京都地裁h12.7.17は合議事件で京都の弁護士。それは地裁で確定。
 その後、別件京都地裁事件(弁護人奥村)について大阪高裁H14.9.12(弁護人奥村)が、上記京都地裁の基準を用いて、児童ポルノ性を判断しています。なお高裁の罪数判断は併合罪

阪高裁平成14年9月12日(未掲載)
(2)本件各写真集はいずれも芸術作品であり,児童ポルノに当たらない,・・・というのである。
そこで,記録を調査して検討するに,・・・(2)の点についても,所論は,芸術性が児童ポルノ該当性に与える影響について,個々の写真ごとに検討すべきで奉るとの前提に立った上,本件各写真集は,いずれも,①表現方法に性器等を強調する僚向がない,②性欲を興奮又は刺激する内容がない,③児童のポーズに扇情的な要素がない,④児童の純真さを表現するという撮影者の意図が明らかである,⑤装丁も芸術作品に相応しいものであるから,児童ポルノに当たらないと主張する。しかしながら,芸術性が児童ポルノ該当性に与える影響については,本件各写真集をそれぞれ全体的に見て検討すべきである上,本件各写真集は,いずれも,全裸あるいは半裸姿の児童が乳房,陰部等を露出している写真が相当部分を占めており,上記①②及び④は妥当しないし,また,そのため,仮に,上記③及び⑤が妥当するとしても,本件各写真集が児童ポルノに当たらないとはいえない。したがって,所論は採用できない。
・・・
論旨はまず,(1)「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の判断は,一般人を基準とし,(2)これに当たるには,その内容が「露骨な描写」であることを要するとする原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の解釈適用の誤りがある,というのである。しかしながら,(1)の点については,原判決の基準は正当である。つまり,「性欲を興奮させ又は刺激するもの」と感じる者が多数いると考えられれば,それで足りる。また,(2)の点については,原判決は本件各写真集が「性欲を興奮させ又は刺激するもの」に当たる旨判示したにとどまり,所論のようなものであることを要するとはしていない。次いで,論旨は,被撮影者には五,六歳の児童もおり,このような児童の姿態は,どのようなポーズをとっても,一般人を基準とする限り,「性欲を興奮させ又は刺激するもの」に当たらないのに,これを肯定した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。しかしながら,本件各写真集に掲載された写真のうち,原判決が児童ポルノの要件を満たすと判断したものは,一般人を基準としても,いずれも「性欲を興奮させ又は刺激するもの」といえる。これらの論旨も理由がない。

 やっぱり高裁判決の方が重みがあると思うのですが、紹介されないですね。判例雑誌のアンテナに引っかからない。
 というわけで、児童ポルノ法の裁判例は、一部の実務家にのみ集積されています。