児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

向井紀子「性犯罪者情報の管理・公開(諸外国の制度) 」 レファレンス55(8) (通号 655) 2005.8

 信頼できる調査研究が前提になるということですね。

http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200509_655/065503.pdfおわりに
犯罪者の情報の公開については、地域への情報公開によって再犯を防止しようとする米国及び韓国と、その他の国とで考え方が大きく異なる。その相違は、性犯罪者の情報はプライバシーとして保護されるべきか、地域住民特に弱い立場の者の保護と安全に情報の提供が必要か、それは再犯防止に効果的かどうか、また情報の公開が犯罪者の社会復帰を妨げないかといった諸点のいずれを最優先事項とし、又は他の価値よりも重視するかによるものと考えられる。性犯罪者情報の把握等の制度については、公開の問題以外にも、次のような問題点に留意が必要である。第一は、性犯罪者を他の犯罪者から区別して不利な取扱い(例えば、移転の自由の制約、一定の職業への従事の禁止) をする合理的根拠及びその不利益取扱いの程度がこれにより保護しようとする利益(犯罪に対して弱者である子どもの安全) と均衡を失しないものであるかという点である。第二に、犯罪情報の届出等の義務が、法制度施行日以前の犯罪についてまで遡って課される制度を持つ国が多いが、犯罪者情報の登録義務及びこれに伴う不利益を考慮するならば、遡及適用が認められる合理的な理由の検討と遡及の程度について慎重であることが求められる。この10年の間に、性犯罪者情報の登録・公開制度を採用する国は増加しているが、制度実施後日の浅い国もあり、現時点では制度実施前後の再犯率等の調査結果が十分に得られているとはいえない。この制度が性犯罪の再犯防止に関して有する効果について判断するためには、再犯率等の正確な把握が待たれるところである。

オーストラリア
ニュー・サウス・ウェールズ州法(以下「NSW 法」という。)、VCT 法も、遡及的適用があるとしている。
登録対象犯罪
登録対象となる犯罪は、18歳未満の者に対する性犯罪又は重大な犯罪(殺人、強姦、児童ポルノの罪等) である(QLD 法第9条、別表1, 2.に掲げるClass 1, 2の犯罪)。