奥村弁護士は、自白事件ではできる限り科刑意見を書いていますが、それよりか、弁護人は有利な証拠を集めて指摘してその評価の意見を述べる方に気を遣います。
弁護人が執行猶予の判決を賜りたい」とか、「寛大な判決をお願いする次第である」 と書いたくらいで、執行猶予がつくほど、寛大な裁判所なんてないでしょ。
古賀由紀子「頭悩ます量刑・求刑」捜査研究11月号
刑事事件の公判の最終段階に、検察官は、「論告」 をする。
論告というのは、当該事件に対する検察官の意見であり、事実認定と情状についての意見を述べた上、最後に「求刑」 をする。
求刑というのは、当該事件を犯した当該被告人に対して、懲役何年が相当か、罰金いくらが相当かといった、裁判官が判決で下すべき量刑についての検察官の意見を述べるものである。この求刑は非常に難しい。
検察官の論告に対して、弁護人の意見である「弁論」 が行われるが、弁論の中で述べられる量刑についての意見としては、「執行猶予の判決を賜りたい」とか、「寛大な判決をお願いする次第である」 などというのが通常で、懲役何年、執行猶予何年が相当であるといった、具体的な数字を出した弁論というものは、未だ目にしたことがない。
しかし、検察官の論告においては、できる限り重く処罰してもらいたいとか、実刑にすべきであるなどといった抽象的な表現に止まらず、具体的な数字を示して求刑をするのが実務の倣いである。