児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

掲示板管理者の刑事責任は幇助犯

 ある事件で、通りすがりに投稿されて、検察官はそれが管理者も共謀共同正犯だと主張されています。
 投稿者と特別に共謀がない限り、投稿者が正犯で、管理者は幇助だと思います。
 弁護人独自の見解じゃなくて、裁判例があるんだよということで、こんな裁判例を証拠請求したら、信用できないって不同意にされました。
 仕方がないので、謄写状況について報告書を書きました。

平成17年11月7日
地方裁判所刑事部御中

弁護人 弁護士 奥 村  徹   

同種事件の裁判例(新潟簡裁事件)

1 報道
 掲示板管理者Aは陳列罪の幇助で、投稿者のBCDは陳列罪の正犯として逮捕され送検されたと報道された。

ネット上でわいせつ画像陳列容疑 新潟西署など3人を逮捕=新潟
1999.12.21 東京朝刊 24頁 (全234字 
読売新聞社

電子掲示板管理者を逮捕  わいせつ画陳列ほう助で 
2000.01.12 共同通信 (全589字) 
 新潟県警ハイテク犯罪対策室と新潟西署は十二日、わいせつ画像を見せる目的でインターネットに電子掲示板を開設、管理したとして、わいせつ図画公然陳列ほう助の疑いでA容疑者を逮捕した。
 同県警によるとインターネットの電子掲示板の管理者を、同罪のほう助容疑で逮捕したのは全国でも初めてではないかという。
共同通信社

2 確定判決(新潟地検
 弁護人は、別件刑事事件(横浜地裁事件)の弁護のために、刑事確定訴訟記録法に基づき、新潟地検の保管検察官の許可を得て、平成16年10月8日、新潟地検において上記4名の判決書を閲覧・謄写(弁護人自らスキャナーで記録する方法)した。
 次のように、管理者は幇助、投稿者は正犯として略式命令を受けたことが判明した。
①掲示板管理者A=陳列罪幇助(共謀なし)
 略式命令 新潟簡裁

同月10日ころ、右サーバコンピュータに、画像情報を投稿することにより自動的にその画像が掲載されて不特定多数の者が閲覧可能となる電子掲示板を右Aら不特定多数の者が男女の性器、性交場面が露骨に撮影された画像を投稿することを知りながら、右会社従業員Eに命じて右サーバーコンピュータに設置されたハードディスク内に記憶蔵置させて開設し、もつてこれを幇助したものである。

②投稿者B=陳列罪正犯(共謀なし)
 略式命令 新潟簡裁
③投稿者C=陳列罪正犯(共謀なし)
 略式命令 新潟簡裁
④投稿者D=陳列罪正犯(共謀なし)
 略式命令 新潟簡裁

3 新潟地裁事件のまとめ
 通りすがりの投稿者と掲示板管理者には、共謀関係は認められず、管理者は幇助として処理される。
 まさに被告人の行為と同様であるから、同様に処理されるべきである。