ちょっと違和感がある記事です。共同通信が発信源と思われます。
http://www.zakzak.co.jp/top/2005_10/t2005101905.html
男は小学4年の女児=当時(10)=にわいせつな行為をしたとして、昨年9月に岸和田簡裁で有罪判決を受け、執行猶予中だった。
岸和田簡裁というのは、大阪府の南部にあって、日本ですから日本の裁判所法が適用されます。
簡裁の刑事事件は、罰金か窃盗等の懲役刑に限定されています(裁判所法33条1項2号、2項)。
わいせつ関係で簡裁管轄になるとすると、迷惑条例違反の罰金刑です。強制わいせつ(刑法176)には罰金がない。強制わいせつ(懲役刑)は管轄外。
裁判所法第33条(裁判権)
簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
一 訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)
二 罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪、刑法第百八十六条の罪、同法第二百三十五条の罪若しくはその未遂罪又は同法第二百五十二条若しくは第二百五十六条の罪に係る訴訟(第三十一条の三第一項第三号の訴訟を除く。)
②簡易裁判所は、禁錮以上の刑を科することができない。
ただし、刑法第百三十条の罪若しくはその未遂罪、同法第百八十六条の罪、同法第二百三十五条の罪若しくはその未遂罪、同法第二百五十二条、第二百五十四条若しくは第二百五十六条の罪、古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第三十一条から第三十三条までの罪若しくは質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)第三十条から第三十二条までの罪に係る事件又はこれらの罪と他の罪とにつき刑法第五十四条第一項の規定によりこれらの罪の刑をもつて処断すべき事件においては、三年以下の懲役を科することができる。
③簡易裁判所は、前項の制限を超える刑を科するのを相当と認めるときは、訴訟法の定めるところにより事件を地方裁判所に移さなければならない。
第176条(強制わいせつ)
十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上七年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
ちなみに隣組の公然わいせつ罪には罰金刑がある。
第174条(公然わいせつ)
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
まあ、何罪か知りませんが、その罰金刑に執行猶予がついたんでしょうね。希有な事例ですが。
刑法第25条(執行猶予)
次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その執行を猶予することができる。
じゃ、執行猶予取消になっても罰金払うだけですね。
「簡裁」というのが誤報だと思います。
追記
読売によれば、懲役2年執行猶予3年だったそうです。
執行猶予中に強制わいせつ 容疑で男を逮捕/大阪・和泉署
2005.10.19 大阪朝刊 35頁 (全165字) 読売新聞社
昨年9月、同罪で懲役2年、執行猶予3年の判決を受けていた。