児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

公然わいせつ罪とわいせつ図画公然陳列罪

 現行法では
   露骨な姿態を生中継でさらすと、公然わいせつ罪(懲役6月)、
   録画でさらすと、わいせつ図画公然陳列罪(懲役2年)
なんですが、

第174条(公然わいせつ) 
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
第175条(わいせつ物頒布等)
わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。

 改正法でもその区別は維持されるということです。
 どちらもデータが送信されていて、受信者に到達しているわけですが、法定刑が4倍違う。
 公然わいせつというのは、伝統的にはストリップ劇場とか狭い範囲での行為を予想してたと思うんですが、テレビもあるし、ネットもあるしということで、犯行規模は飛躍的に拡大しています。法定刑を揃えてはどうかと思うんですがどうでしょう?


   おっしゃるとおりだと思います。
なんて言ってる国会議員には、何の問題意識もないですね。


http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000416220050712026.htm

第26号 平成17年7月12日(火曜日)

○左藤委員 そうですね。はい、わかりました。ありがとうございます。

 次に、いろいろ聞きたいんですが、実は、わいせつ物頒布等の罪を改正する、こういう項目がございました。この必要性ですね。

 それと、ちょっと先ほどお願いしておいたんですが、刑法の百七十五条の一項の第二文に「頒布」という言葉があります。要するに、わいせつ物を頒布するんだと。これもいろいろ、言葉の問題でございますけれども、この言葉を、立法化するのであれば、頒布にかえて公衆送信という用語を使ったらどうだろう、これは弁護士会の意見なんですが、これについてどうお考えなのか。

 そしてもう一つは、実はわいせつ物をばあっとネットであちこちに出すということになると、普通の頒布と違ってどこへ行くかわからないんですね。だれが見るかわからない。この前も、パソコンを二人盗まれて、ちょっと変なものを自分のへ入れていたものがネットで流れて、あれ、うちの社員と違うかとか、何かいろいろ、ちょっと新聞に出ていた事件がありました。

 今までですと、公然わいせつ罪というのは大体六カ月以下の懲役、三十万円以下の罰金、科料とか、どっちかというと軽いんですが、今回の、サイバーを使っての、パソコンを使ってネットを通じてあちこち行くというふうになったら大きな問題ですから当然被害も大きいし、名誉の問題も、いろいろな人権問題もあるわけなんですが、当然、そうすると、二年以下の懲役または二百五十万円以下の罰金、科料という重い刑になっているんですね。

 私は、正直言って当然じゃないかな、このように思うんですが、中にはちょっと行き過ぎじゃないかと言う方もおられます。

 ですから、済みませんが、改正する必要性と、この二点について、公衆送信とそれから今の科料の問題についての考え方をお願い申し上げたいと思います。

    〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕

○大林政府参考人 三点について御質問がありました。

 まず、わいせつ物頒布等の罪を今回改正する理由について申し上げますと、最近、電子メールによりわいせつな画像の電磁的記録を送信するような行為が見られますけれども、こうした行為は、わいせつ物の頒布行為と実質的には同様の行為であるにもかかわらず、ビデオテープのような有体物のやりとりを伴わないため、現行法による的確な対応に疑義が生ずるに至っております。

 そこで、今回の改正では、こうした有体物のやりとりを伴わないインターネット上でのわいせつな画像の電磁的記録の頒布等についても処罰できることを明確に規定するなどの改正を行うものとしたものでございます。

 次に、このようなもので、その頒布にかわり公衆送信の用語を用いるべきではないか、こういう御意見がございます。

 わいせつな電磁的記録送信頒布罪における頒布は、有体物の頒布に準じて解釈することができ、その意義は明確であると考えております。その罪の成立には、不特定多数の者の記録媒体にわいせつな電磁的記録を存在するに至らしめることが必要でございます。

 これに対し、公衆送信は、具体的な定義規定を置かなければその意味が不明確である上、仮に、「公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うこと」、これは著作権法二条一項七号の二に規定されているわけでございますが、わいせつな電磁的記録を公衆送信したというような構成要件にいたしますと、相手方における記録の存在はもちろん、相手方の受信を要せず、送信の段階で犯罪の成立を認めることになりますので、そのような規定ぶりは適当ではないというふうに考えておりますし、また、公衆送信という規定ぶりでは、公衆とは言えない多数人に送信するような行為が含まれるというような問題もございますので、いかがかというふうに考えております。

 次に、公然わいせつ罪との刑の不均衡の問題でございます。

 わいせつ物頒布罪の罪が公然わいせつ罪より重く処罰される理由は、公然わいせつの場合は、わいせつな内容はその場限りで認識されるにとどまるのに対し、わいせつな内容が有体物に化体している場合、これは、繰り返し公然陳列され、または頒布先からさらに頒布されることによって法益侵害がより広い範囲に広がる可能性がある、こういうようなことで刑の差がある、このように考えております。

○左藤委員 おっしゃるとおりだと思います。
 ネットでずっとあちこち飛ばされるわけでありますし、CD―Rに残すこともできるわけですから、これは大変な問題だろうと思いますので、やはりその程度の科料は必要だろう、このように思います。